もしもあの星が落ちたら
「みてみて!綺麗な星がたくさん!」
帰り道、君は呟いた。
「あんなのいつも通りだろ。」
「いやー、今日の星さん達は私を励ましてくれてる気がする!」
テストで赤点を取った天道 日向は元気にはしゃいでいる。
日向は入学式でいきなり話しかけてきて、まさかの最寄り駅が同じで、割と強引に一緒に登下校している。
どういう感性をしているんだ、星に感情なんてないだろ。
今日の僕にはあの星はゴミ屑のようにしか見えない。あんなにチカチカして光って、赤点でも全く落ち込んでいない日向くらいうざったい。
「ほら〜、織は元気出しなって!3点差で1位を逃したのは惜しいけど、2位でもめっちゃ凄いじゃん!」
と言いながら、日向は僕のリュックを強めに叩く。
「強い...」
「男の子なんだからこれくらいで痛がらないの!」
「理不尽にも程があるだろ。」
「てへっ、ごめんね!まぁ私からの励ましだよっ!」
赤点のお前に励まされても何も思わないんだが...
まぁ少しは気が紛れた。次こそ1位を取ってやる。
「お前は人の心配より、自分の心配した方がいいと思うぞ。」
「あ、、あははー、そうかもねー」
図星だったようで、急に気が弱くなった。
50メートルくらい無言になり、急に日向が止まった。
「ねぇ、織。」
「なんだ?」
「私に勉強教えてよ。」
「いいけど、基礎から覚えなきゃだから大変だぞ?」
「うん、織が教えてくれるなら頑張る。だからさ、毎日放課後織の家行っていい?」
「え、?いや、家はちょっと困る。」
「なんでー!いいじゃん。」
「図書館でいいだろ。」
「閉まるの早いし、うるさいと迷惑かかっちゃう!」
「騒ぐな。」
「やだ、織の家がいい!」
「もー、分かったよ。でも、ちゃんとやれよ。」
「やった!」
日向があまりにも引かないので、僕が引くしか無かった。
こいつはいつも強引だ、そして僕はこいつの押しに弱い。
なぜなら目をキラキラさせてお願いしてくる。そして断れば、しばらく拗ねて黙ってしまう。全く、子供かよ...。
私は天道日向!
入学式に超イケメンな人がいた。しかもその人が私の教室に居た!私はその人に一目惚れした。思い切って話しかけてみた!
「私、天道日向!よろしくっ!」って、心臓が飛び出るくらい緊張した。そしたら、「僕は星野 織。よろしく。」と落ち着いた声で返事が返ってきた。全てがカッコイイと思った。
次の日、朝最寄り駅のホームで電車を待っていると、星野くんの姿があった。
まさかの最寄り駅が一緒で、その日の放課後「一緒に帰ろう!」とお願いしてみた。これまた私の心臓が星野くんの口まで飛び出るくらい緊張した。
向こうは「なんで?」って聞いてきたけど、好きだからなんて言えるわけない!
だから、なんでも!と少し強引に頷かせた。
そうして、2週間経って今に至る。お互いすぐに馴染んできて名前で呼ぶようになった。
決して、私が一方的に呼んで、織に呼ばせてる訳じゃないからね!星野織。そんな名前を思い浮かべながら星を見た。
いつになったら、あの星は落ちてくるんだろう。
(いつになったら、"星"野 織は恋に落ちてくれるんだろう。)
そんなことを思った。
良ければ評価、コメントください!
いい感じだったら続編書きます。