王子殿下とその浮気相手たる男爵令嬢を破局させるため、側近が王子殿下に『相手が隠してる物事が見えるようになるクスリ』を飲ませた結果。
「ああああ…………困ったぞぉ」
エノーレ王国の第一王子ことアルヴァン殿下の側近の一人である俺――ユーリ・ザインホークは苦悩していた。
両親の紹介で殿下と知り合い側近となり、将来は王位を継ぐ彼を良き方向へ教え導く……そんな使命を全うせんと今まで頑張ってきたのに、いつの間にやら殿下が……エレメア・トゥインクレイト公爵令嬢という、殿下と釣り合う身分にして傍目で見ても超絶お似合いの婚約者がいる彼が、最近できた後輩ことリリアンヌ・サーディス男爵令嬢に現を抜かしてるというとんでもねー状況になってたのだ。
頭を抱えない方がおかしい。
いやそれ以前に殿下の頭もおかしいが。
というかどうやって俺を始めとする側近の監視網から逃れた??
まさか途中で影武者と入れ替わっていたとでもいうのか。
でもって入れ替わっている間にリリアンヌ嬢との仲を深めたと?
そういえば最近、王都には『アリバイ屋』という裏家業が存在する、なんて王都伝説が生まれたらしいが……い、いや、今はそんな事、どうでもいい。
今はあの脳内お花畑な殿下だ。
リリアンヌ嬢に現を抜かしているとは何事だ。
下手をすれば、王位継承者候補から外されるぞ。
まさか、まだ幼い……殿下とは十歳以上も歳の差がある、弟君のエルヴィン第二王子殿下に王位を継げとでも????
「殿下には毎度困らせられるよねぇ」
王立学園の教室で苦悩している俺に、突然そんな声がかけられた。
見ると、やはり見知った相手。
俺の幼馴染にして、俺と同じく親の紹介で殿下の側近となったコリン・バーチェ子爵令息である。
ちなみに、言っていなかったが俺は伯爵令息だ。
「笑い事じゃないぞコリン」
俺が突っ伏す机の、隣の机に座ってニコニコしているコリンに注意する。
その顔は普通顔の俺とは違い、どっちかと言うと殿下並みに整ってて、学園では殿下の次に人気があるらしい。そしてそのおかげで、多くの令嬢に声をかけられるらしいのだが、未だに誰とも婚約していないとかなんとか……とにかく俺はそんなニコニコフェイス……一部の貴族令息や令嬢には癒やし系と言われる顔には騙されないぞ。
「もしもエレメア嬢が婚約破棄されたら、俺達側近のメンツは丸つぶれだ。下手をすると責任を取らされるぞ」
最近の海外では婚約破棄をテーマにした物語が流行っていて、そしてそんな物語の通りに婚約破棄をする王侯貴族が増えていると聞く。
もしもこの国でもそんな事が起きたら……想像しただけで怖ろしい。
今の内に殿下をどうにかしなきゃ、俺達までどうなるか分かったモンじゃない。
親に頼る、という手段もあるかもしれないがそれは最後の手段だ。
親は親で俺達を信頼して殿下を任せたのに頼っては親に『情けない』と思われるだろうし、それに親は親で……陛下のフォローで忙しいのだ(意味深
だから残念ながら親を頼るのは究極最終手段だ。
どう転がろうが無理、なところまでは俺達でどうにかせねば。
「ああー。それもそうだねぇ」
しかしコリンは、事態の重大さが分かっているのかいないのか。
うっすらと目を開け微笑みながら俺に「だったらぁ、僕がお世話になっている人に相談するぅ?」と、のほほんと訊いてきた。
くっ、その声やめろ。
なんだか聞いてるとふわふわして集中して思考できん。
嫌いじゃないがな!
「というか、誰に相談するって?」
コリンが誰かを頼るなんて珍しい。
ある程度の物事……と言っても主に肉体労働系ではあるが、彼は普段、それらを自分でこなしてしまうのだが。
「ユーリも知ってる人だよぉ」
俺も知っている人、だと?
