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ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第2章 Those who drop the stars 《天ノ星編》
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第65Q vs Amanoboshi Part 5

 第1Qが終了した時点での点差は30対10。

 翠央との練習試合の時のような絶望的な試合には辛うじてなってはいないものの、それでも逆転なき積み重ねのスポーツと言われるバスケットボールにおいて、ここからの巻き返しはボクたちの実力ではかなり厳しい点差であることは隠しようのない事実であった。

 こうしてみると、こうなってみると、県大会決勝での翠央のレベルの高さが改めてわかるというものだった。

「天ノ星、まさかここまでとは思いませんでした」

「…………」

 2分間のインターバル。

 本来ならば作戦を練る場面だが、作戦でどうこうなる問題でもないことは既に明白であるだけに、神坂先生は作戦を伝えることはしなかった。

「麻倉……」

 そう呟く先生に対して、ボクはただベンチで座り込むことしかできなかった。

 あと30分で全てが終わる。

 この想いも、この気持ちも、この苦しみも。




「あーあ! まさか本気を出してこないなんて、舐められたもんだなー!! こう見えてもうちはインターハイ決勝トーナメント出場校なんだけどなー!!」

 菊川が体育館にいる誰も彼もに聞こえる声で、わざとらしく独り言を叫んだ。

「さて、そろそろ見たいんだけどなー。あの子たちの本気ってやつをよお。人は環境に適応する生き物だ。それは良い意味でも、悪い意味でもだ。環境が人を変える。緩い環境に身を置けば、緩い環境での力分しか発揮できなくなる。逆に言えば、自分よりもレベルの高い場所に身を置くと、基礎能力が底上げされ、隠された力が覚醒する可能性がある。俺は意味もなく弱小校との練習試合なんざ受けたりはしねぇ。俺がこの練習試合に臨む理由は一点のみ。一絵ちゃんが選び抜いた才能の覚醒を促すこと。そしてそれをうちの選手にぶつけることで、うちの奴らをさらにレベルアップさせることだ。それにはまずあの5人の全力を引き出す必要があるんだが、なんでだか、リズムに乗り切れてないな。何故だ? 特にあの12番」

 菊川が思考を張り巡らせる。

「おい、おいって、お前だよお前」

「……………何だ私か?」

 しばらくの間を空けて、守城が答える。

「お前、あの12番どう思う?」

「どう思うかだと? 逆にどう思う?」

「質問を質問で返すんじゃねぇよ」

「強いて言うなら、わざとシュートを外しているという点か」

「やっぱりお前もそう思うか。んじゃあ、何でシュートを外すんだと思う?」

「知らん」

「即答かよ」

「それは本人にしかわからないことだからな。ただ、私から言えることがあるとするならば、スポーツにおいて真面目にやらないという行為は悪だ。どういった経緯であれ、どういった理由でも、決してあってはならない」

「お前の言う通りだ。あの不届き者を懲らしめてやれ」

「言われなくてもそうするさ」




 インターバルが終了し、第2Qが開始される。

 そして開幕早々に守城がボクの横を通り様に、

「わざとシュートを外すとは舐められたものだな」

「どうしてそれを………!?」

 守城は原口からボールを貰い、スリーポイントラインの遥かに手前からの超ロングシュートを放ってみせた。

「嘘だろ!? そんな位置からシュート打って来んのかよ!!?」

 これには漆原も驚きの色を隠せない。

 シュートは綺麗な弧を描き、まるでゴールリングの方がボールを呼び寄せているかのように吸い込まれていった。

 そのシュートを皮切りにだったのか、それとも元々そうだったのかは定かではないが、ここから天ノ星の猛攻が始まった。

 再び天ノ星のオフェンス。

 原口から國重に渡るはずのパスを横取りする形で、玖城が奪い取る。

「つまらない試合でただでさえ退屈だってのに、あたしにボールを回さないって、さらに退屈なことしないでよね」

 玖城のディフェンスについたのは、相葉だった。

「真裕、ちょっとは楽しませてよ」

「負けない…!」

「だからつまんないっての」という対面の会話の中で発せられた言葉は、相葉の正面からではなく、相葉の後ろから聞こえてくることになった。

「速い…!!!! 昔よりもさらに速くなってるなんて…!!」

「んとに! どいつもこいつもバケモンかよ!!」

 大隈と漆原がヘルプに入る。

 大隈は反応すらできないまま抜き去られてしまい、漆原はどうにか玖城のドライブに食らい付いた。

「へえ、なかなかやるじゃん。なに? 楽しませてくれんの?」

「なめやがって! 誰もお前を楽しませようと思ってバスケやってんじゃねぇんだよ!」

「はあ?」

 玖城は左ドライブのフェイクをかけ、高速のクロスオーバーで右に切り替えし、漆原をあっさりと出し抜いた。

「遊び相手にもならないくせして、なに偉そうなこと言ってんの?」

 漆原を抜き去った後で、玖城がダンクに向かう。

 余裕をかましてダンクのモーションに入ると、それをどうにか追いついた大隈がはたき落とした。

「どすこい!!!!」

「ぬあっ!?」

 ボールは勢いよく吹き飛び、コート外へ出る。

「アウトオブバウンズ、白ボール」

「へえ、やってくれんじゃん、お相撲さん。ちょっとは盛り上がってきたかも」

「誰がお相撲さんだよ!!!」

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