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クリム童話「よくばりなねずみ」

 むかしむかしあるところに、いじめやけんかをしてばかりのわるいねずみがいました。


 そのうえねずみはよくばりで、いじわるで、よくたにんのえさをうばっては、じぶんのものにしていました。そのせいか、かれはぶくぶくとふとり、すっかりみにくいすがたになっていました。



 あるひ、ねずみはいつものように、となりにすむうずらをいじめていました。このうずらはちいさくて、きがよわく、いつもねずみのいいなりになっていました。まわりにすむほかのどうぶつたちは、ねずみがこわくてうずらをたすけることができません。このひも、いつものようにくさのかげからようすをうかがおうとしたかえるは、うずらのようすがいつもとちがうことにきづきました。


「うずらが、ひどくおこっているよ」

 かえるはすぐにほかのどうぶつたちにしらせます。はなしをききつけたどうぶつたちがのぞいてみると、たしかにうずらはかおをまっかにして、ねずみにたちむかおうとしていました。


「ほんとうだ、おこっている」

「どうしたんだろう、どうしたんだろう」

 どうぶつたちはふしぎそうです。そんなとき、あるいっぴきのかたつむりがいいました。

「あのうずらがたちむかっているんだ。いまこそ、ねずみをこらしめるときにちがいない」


 しかし、かれらのなかにうなずくものはいませんでした。

「いやだよ、またいじめられてしまう」

「こんどけんかになったら、まけてしまうよ」

 それどころかみんなねずみをおそれて、そのばをうごこうとしません。


 かたつむりがこまりはてていると、そこにいわのむこうにすむとかげがやってきました。とかげはそっとくさのむこうをみると、ぽつりといいました。

「かわいそうに、あのうずらは、だいじなたまごをわられてしまったのか」

「なんだって!」

 それをきいたどうぶつたちは、つぎつぎといかりをあらわにしました。


「いままでがまんしてきたが、もうげんかいだ!」

「そうだ、ねずみをこらしめよう!」

 どうぶつたちはいきまいています。

 ところが、ねずみをたおすほうほうはわかりません。

 みかねたとかげは、こういいました。

「きみたちはみんな、ばらばらにたたかってきたんだろう? みんなでちからをあわせれば、きっとねずみもこわくないよ」


 とかげのことばで、どうぶつたちはけっしんしました。かれらはきょうりょくして、ねずみとたたかうことにしたのです。

 むこうをみると、いまにもねずみはうずらにとびかかりそうでした。もうじかんはありません。


「いくぞ!」

 どうぶつたちはそれぞれのとくいなことをいかして、ねずみにたちむかいました。おおぜいからいちどにとびかかられたら、さすがのねずみもたまったものではありません。さいごはうずらがはなをつついて、とうとうねずみをこうさんさせました。


「うわあ、まいった。もうやめてくれえ」


 こうしてねずみをおいだしたどうぶつたちは、そのごへいわにくらしましたとさ。


 おしまい。

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