うぅむ、誰だろう……心当たりはない。
「クルーエル・サニーティア様だよぉ」
「ッ!? おいおい……かの【発明卿】に相談て……」
クルーエル・サニーティア。
その女性の名を知らない者は我が国にはいない。
国内屈指の才女であり。
その頭脳を以てしてこの世にありとあらゆる発明品を生み出し、その功績を称えられ男爵位を与えられたという、歴史の教科書にも載る事が決定している偉人だ。
だがしかし、その一方で。
時々であるが周囲を騒がせるような発明品を作るトラブルメーカーとしても知れ渡っているという困った女性でもある。
例を挙げればキリがないが。
特製の肥料を作ったら野菜や果物が逃げ回るようになったり毛生え薬を作ったら国中が毛に覆われたり頭が良くなる薬を作ったら知恵熱で服用者が全員ぶっ倒れてしまったりと……とにかく彼女は良くも悪くも発明家なのだ。
故にその二つ名は、良い意味でも悪い意味でも【発明卿】。
ついでに言えば、その発明品が国の危機を救った事も何度かあるため【エノーレの切り札】や【安全弁】などとも呼ばれている。
「なんで【発明卿】と知り合いなんだコリン?」
「ちょっとねー」
言葉を濁すコリン。
だが彼の意見にも一理ある。
サニーティア卿に自白剤でも作ってもらえたら、リリアンヌ嬢の企みを白日の下に晒せるかもしれない。
「よし。とりあえず、彼女に相談だけしてみるのもいいかもしれない。一緒に来てくれないか?」
「うん、いいよー」
そして俺は、コリンと共に、コリンがお世話になっているというサニーティア卿のもとへと行く事になったのだった。
※
「初めまして! オイラがクルーエル・サニーティアにょろ!」
訪れたのはサニーティア卿の住んでいる田舎の屋敷。
周囲に民家はない。実験のせいで周囲に問題が起こらないようにと、陛下がこの土地をサニーティア卿に与えたのだ。
そしてそんな玄関前で、俺とコリンはサニーティア卿と向き合っているのだが。
「…………サニーティア卿? まさかこんなに小さい子が?」
目の前にいるのは。
どう見たって青髪ツインテな十歳前後の少女だった。
「クルーエル様はねー、若返りの薬を試しててこうなっちゃったらしいんだー」
「いやー、照れるにょろ」
治験の結果!?
まさか○ポト○シンかな!?
というか照れるところじゃないよね!?
「で、オイラのトコにわざわざ貴族様が来るって事は、相当ヤバい事態が起こったって事で、よろしいにょろ?」
貴族への態度以上にオイラや~にょろという言葉が気になる俺。
だがそれはなんとか無視し「実は、ですね」と話を切り出した。
するとサニーティア卿は、
「そっか~、そんな事が~。つ・ま・り、相手の秘密が分かるようになるクスリが欲しいにょろ?」
「ま、まぁそんなところだ」
薬ではなくクスリと書くとなんかヤヴァい感じのヤツを連想してしまうがそれはともかく。
「出来ますか?」
「フッフッフッ、貴族さん、訊き方が間違ってるにょろ」
得意気な顔でサニーティア卿……いやこんな生意気なヤツは普通にクルーエルとでも呼ぼう。とにかく彼女は得意気な顔で俺に言った。
「出来ますか? よりも、いつ出来る? と訊かれたいにょろ」
つまり、作る事は可能という事か。
その事実を知り俺は深く溜め息を吐いた。
何はともあれリリアンヌ嬢の……おそらく国母の地位に就こうとかそんな陰謀であろう陰謀を暴けるチャンスが巡ってきたぞ。
「三日もあれば余裕にょろ」
「三日!?」
まさかそんなに早く作れるとは。
だったら善は急げだ。
俺達はすぐにクルーエルに「よろしくお願いします」と頭を下げた。
※
そして三日後。
俺とコリンは再びクルーエルの屋敷にやってきた。
「やあやあ、よく来たにょろ! クスリは出来てるにょろ!」
彼女は満面の笑みで俺達を出迎えた。
完成していなければ笑顔なワケがない……逆に未完成でも笑顔だったらすご~くフザけた人物だと思うが、とにかく出来てるようで何よりだ。
「はい、これにょろぉ~」
そしてそう言って、彼女が懐に手を突っ込み取り出し、差し出したのは…………透明な液体が入った瓶だった。
「それを、真実を知ってほしい人に一滴分でもいいから飲ませるにょろ」
「秘密を持ってる側に飲ませるんじゃないのですか?」
被害者側に飲ませる薬、だと?
予想外な説明だったため、一瞬困惑した。
「???? 相手の秘密が分かるようになるクスリが欲しいのかと訊いて、そうだと言ったのはそっちにょろ?」
あ、そういえばそんな問答をしたな。
だったらこんな薬が出てくるのも……いやでも、普通に加害者側がゲロっちゃう感じの薬でもよかったんじゃないかな????
「ちなみにクスリの効能だけど、相手が心の内に隠してる物事の場合は、心の声という形で服用者が受信できるようになって、物理的な隠し事の場合は、その隠し事を透視という形で服用者が認識できるようになる……ようは服用者を、一時的に超感覚系超能力者にするクスリだにょろ♪」
これまた歴史を変えかねない発明!?
軍事利用すれば世界のパワーバランスが一変するんじゃないかな!?
「じゃあ後はぁ、これを殿下に盛ればいいんですねぇ?」
おいコリン!!
まるで毒っぽい感じで言ってるけどこれ毒どころの薬(あれ?? なんか表現がおかしいかな??)じゃないからな!!?
「その通りにょろぉ~」
いやクルーエルもクルーエルで肯定しちゃった!!?
え、まさかこれ本気で毒みたいな感じなのか……いやまさか、ねぇ??
