自転車・オンライン
こんにちは。
◯◯・オンラインシリーズ……。
響君が再登場です。
第7回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞への応募作です。
よかったら、ぜひ読んでやってください。
俺は神楽坂響。闇深き運命を背負った中学二年生だ。
今日もVRギアを被り、面白そうなゲーム……いや、試練を探して仮想世界をさまよう。
視界に並ぶタイトル。
『地獄の自転車・オンライン』
『自転車・オンライン』
『地味にきつい自転車・オンライン』
……普通のでいいか。地獄とか地味にきついとか、現実で十分だ。
超絶イケメンに調整された俺のアバターが、虹色の輪をくぐる。次の瞬間、石畳が広がる中世西洋風の街の広場に立っていた。風が冷たく、どこか遠くで鐘の音が鳴る。
『自転車・オンラインへようこそー!』
ウサ耳の小妖精がふわふわと宙に浮かぶ。
『ナビAIのピコちゃんでーす♪ まずは自転車を選んでください!』
ママチャリ、スポーツタイプ、マウンテンバイク。どれも無難だ。その中で、明らかに異質な一台が俺を呼んでいた。
【電子フラッシャー付きスーパー5段変速自転車】
電動じゃなくて、電子?
フラッシャー?何それ?
スーパー5段変速?
か、カッコいい!これでイイ、いやこれがイイ!
顕現した自転車は期待以上だった。
二眼ライトはスーパーカーのように鋭く、側面にはウィンカー風の反射板。
リアには派手なテールライトがずらりと並び、フレーム上部には誇らしげな5段シフトレバー。
まさにスーパーチャリだ。
『でもそれ、お勧めしませんよー?』
ピコが何か言ってるがどうでもいい。
「これで決定だ!」
『はーい。ではルール説明! スタートはこの街、ゴールは大陸東端の自由都市。大陸横断ロードレースです♪』
「負けねーぞ!」
隣では金ピカの鎧を着た男が、金ピカのママチャリにまたがり、拳を突き上げている。
『位置についてー……レッツ、スタート!』
一斉にペダルを踏み出すプレイヤーたち。俺も全力で漕ぐ――が、重い。驚くほど重い。ギアを下げると軽くなるが、今度は進まない。
『だから言ったのにー。電装のために電池山盛り、超ヘビー仕様なんですよ?』
聞いてないよー!?
それでも必死に漕ぎ続け、平原を越え、ゴール前の山岳地帯へ。
目の前に現れる峠道に、心が折れかける。
終わった……。
だが、前方に金色の背中が見えた。
金の鎧に金のママチャリ。
あいつも、きっと重い。
よし、せめてあいつには勝つ。
目標もギアも一段まで落とし、歯を食いしばって立ち漕ぎする。
現実を見ろ。
呪われた右腕も、祝福された左脚も、全部妄想だ。
一歩ずつ、一踏みずつ――重くて進まない人生でも、俺は漕ぐのをやめないと決めた。
(おわり)
最後までお読みいただきありがとうございました!
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シリーズのURLも貼っておきますね。
『第7回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞応募作』
https://ncode.syosetu.com/s8251j/
『オルゴール・オンライン』
『ホットケーキ・オンライン』
『サバイバル・オンライン』
『ギフト・オンライン』
『舞踏会・オンライン』
『風鈴・オンライン』
『自転車・オンライン』
今回もゆるいVR短編でしたが、
普段はもうちょっと騒がしい長編
『デスゲームに巻き込まれたのでマジチートしてイイですか?』
(マジチー)を連載しています。
バグ技、名古屋弁、ラーメンなど色々入り混じった
にぎやかVR冒険ものです。
よかったらこちらもどうぞ!
マジチー本編:
https://ncode.syosetu.com/n4658kt/




