再び冷や汗
免許を取得した翌日から、兄が乗っていたお下がりの原付バイクで家の近所をゆっくり走る練習をし始めた。すぐに慣れてきて2学期が始まる頃にはちゃんと乗れるようになるだろうと思いながら夏休みを過ごしていた。
ある日、いつものように練習をしていたら、近所のおじさんに出会った。この人は、私の中学時代の同級生のお父さん。
「愛美ちゃん、上手に走るね。うちのハルキも毎日乗って遊びに行ってるわ」
「ハルキくんも免許とったの?」
「そうそう。試験の日が一緒だったみたいだね。ハルキから聞いたわ」
え!私は嫌な冷や汗がじわりと出てきたのを感じた。
「私を見かけたって言ってた?」
「うん。おじさんもその日、試験会場までハルキ送って行ってて、愛美ちゃんのお母さんもロビーで見かけたよ」
うそー!ハルキは私の中学時代の好きな人。いや、高校が別でも今もまだ好きなんだと思う。近所に住んでるのに中学卒業してから全然会っていなかった。
「試験の時のことなんか言ってた?」
私は思わず聞いてみた。
「うーん。なんか時間が思ったよりかかったとか。確認がなんとかかんとか」
もしかして普通車の人が紛れてたからその人数確認に時間がかかったことかな。
「そうそう。意外と長引いたんだよ」
退席したことを言ってなかったってことは気づかれていないようだ。よかった。
「じゃあ練習頑張ってー」
おじさんは去って行った。
大丈夫。もうあの時のことは忘れよう。そしてハルキのことも。