「と、とにかくありがとうございました。なんとか殿下に飲ませてみます」
そして……なんか怪しい感じはするものの。
作ってくれたお礼はせねばと、俺はクルーエルに頭を下げ……ワンテンポ遅れてコリンも頭を下げた。
「いやいや、こっちとしても面白かっ……あ、そうだにょろ」
クルーエル……一応俺達と同じ貴族ではあるものの、彼女よりも上位のランクな貴族の令息である俺達への態度がなっていない彼女は、まるで友達を前にするかのように……一応偉人が相手だから下手に出ている俺達がアホらしくなるくらいフランクにそう言うと、ふと何かを思い出したのか途中で話を変えた。
「この時期に製薬の依頼をするくらいだから、近々行われるっていうチャリティーイベントでそれを試すつもりにょろ? それオイラも行くからよろしくにょろ~」
ッ! 発明卿と言われるくらいだから。
貴族のそういう行事とかには興味ないと思っていたが……来るのか。
いや、よくよく考えると。
彼女が来るのも納得かもしれない。
※
クルーエルが作ってくれた薬を使う絶好の機会である、チャリティーイベント。
それは、このエノーレ王国の同盟国である『ランダーラ王国』のために開かれる事になった行事である。
かの国は先日、最近勢力を伸ばし始めている『バルンガン帝国』が仕掛けた戦争によってボロボロになった。エノーレ王国、そしてクルーエルの発明品の力によりバルンガンを追い払う事はできたが……戦争による物理的精神的な傷跡まで元通りにする事はできなかった。
チャリティーイベントは、そんなランダーラ王国のさらなる復興支援のために、今回開かれるのだ。
というか個人的には、そんな行事で薬を使いたくない。
下手をすれば、殿下がリリアンヌ嬢に暴言を吐いて……その場の空気をぶち壊しかねない。
だがしかし、この薬は殿下とリリアンヌ嬢がちゃんと揃っている時に使ってこそ意味がある薬であり、ついでに言えば二人は……最初に言ったが、俺達側近の目を盗み逃げるため、どうしてもこの日しか使うチャンスはない。
衆人環視の下で逃げられるというなら話は変わってくるがな。
「それでユーリ、どうやって殿下だけにお薬を飲ませるのー?」
「よくぞ訊いてくれたコリン」
俺と同じく、そのチャリティーイベントに殿下の側近として来ているコリンに、俺は先ほど運ばれてきたソフトドリンクを一杯飲んでから言う。
「実は殿下は、お前は気付いているか分からんが、リリアンヌ嬢と出会った頃からリップクリームを使っているんだ」
「ふんふん、それでー?」
リップクリーム云々よりも。
話の結論が気になる様子のコリン。
「俺は殿下のリップクリームに薬を塗っておいた。飲み物を飲んだ時、上唇は必ず濡れるだろ? すると塗っておいたリップクリーム、そして薬が溶け、殿下は薬を飲む事になるというワケだ」
「なるほどー! なんだか毒殺にも使えそうなトリックだねぇ」
それを指摘されると弱いな。
何せこのトリック、最近流行りの婚約破棄モノのせいで、日の目を見なくなってきた推理モノの小説に載っていたトリックだからな。
「あ、殿下達が入ってきたよぉ」
コリンが前方――チャリティーイベントの会場である、城の大広間に入ってきた正装の殿下と……それなりに胸部の膨らみがあるにも拘わらず、貴族の常識を知らないんじゃないかとしか思えないくらい、非常識なレヴェルで胸元がひらいているドレスを身に纏うリリアンヌ嬢を見て言う。先ほども逃げられたが、いったいどうやって俺とコリンを始めとする側近の目を逃れイチャつくのやら。
ちなみに、殿下の婚約者であるエレメア嬢は……おいおい殿下。
いよいよ彼女――リリアンヌ嬢ほど大きくはないが、それなりに膨らんでる胸部を持つエレメア嬢に「一人で行け」と言ったのですか!?
彼女の兄であるトゥインクレイト公爵令息が……しかも、今にも大噴火をしかねないレヴェルで青筋を浮かべているトゥインクレイト公爵令息がエレメア嬢に付き添ってるじゃあないですかッッッッ!?!?!?
殿下ァー!?
なぜ気付かないこの怒気に!?
