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ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第2章 Those who drop the stars 《天ノ星編》
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第64Q vs Amanoboshi Part 4

「っとに何やってんだアイツは……!!!」

 神坂先生が苛立ちを見せる。

「はあ、はあ、はあ」

 ただ息だけが無駄にあがっていく。

「ボクは………」

 段々とわからなくなっていく。

 ボクは今、何のために走っているのか、何のために戦っているのか、そもそもどうしてボクは今ここにいるのか、このコートに立っているのか、こんな思いをしなければならないのか、どうしてボクだったのか。

 何もかもがわからなくなった。



 ガンッ!!!



 ボクの手から放たれたシュートは再びゴールリングに阻まれる。

「リバウンド!!」

 リバウンドを奪い取ったのは棚田だった。

「ナイスリバン!!」

 速攻に活気付く天ノ星ベンチ。

 防戦一方とはまさに現状のことを言うのだろう。ボクたちの攻撃のことごとくは単発で終わり、それもゴールを決めることすらもできないまま、ただ、ただただ、一方的に攻め込まれているだけ。

 この試合に勝つ見込みなどあるのだろうか。

「皆さん、しっかりしてください! まだ勝ち筋は残されています!! そのためには皆さんの思いが、気持ちが、一つにならなければダメなんです!!」

 ボールを拾い上げた湊がボクたち4人に強く訴えかけた。

「気持ち………」

 確かにボクの気持ちは吉美や上仙と戦った時のように勝利へ向かっているとは到底言い難いものだった。

 振り子のように揺れる心がボクの動きを鈍くしているのは事実なのだが。きっとこの気持ちはこの試合が終われば全て晴れる。

 全て終わる。

 全て終わってくれる。

 綺麗さっぱりとなくなってくれる。

 なかったことになってくれる。

 全て、全部、何もかも、これは悪い夢だったんだ。

「こんな時にうちに6人目、7人目がいれば交代できるんだが……。クッソが!!」

 神坂先生はベンチを殴りつけた。

 その様子を見ていた教員たちはビクリと分かりやすく怯えて見せた。



「つまらないな、全くもってつまらない。こんなものは練習試合でも何でもない。時間の無駄だ」

 そう言って守城はスリーポイントを決めた。

「一絵ちゃん、ここだぜ? お前の顧問じゃなく、監督としての才覚が試されるのはここなんだぜ? このまま何の見せ場もなく終わらせちまって良いのか? この才能だらけの原石たちをよ?」

 菊川は静かに試合を見守る。

「真裕、やっぱ逃げることしかできないアンタにはお似合いなチームってわけなんだね」

 つまらなさそうに玖城。

「そ、そんなことない…!!」

「そう思うんだったらプレーで見せてみろっての」

「そ、それは…」

「だから、アンタはダメなんだよ」

 そう言い残して玖城はディフェンスに戻った。

 そしてボールがラインをると、タイマーからタイムアウトが告げられる。

「タイムアウト、黒」

 タイムアウトを取ったのは神坂先生だった。

 ボクたちがベンチに戻るなり、

「お前らは一体何をやってるんだ? バスケか? 球遊びか? 何でもっと全力で行かないんだ!! プレーが劣ってるわけじゃねぇんだよ!! 気持ちが、心が、想いが、最初から負けちまってるんだよ!! 何でそれに気づけない!? どうなんだ、麻倉ぁああ!!」

 ボクは何も答えられなかった。

 いや、何も答えたくなかったのかもしれない。

 神坂先生の想いはタイムアウトという短い時間では収まらなかったようで、言葉の途中で、言葉を遮るかのように、タイムアウト終了のブザーによって試合が強制的に再開させられることになってしまった。


 まだ、まだまだ、第1Qだというのに、8対25という生々しい点差となった。

 部への昇格をかけた大事な一戦で明らかに、あからさまに巻き返しが厳しい試合展開に、教員たちは耳打ちで、ヒソヒソと『もうどう考えても無理だからこれ以上見ても可哀相で見ていられない。帰った方がいいのではないか?』という話を始めていた。

 何も言わずに無言で退出しようとする教師も何人かいる中で、教頭は、

「待ちなさい!!」

 体育館を去ろうする教師たちの足を止めた。

「これ以上は見ても仕方のないことでしょう。約束通り、バスケットボール同好会は廃部でしょう?」

「それは最後の最後まで、試合が終わるまでわからないことです。まだ試合は終わっていない。どころか第いち、く、くおうたあ? とかなのでしょう? バスケットボールというスポーツは40分間の試合ということは神坂先生から事前に伺っています。では、タイマーは? まだ8分程度しか経っていない。ということはまだ32分間残っているということ。この展開が絶望的だということはこの空気を見ればこのスポーツをよく知らない私でもよくわかる。だが、ろくに見もせずに決めつけることはできない。私たち大人は正しい判断を下すためにも、生徒たちの戦いを最後まで見守らなければならない。でなければ、私たちはただ子供の未来を奪うだけの汚い大人に成り下がってしまう。言い出したことは最後まで責任を持たなければならない。責任を持って見続けなければならない。最後まで見ませんか?」

「教頭先生がそこまで言うのなら………」

 一度は立ち上がった教師たちも再び着席し、試合観戦に戻った。



「やああああ!!!」

 その直後、湊のダンクが天ノ星ゴールに炸裂した。

「まだです! まだこれからなんです!!」

教頭はもっと悪い人にしようと思っていたのですが、なんか良い人っぽくなってしまいましたね。

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!!

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