告白ブーム
11
慣れとは恐ろしい。連日BL漫画を見せられたせいで、感覚が麻痺していた。俺、結構友達増えたと思ったんだけどなぁ……。
まずい。遥希のせいで、確実に友達を削がれている気がする。ただでさえ高校に入って勉強ばっかりしてるせいで友達が少ないのに……。
部屋で数学の問題を解き直しをしていると、隣から叫び声が聞こえて来た。
「うわぁ~!!どぉしよう!!」
「うるせぇ!!」
すると、すぐに遥希が俺の部屋にやって来た。
「どうしよう!聡太!!」
嫌な予感しかしねぇ…………。
「どうした?」
一応、訊いてみた。
「まずい!!非常にまずい!!」
遥希は、壁に頭をつけて、呟いた。
「…………告られた。」
「それはまずいな…………って告っ!」
告白!?遥希にか!?それはまずいというか何というか…………
意外にも、うちの学校に相当クレイジーな奴がいた。
「どんな……奴?」
思わず、そう聞いていた。
「色々……。」
「色々?」
どんな奴と訊いて、色々と答える奴がいるか?
「だって10人以上に告られたんだもん!!」
「はぁ!?多すぎだろ!」
「全員望み通りその場で振ってやったわ!!」
一体何が起こったんだ!?空前の遥希ブーム!?いや、告白流行るってオカシイだろ!
「好かれる努力の結果、今、空前のモテ期到来!!悪い意味の!非常に悪い意味の!!」
どうやら、この前の俺達のやり取りを聞いていた奴がいて、遥希にノリで告白すると、毒が返ってくるのが面白いという噂になったらしい。
「愛の告白が歪んだ形でしか受け取れないこの現状!!どうしたらいい?」
「あぁ…………まぁ、いいんじゃね?」
アホらし!!告白って聞いて驚いて損した。
俺は数学に戻った。
好かれる努力の結果、遥希がモテて、俺に何の影響がある?
関係無いだろ。
「だから、関係無いだろ?」
だから、関係ないって!
数日後、学校へ行ったら、見知らぬ女子二人に囲まれた。
「遥希はバカなんだから、あんたがしっかりしないと!」
「いや、誰!?」
どうやら、遥希の友達らしい。あいつ友達いるじゃねーか!!
「遥希、全然好きじゃない人と付き合う事になったんだよ?」
「だからって、何で俺の所に来るんだよ!」
「保護者だろ!?」
「保護者じゃねーよ!!」
俺はいつの間に遥希の保護者という立ち位置になったんだ……?
遥希がどんな奴と付き合おうと、俺は関係無い。
「だから、俺は関係無いって……。」
関係無いって言ってんじゃねーか!!
次の日学校へ行ったら、見知らぬ男に迫られた。
しかもこいつ、めちゃくちゃ目付き悪っ!デカっ!怖っ!その風貌は、まるで魁男塾に出て来そうなくらいの、オグなんて比較にならないほどのイカツイ男だった。
「すみません。今日は眼鏡を忘れてしまって……」
近いよ!!それにしたって異常に近いって!!
「僕、遥希さんとお付き合いさせてもらう事になった。花崎那津です。」
名前可愛いのに、顔がマジで怖ぇえええ~!
「あの、だから、本当に俺関係ないから!」
「従兄弟だと聞きました。」
「あ、まぁ……そうゆう事になるな……。」
そうか……遥希とは、従兄弟になるのか……。今までそう思った事なんて一度も無かった。
遥希とは、家族でいいんだ。
関係なくは無い。俺とあいつは…………親族になったんだ。
「あの、もう一度、遥希とちゃんと話をしてみたらどうですか?ビビってちゃんと話ができないかもしれないけど…………ちゃんと、遥希の本心を聞いてやってください。」
俺は一礼して、その場から逃げた。
俺の言った事は、遥希のためになったんだろうか?でも、遥希の友達が、遥希が好きでも無い奴と付き合ってるって言っていた。
その日の夜…………
「うわぁあああ~!」
「うるせぇ!!」
案の定、また始まった。遥希が俺の部屋へやって来た。
「振られた!!」
「どうした!?」
はぁ?!急展開過ぎるだろぉおおおお!?
「やっぱりまだ努力が足りなかった!!私、もっともっと勉強する!!」
と、言ってBL漫画を読み始めた。
「そっちの勉強か!!」
俺は、漫画を読む遥希の横顔を見て、思わず余計な事を口走ってしまった。
「お前さ、お前はそのままでいいんじゃねーの?」
「は?」
「そのままでもいいって言ってくれる奴がいたんだろ?」
真剣に告白してくれる奴が1人でもいたんだから…………
「どこ?どこの誰なの?」
え?どうゆう告白受けたんだ?
「私、ノリで告白してくる輩に、逆に受けてやったの!そうしたら、OKしたら逆に断って来るってどうゆう事!?」
ああ、なるほど……本当はあっちも困ってたんだな。まぁ、これで告白ブームも去って行くだろう。自分で張ったとはいえ、ロッカーに藍野告白お断りって張り紙は、一見いじめに見えたしなぁ……。
「まぁ、そいつがダメでも、俺がいるから。」
「聡太……?」
「勘違いすんなよ?ただ同じ屋根の下にいるだけだ。」
ただ、同じ屋根の下にいるだけの…………特別な存在。
俺の顔を見て、遥希は首を傾げた。
「聡太、何かあった?」
「別に?あ、俺のベッドで寝るなよ?」
俺は、少し自分の気持ちに気がついた。
「そういえば……瞼!あれ、最悪なんだけど!寝込みを襲うならまだしも、瞼に目書くとか最低!」
「待て待て!寝込み襲わなかった事を誉められるこそすれ、最低って!それも、落書きの方が最低ってどうゆう事だよ!!」
俺は、自分で思っているより、寂しがりやなのかもしれない。