「こ、これは早めに殿下に目を覚ましてもらわねば」
このままではトゥインクレイト公爵令息が逮捕される事態になりかねん。
今の内にリリアンヌ嬢の陰謀云々を白日の下に晒さねば……下手すればこの国は真っ二つに割れる。
「コリン、プログラムを短縮できないか、父に相談をしてくる。トゥインクレイト公爵令息が殿下に殴り掛かりそうになったら……頼むぞ」
「まっかせてぇ」
コリンは親指を立てながらウインクした。
「トゥインクレイト公爵令息に加勢すればいいんだねぇ☆」
「違うわッ!!!!」
言っていなかったが、バーチェ家は武闘派気味な貴族である。
いや、コリンが肉体労働系の物事をこなす云々な説明の時点で予想していた方もいるかもしれないが……とにかく彼の一族は武闘派気味である。
ちなみになぜ、気味、と付けるかというと……強いのは一族内の一部の者限定であるから。
調べてみると、どうやら彼の先祖の中には人一倍強い方がいたらしく、彼のその武力はレアケースな先祖返りによるモノらしいのだ。
その証拠に、彼の両親や他の兄弟はそこまで強くない。
それはともかく。
俺はその場をコリンに任せ、陛下の近くにいると思われる父のもとへ。
数分だけ時間を掛け、ようやく父を発見。
父は、最近感じるストレスのせいで腹を下して、トイレに籠ってしまった陛下のお供としてトイレの外にいた。
そしてそれ故か、父は最初、俺をジロリと睨み付けた。
後にしろ、と目が言っているがそれどころじゃないので事情を説明。
すると父は「分かった。なんとかしてみよう」と溜め息まじりで言った。
暴力事件に発展するよりは、暴言事件に発展する方が……いや、どっちも印象が悪い事件ではあるが、衆人環視の中で起こる暴力事件よりも、その気になれば聞き間違いとかで誤魔化せる、言葉の暴力の事件の方がまだマシだと……さらに、もしもの時は殿下に全ての責任を負わせて廃嫡にすればいい、とも思ったのだろうか。
とにかく俺は安堵した。
あとは、殿下が全てを知った、ちょうどいいタイミングで、殿下とリリアンヌ嬢を別室にお連れして、秘密裏に問題を解決すればいいだけだ。
だが話はそこで終わらない。
父はさらに「一応、会場にいるというサニーティア卿に確認を取れ。もしもの時のための策は講じてあるかどうかのな」と言った。
そして、それを聞いた瞬間。
父が、俺が考えてる以上に最悪の事態になった場合を考えてたのを知った。
「は、はい!」
すぐに返事をするなり、俺は会場にすぐ戻り、クルーエルを捜した。
会場内の多くの貴族の隙間を縫いながら彼女を捜す。
藁の中から針を探すようなもんじゃないかとふと思うくらい、賓客は多かったのだが……意外にも彼女はすぐに見つかった。
なぜならば。
彼女はこの場でも白衣姿だったからだ。
俺は一瞬、唖然とした。
だがすぐに彼女に駆け寄る。
「サニーティア卿」
「おや、その声はユーリにょろ?」
またしても貴族に対する態度じゃない態度!
いや今はそんな事を気にしている場合じゃない!
父がどこまで事態を読んでるのか……まだ父と同じレヴェルまで物事を読み切れない俺には全然わからないが、それでもそんな父があそこまで警戒しているのだ。何が何でも訊かねば。
「サニーティア卿、父は……そして俺も、あなたがどこまでの事態を想定してて、そのためのどんな対策を講じているのか知りたがっています」
「もちろん、会場内で起きた事件を強制的に鎮圧できるレヴェルの対策を講じてるにょろ」
即答された。
それも、なぜそこまで大袈裟な対策をするのか……いやまさか、それが起きる可能性が大きいと考えてるのか、と思うような返答だった。
「い、いったいそれは――」
「それはともかくユーリ、これを君に渡すにょろ」
俺の言葉を遮り、クルーエルは俺に……一粒の錠剤を渡してきた。
「君のご両親や友人には、既に郵送しておいたにょろ。無論、殿下には送ってないにょろ♪」
「…………え?」
さらにワケが分からない返答をされた。
「そろそろにょろねぇ。というワケで、早めにそれを飲んでおく事をオススメするにょろ」
だがそんな俺の反応などお構いなしに。
クルーエルは俺に、自分が飲んでいたのとは別の飲み物を「大丈夫にょろよ。水以外の飲み物でも飲んでいい錠剤にょろ」と言いつつ渡してきて――。
「ッッッッ!? り、リリアンヌ!! お前……俺様を騙してたのか!!?」
――事は、起こった。
殿下の声……いよいよ薬の効果が出たようだ。
反射的に、殿下が見える場所へと俺はすぐに向かう。
錠剤の事などすっかり忘れた。
というか早めに殿下とリリアンヌ嬢を別室にお連れしないと、会場内にいる海外のゲスト達に悪い印象を与えかねな――。
「ッ!? お前か、我が家の金庫から金をくすねていたのは!」
――しかしここで、思いもよらない事が起きた。
「それがお前の本性かぁ!」
「酷い、ワタクシを今まで騙していたのね!」
「この泥棒猫、よくも!」
「お前は今日限り、我が社に来なくてもよい!」
「僕の子だと言ったのは嘘だったのかい!?」
! ? ! ? ! ? ! ? ! ? ! ? ! ? ! ? ! ?
な、何が起こっている!?
な、なぜか周囲の方々まで……俺が殿下に飲ませた薬と同じ薬を飲んだかのように怒りまくって暴力まで!?
