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自由

作者: 月

最近いつ休みだったか。


私は会社に行きながら考えていた。


最近は特に忙しい時期だ。


そういえばやっと明日は休みか。


「ああ、自由が欲しいな」


そう小さく呟いて、出社した。


仕事も終わり、帰り道どこからか声が聞こえてきた。


「あなたの願いを一つ叶えてあげましょう」


私は呆気にとられた。


「だいぶ疲れてるな」


すると、またその声が聞こえてきた。


私はまたかと思いながらも呟いた。


「自由が欲しい」


「分かりました。あなたに自由を与えましょう。」


そのあと、あの声は聞こえなかった。


私は深いため息をつきながら、家に帰った。


その日は、すぐに眠った。


どれくらい経ったか。


またあの声が聞こえてきた。


「次に目を覚ました時あなたは自由です。一日限りですが、存分に自由を味わって下さい。」


その声を聞いたあと、私は深い眠りに落ちた。


ジリリリ…


目覚まし時計に起こされた。


「あっ遅刻だ!」


一瞬焦ったが、今日は休みだったとすぐに気付いた。


今日は何をしよう。


新しい手帳を買いにいくか。


そう決めて支度を始めた。


「さあ出掛けますか」


鍵を閉めて、外に出た。


少し歩いて思った。


「今日は一台も車が通ってないな」


大通りに出て何故だか分かった。


人が動いていない。


「どうですか。あなた以外の人の時間を止めてあります。今日は何をしようが自由です。心配しなくとも今日が終われば、元通りの日常に戻しますよ。」


唐突にあの声が語りかけてきた。


すっかり忘れていたが、昨日そんこと言われたっけか。


そうは言われてもいきなり自由になると何をすればいいか分からない。


とりあえず、当初の目的の手帳を買いにいくことにした。


また歩み始めた。


途中、自動販売機があったので喉を潤すことにした。


会社にあるものと違い種類が多い。


何にするか迷ったが、結局いつもの缶コーヒーにした。


また何分か歩き目的地についた。


大きな百貨店だ。


中に入った。何度きても見飽きない。


「時間が止まってるんだから、何か盗んでも問題ないな」


そう考えたが、いくら時間が止まっているとはいえ私はそんなことはしない。


手帳の売り場に行くと、どの手帳にするか吟味した。


結局、私はいつもと同じものを買った。


多くのものから自由に選べるというのもある意味、苦だ。


目的を果たし、次は何をしようか考えた。


特に思いつかなかったので、外に出た。


そういえば、道路の真ん中で寝てみたいと一度思っていた。


私は道路の真ん中に大の字で寝転がった。


「自由というのも辛いな。選択肢が多すぎて、何をするかすら決められない。自由すぎると言うのはある種不自由なものなんだな」


日頃の疲れのせいか、そんなことを考えているうちに眠りについた。


どれくらいしたか、また夢の中であの声が聞こえた。


「自由はどうでしたか。あなたはモラルや常識に囚われて何も出来なかった。そればかりか自由な選択から逃げた…あなは自身で自由から逃げてるんです。次に目を覚ませば元通りの生活です。」


ジリリリ…


私は覚まし時計を止めた。


「私には本当の自由とは何かわからない」


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