零
神とは何なのだろうか?
――神とは、超越存在である。
ならば。世界とは何なのか?
――世界とは重なり合い、連なる内の一つの箱庭である。
では、肉体とは何であろうか?
――肉体とは鎧であり鎖である。
では……魂とは一体?
――魂とは本質である。
では、物質とは何なのか?
――愚問。物質とはオリジンの影である。
では、我々の世界は影であるのか。
――是。
オリジンに至る方法はあるのだろうか?
――是。それは本質的に神へと至る道である。
…………
………………
……………………
質問を変えよう。此処は何処なのか?
――笑止。その質問は答える必要がないゆえ。
是。では質問を戻そう。神へと至る方法とは?
――進め。そして昇れ。真実その資格があるならば、何れ到達することも、越えることもあるやもしれぬ。
…………
私は誰であったのか……?
――誇れ。おぬしの願いは叶ったのだ。この会合は一時の猶予でしかない。
そうか。私は叶えたのか。
――是。ゆえに眠るがよい。次に目覚めたとき、新たな生が待っているだろう。最も、以前の記憶は覚えてはいないだろうが、な。
私の願いとは?
――笑止。知る必要のないことよ。
…………
――誇れ、転生迷宮で己が望みを掴み取れるのは極一握りのみ。おぬしは胸を張ってよいのだ。
そうか。私は胸を張っていいのか。
――それにしても欲がない。望めば次生でチートな能力すら有せたのだぞ?
そうか。私は欲が無かったのか。
――ふむ……覚えておらぬのか?
是。覚えていない。
――致し方なき事よの。妾からの餞だ、知りたいか?
否。貴女が何故一介の転生魂に過ぎたる猶予をくれるのか、私には知る由もないが……
――ない、が?
消えゆく身だと、貴女は言った。なれば、必要無き事。
――そうか……ふむ、時間が来たようであるな。
…………
………………
名を。名を、教えてはくれまいか?
――もし、おぬしが再び迷宮に挑戦せし日が来たならばな。
そうか。では、私の名を……わ、たしの…な、は……
――知っておるよ……
何時の事か。何度目か。
時間も何も知れぬ場所で、一つの魂が己が願いを掴み取り、転生の門を潜った。
残されたのは一柱の神。
一人残された神は何を思うのか。
ゆらりゆらりと、消えゆくその姿。
最後に垣間見えたるは柔らかな笑みのみであった――――
後書き
基本注意事項とうはプロローグにて記載予定。
更新は週二~三回程度を予定。
一話辺り三千文字をベースにする予定です。
まだまだ至らない身の作者ですが。
どうか完結までお付き合い頂ければと思います。