「あー、一応見に来て正解だったにょろ」
すると、呆然としてた……物が飛んできてもあまり避けない俺の横に。
クルーエルはゆっくりと歩いてきて……溜め息まじりで、そう告げた。
「…………さ、サニーティア卿……こ、これはいったい――」
「ユーリ以外に、あのクスリを求めている貴族はいないだなんて――いったいいつから錯覚してたにょろ?」
次の瞬間。
俺の頭はハンマーで殴られたかのような衝撃を受けた。
そうだ、普通に考えればそうじゃないか。
最近、婚約破棄モノな物語が流行ってて、それの真似をする貴族が出てきているって知っていたクセに……なぜ俺は、俺以外にも、薬を求めている存在が……自分の恋人や妻や仕事のパートナーが、自分を裏切っていないかどうか心配する存在がいる可能性に思い至らなかった!?
「いやぁ、実はねユーリ……君達が来る前からね、他の貴族に頼まれていたにょろよ、あのクスリの製造を」
そして、ショックを受けた俺に。
乱闘騒ぎが起きているのをただただ見ている事しかできない俺に……クルーエルは告げる。
「普通はあのクスリ、ひと月は時間を掛けなきゃ作れないにょろ。でもって、作る間に似たような薬を所望する貴族達がやってきて……だからこそ、三日でユーリに渡せたにょろ」
そ、そういう事だったのか。
「ちなみにオイラは、クスリを作っていた時からこの事態を想定していたにょろ。だから、あらかじめ会場に……彼らを鎮圧するための発明品……ここ数時間の記憶を消すクスリと、気絶させるためのクスリを出す噴霧器を設置したにょろ。そして君にさっき渡したのは……それらを無効化するためのクスリにょろ」
「…………なぜ、俺にそれを?」
ワケが分からない。
すぐに現実を見て把握して対処しなければいけないのに……目の前で起こってる事があまりにも衝撃的過ぎて、頭が働かなくて、すぐに理解できない。
「君やその友人、さらには親達に事件後……その原因となった貴族間の不貞などの問題を、秘密裏に解決してもらうためにょろ」
ッ!? ま、まさかクルーエル。
ここまでの事態を引き起こしておきながら静観するような神経をしてるクセに、ちゃんと解決策まで考えていたのか!? いやそれ以前にお前が元凶だって自覚はあるのかな!?
ていうか父が、俺がクルーエルに相談した云々な事情を聞いて怒らなかったのは……あらかじめクルーエルから……それとなく、何か大事件が起こる可能性があると知らされていたからなのか!?
「それに、そろそろユーリにはコリンの秘密を知ってもらった方がいいにょろよ」
「?? なぜそこでコリンが…………ッ!?」
ま、まさか!?
俺も飲んでしまっていた!?
いやなんで!?
誰が俺に飲ませるの……いやそれ以前になぜコリンの名がここで!?
というかコリン、何か俺に隠しているとでも!?
「アホな事に、料理や飲み物にクスリを混ぜたヤツがいるっぽいにょろよ。君の口から例のクスリのニオイがするにょろ」
な、なんだってぇーーーーッッッッ!?!?!?
「た、大変だよぉユーリぃ」
そして俺がさらなる衝撃を受けている時だった。
タイミングが良いのか悪いのかコリンが後ろから駆けてきた。
「よ、よく分からないけどぉ、殿下が急に鼻血を出したかと思ったら、急に真顔になって……それでリリアンヌ嬢と言い合いになっちゃってるんだよぉ」
なんじゃそりゃ!?
立て続けにワケが分からない事(クルーエルの説明のおかげである程度の疑問は氷解したが)が起こってイラつき始めていた俺は、すぐに後ろを向きつつツッコミを入れようとして――。
「あ、覚悟するよう言うの忘れたにょろ」
――そんなクルーエルのワケが分からない台詞が聞こえ。
そして同時に、俺はコリンの“真実”を見て…………鼻血を出しつつ倒れた。
※
小さい頃から、俺はコリンと一緒に遊んでいた。
同い歳である事も関係あるかもしれないけれど、それ以上に俺達は気が合って。そして当時の俺が提案した子供ならではの無茶な遊びとかに嬉々として付き合ってくれたから……それはもう昔は楽しかった。
いや、今が楽しくないワケじゃない。
寧ろ今の俺がいる……政治とか派閥とか関わってくる、面倒臭い世界の中じゃ、コリンは俺にとっての唯一の癒やしだ。
そして、そんなコリンが。
いやある意味では納得かもしれないが。
まさか――。
「女だったとは」
気が付いて早々、俺はどこかの部屋の……おそらく城内のベッドの上で、衝撃の事実を口にした。
そう、コリンは女だったのだ。
今まで俺に、女である事を隠していたのだ。
そしてそんな彼女に『相手の秘密が分かるようになるクスリ』を飲んだ俺が目を向けたらどうなるか…………………………あとはお察しである。
まさか、クルーエルの薬のせいで、彼女が説明した通りに……コリンが着ていた服の下――サラシや下着だけじゃなく、その下のエッッッッな部分まで見えるようになってしまうとは…………次に彼女と会った時どうすればいいんだ!?!?!?
もう同性の友人として見れないどころか、恥ずかしくて目を合わせられない!!
というかそれ以前に彼女の秘密を見てしまった責任を取らなければいけないかもしれない!!
というか、もしかして。
そのコリンが言っていた殿下の異変…………話はちょっと変わるが、リリアンヌ嬢の常識外れな服やバストから、ある程度予想していた方がいたかもしれんが……殿下は巨乳好きである。
それも偽乳じゃないナチュラルな巨乳好きである。
そんな殿下がもし、リリアンヌ嬢の秘密を……俺がコリンのサラシ、そしてその下のおっぱいの順に透視できるようになったように、段階的に透視したのだとすると……最初はリリアンヌ嬢の下着、肌と来て……次に、まさかの偽りのおっぱいを透視しちゃったとすると納得である。
「って、いやいや納得している場合じゃない。これからコリン……いやコリン嬢? とどんな顔して会えば――」
「――もうそばにいるよぉ」
ッッッッ!?!?!?!?
き、気付かなかった!!
知らない天井ばかりを見てて横を見てなかった!!
というか……事情はクルーエルから聞いているだろうに。
俺もまた、薬を飲んでて、お前の秘密をバッチリ見てしまった事実を知っているハズなのにそばにいてくれるなんて……いや、お前も恥ずかしいよな。たぶん俺と同じくらい顔が真っ赤だぞコリン。
「…………あのね、僕の家には変わった風習があるんだぁ」
そしてそのコリンは……恥ずかしいだろうに、俺に視線を向けつつ話し始めた。
「生まれた女児に、二十歳まで男児の格好をさせろって。なんでも僕のご先祖様のとても強い人がねぇ、男装の麗人だったとかで。それで昔の栄光とかを取り戻そうとかでそういう風習が生まれたんだぁ」
なんだそりゃ。
東方には魔除けのために男児に女児の格好をさせる風習があると聞くが……それとは違うな。どっちかと言うと、獣の皮を被り獣と同じ能力を得るとかそういう系の呪術の方が近いだろうか。
「ごめんねぇ。ユーリや他の友達にも話したかったんだけどぉ、お父様に、男除けの意味も兼ねて友達には絶対話すなって言われて…………さらにはお父様、クルーエル様に依頼して、如何なるおっぱいサイズだろうとサイズダウンできるサラシを作ってもらって、それを毎日着けるよう言われててぇ」
ここでクルーエル!?
そんな物のためにお世話になってたの!?
いや、それはそれとして。
コリンが正直に話してくれたのだ。
男装していたワケを。
だったら俺も。
彼女に正直に謝らねば。
「…………すまない、コリン嬢。薬の影響とはいえ、その……見てしまって」
だが…………ちゃんと言えるかぁ!!!!
ハダカとかそういうのを軽々しく口に出せるか!!!!
貴族以前に人としてメチャクチャ恥ずかしいわ!!!!
というか、そもそもクルーエルのせいでこんなに気まずい事になっているってのにそのクルーエルはどこだ!?
「き、気にしないでよぉユーリ……様?」
コリンは茹でダコみたいに顔を真っ赤にしながら言う。
くそぉ、そっちが恥ずかしそうにすると、こっちも物凄く恥ずかしくなってくるじゃないか。
「と、というか……お、お粗末なものをお見せしまして」
「いや、そんなとんでもない!!」
…………俺は別に、女性のおっぱいが嫌いなワケではない。
いやそれ以前に、おっぱいが嫌いな男はほとんど……よほどのトラウマでも植え付けられていない限り、いないだろうが……それはともかく、だからと言って殿下ほど拘っているワケでもない。
だけど敢えて言わせてくれ。
そんなに卑下するようなおっぱいじゃなかったぞ。寧ろ形は整ってるし色も綺麗だったし…………美乳ってああいうのを言うんじゃないかな?
――なんて言えたらどれだけいいか。
そんな事を正直に言ったらどっちにしろ変態じゃないか!!
いや、もしや貴族のしがらみとかが無かったら普通に話せたのだろうか……って何を考えてる俺というか見てしまった時の事を思い出して頭が熱暴走してマトモに働いてくれない!!
くそっ、だがこれだけは言わねば!!
「こ、コリン嬢!!」
「え、ひゃ、ひゃぃ!?」
「な、なんと言うか……その……せ、責任を取らせてもらいたい……お、俺と婚約を――」
「ユーリは責任云々で、僕と婚約するの?」
ハートにグサッと来た。
惚れたとかの意味じゃなくて。
精神的ダメージな意味で。
いや、その上目遣いが可愛くて、見てるだけでちょっとずつだが精神が回復している気はするが……それはともかく。
これは悪手だったか。
くそっ。女性経験がないのが裏目に出た。
もっと他の令嬢にも話しかければよか――。
「僕、初めて会った時から……ユーリが好きなんだよぉ」
――とぅえッッッッ!?!?!?
赤面。
涙目。
さらには上目遣い。
男としてグッと来ない人はいないだろうコンボでの……まさかの告白だった。
女であった事が発覚した時以上の衝撃が、俺を襲う。
そしてそのせいで先ほどよりも頭が熱暴走して……だがしかし!!
涙目であるために!!
すぐに熱が冷めてメチャクチャ申し訳ない気持ちに!!
と、というか……コリンの方が圧倒的に強いのに!!
すっごく、護ってあげたい気持ちが込み上げてくる!!
こ、こんな時はどうすれば!?
「というか、好きだから今まで……他の令嬢を牽制してたのに…………最終的にはお父様を説き伏せて、ユーリと婚約したかったのに…………責任を取るために婚約って…………こんなのってないよぉ!!」
というかさらに涙が!!
ってか裏でそんな事をしてたのかコリン!?
いやそれ以前に……女性を泣かすとは最低過ぎるだろう俺!!
こ、こういう時は…………えぇい!!
何を言ったらいいか分からんがこうなったらヤケだ!!
正直にいろいろ言ってやる!!
コリンもコリンでいろいろブッチャケたんだから、これで少なくともおあいこだろうが!!
「お、俺は…………正直に言うとまだ、お前に対して、女性としての好意をあまり抱けていない!! だけど、それでもお前の事は友人として、これ以上ないくらい好きだし!! というか殿下の事で忙殺される俺の唯一の癒やしだし!! お前は俺が一番必要にしてるし!! 頼りにしているし!! いなかったらと思うと怖いし!! それに…………じょ、女性と親密に、今まで一緒にいたのを、思い返すとだな……げ、現金だと笑ってくれても構わない。じ、実はお、お前の事を……一人の女性として好きになり始めてるし、そ、それにな――」
「ふふっ、もう……分かったよぉ」
すると、ようやく俺の必死さが伝わったのか。
それとも俺の必死さが笑えたのか……とにかくコリンは、いつもの……俺の唯一の癒やしである笑顔を取り戻した。
俺と同じく、茹でダコな顔はそのままで。
「…………じゃあ、僕を……いつか女性として好きになってくれますか?」
「…………あ、ああ。というか……絶対、好きになると思う」
「じゃ、じゃあ」
そして、そんな茹でダコな状態のまま。
「ユーリ、様…………僕と……婚約してくれますか?」
「いや、それは俺から言わせてくれ…………俺と婚約してくれ、コリン嬢」
「う、うんっ……ゔんっ」
俺とコリンは、この瞬間…………ついに婚約し…………………………んん??
なんか聞き忘れている事がある気がするけれど……まぁいっか。とにかく今は、この幸福をゆっくり味わっていよう。熱暴走でいろいろ疲れた。
※
「いやぁまさかリリアンヌ嬢が偽乳……しかもオイラとはまた異なる発明家が実施した、豊胸手術で手に入れた物だったとはビックリにょろよ」
ユーリが運び込まれた、城内の部屋の外での事。
クルーエルは、目の前に立つ男性に気さくに話しかけていた。
「はぁ。陛下関連だけでも問題が山積みだっていうのに……殿下を籠絡しての王家乗っ取りとかを考えてたサーディス男爵を捕まえるキッカケをくれた事は感謝してますけど、これ以上、仕事を増やさないでください……サニーティア卿」
今回の事件の数少ない記憶保持者の一人。
ユーリの父親ことザインホーク伯爵である。
「いやいやぁ、王家の懐刀なポジションの人が何言ってるにょろ? これくらいの仕事量くらい楽勝にょろ?」
「…………アンタのおかげで俺はここまで来れたから……あまり文句とか言いたくないけどなぁ。国家を揺るがしかねない事柄に首を突っ込む際は、一言でいいから事前に言えって前々から言ってんだろうがこの若作りババアッッッッ」
あまりにもブラック気味な後始末を、当然のように任されたからか。
それとも、クルーエルとの間にある因縁のせいか……難しい顔のままで思わず声を荒らげるザインホーク伯爵。
しかし、クルーエルはどこ吹く風だった。
それだけ彼とのやり取りに慣れているのか。
それとも……。
「…………それはともかく。
まさかの事実を知って鼻血出して気絶したユーリに、コリンが躊躇なく、口移しで無効化のクスリを飲ませるとは!! あの瞬間じゃ、あれがベストな選択だったから嬉しい衝撃だったにょろ♪ おかげでこっちも、躊躇なく記憶を消すクスリと気絶させるクスリを散布できたにょろ♪ いやぁコリンさまさまにょろ♪ お安くないって感じにょろ♪ 初めてを躊躇なく捧げられるだなんて♪」
「…………二人の口付けは初めてじゃないですよ」
怒りの声から一転。
ザインホーク伯爵は急に穏やかな声で……なぜユーリが、クルーエルが散布した薬の影響を受けていないのか、についての話を補足した。
すると次の瞬間。
クルーエルは女性であるがために……ザインホーク伯爵の思惑通り、すぐに食い付いた。
「ええっ!? ちょ、それについてもっと詳しくにょろ!!」
「教えませんよあなたには。好き勝手してこっちを忙しくしたお返しです。永遠に解けない謎に苦悩し続けてください。ちなみに二人に直接質問させません。それと自白させられる前にコリン嬢はウチのSSS級の護衛に護らせますので絶対に自白させません。さて、忙しくなるなぁ。いったいどうやってコリン嬢を溺愛しているあのバーチェ卿を口説き落とそうかなぁ」
「え、ええええッ!? ちょ、気になるにょろぉー!?」
だがザインホーク伯爵は、早口でそう捲し立て。
己の息子とコリンのこれからを祝福しながら……因縁深い発明卿と共にその場を後にしたのだった。
※
俺とコリンが口約束での婚約をしてから……三日が経った。
そしてこの三日間で……殿下やその他の貴族の不貞などの事件は秘密裏に次々と解決する事となった。
あまりにも問題が多過ぎるので、今回は殿下関連の話だけにするが。
あの後、俺は殿下にリリアンヌ嬢の真実を改めて伝え、しかし信じてくれないので改めてクルーエルの薬を飲ませて……ソッコーで殿下はリリアンヌ嬢と別れた。
そしてそれと同時期に。
当たり前だが今回の事が原因で……リリアンヌ嬢の家は取り潰しとなり、殿下は王位継承権を剝奪された上で、僻地にあるらしい、それなりに質素な衣食住を保証される王家の別荘に追放・幽閉されて……でもって第二王子であるエルヴィン殿下が、王位を継ぐ事になったらしい。
恥ずかしくて、もう長男は世間に出せない、的な思いの上での処置なんだろうなあの陛下からすれば。
ちなみに、殿下関連の騒動の原因については貴族の間だけの秘密である。
理由はもちろん……王家の恥と言うべき原因だからだッ!
でもって、国民に対しては……アルヴァン殿下がテキトーな罪を犯したために、その罪に対するテキトーな罰を彼に与える事になったと報じられた。
正直、こんな結末になったため……俺とコリンを始めとする側近の、アルヴァン殿下に尽くしてきた時間を返せ、と王家に言ってやりたい気持ちだが……なんとか抑えた。
それを俺が……王家に不満を持っているものの、同時に王家の血には優秀な部分もあるので、なんとかそれを利用して国を動かしている貴族派閥の筆頭である我が家の人間が言ってしまえば、それこそ国が真っ二つになりかねないから。
「ねぇ知ってたユーリ様ぁ?」
まぁ今は、そんなアホらしい事はどうでもいいか。
コリンと、心穏やかな日々を過ごせているんだから。
「なんだコリン嬢?」
というかいきなりそんな質問をされてもな。
「アルヴァン殿下の元婚約者のエレメア様ってねぇ、実は私と同じサラシを巻いていたんだよぉ」
「…………………………ヴェっ!?」
衝撃的過ぎるまさかの事実だった。
という事はなんだ……エレメア嬢はそれなりに大きかったと!?
「お茶会の席でエレメア様から聞いたところによるとぉ、どうもね、小さい頃からアルヴァン殿下に『俺様より目立つな』って言われてたみたいでぇ。それで数年前から目立ってきたおっぱいをどうにかするために、例のサラシを着けていたみたいなんだよぉ」
…………………………アルヴァン殿下。
なんと言うか、自業自得じゃないですか。
というか噂じゃ、エレメア嬢がアルヴァン殿下の代わりに婚約を結ばされたエルヴィン第二王子殿下も………………そういう血筋なのか巨乳好きらしいが……いやホント。これは自業自得ですね、アルヴァン殿下。
いや、そんな事はどうでもいい。
王族のおっぱい好きな一面よりも、俺は……ちょっとずつ異性として好きになり始めている婚約者との時間を、今は大事にしたい。
~殿下が幽閉された別荘での面会時~
ユーリ「そういえば殿下。
エレメア嬢は実は隠れ巨乳……いや隠れ爆乳だったそうですよ?」
アルヴァン「ッッッッ!?!?
ウゾダ……ウゾダドンドコドーン!!!! l||l( ›ଳдଳ‹ )l||l 」
コリン・バーチェ(17)
身長:167
偽B:79(AA)
真B:89(D)
W:62
H:87
リリアンヌ・サーディス(16)
身長:158
偽B:91(G)
真B:76(A)
W:59
H:79
エレメア・トゥインクレイト(18)
身長:155
偽B:77(B)
真B:92(H)
W:57
H:86