第62Q vs Amanoboshi Part 2
ご無沙汰しております。
千園参です。
どうにかリアルのお仕事の方も落ち着いてきたので、ぼちぼち執筆を再開していこうかなと思います。
ただ、以前ほどの投稿頻度とまではいきませんが、頑張って投稿していきますので、よろしくお願いします。
会場設営が完了してから、天ノ星の選手たちがやって来るまでの間、ウォーミングアップを行う。
「アイツ、、、」
神坂先生はそんなことを呟いた。
そんな時、体育館の扉が開き、監督の菊川が姿を現した。
「おっ、一絵ちゃん。元気にしてたか?」
馴れ馴れしく神坂先生に話しかける菊川。
「その呼び方はやめてください」と、それを跳ね返す神坂先生。
このやりとりから2人は既に知り合いであることが窺えた。
「相変わらず釣れない女だなお前は」
「貴方のようなエロ親父に釣られる女なんてこの世のどこにもいませんよ」
神坂先生の言葉に天ノ星の女子生徒たちは、部の監督がエロ親父なのかとざわつき始めた。
「おいおい、教え子の前でそんなことを言うんじゃねぇよ! 俺の信頼がなくなったらどうする?」
「元々信頼なんてないでしょうに」
「そんなことはねぇよ! なぁ! お前ら!」
菊川が生徒たちに目を向けるが、誰一人として彼に目を合わせようとする者はいなかった。
「って、おい!」
「ほらやっぱり、エロ親父だってことは言わなくても見透かされてるんですよ。女をあまり舐めない方がいいですよ? エロ親父監督」
「なんだよこの空気感、アウェイもいいところじゃねぇかよ、全く。まぁいい、無駄話は試合が終わってからにしよう。俺たちが今日やりに来たのは世間話じゃねぇ。そうだろ?」
さっきまで、先ほどまで、だらしのないエロ親父の面構えだったのが、一変して強豪校を率いる監督の顔に切り替わる。
「ええ、当然です。私はこの日を待ち侘びましたよ」
「俺はそんなに楽しみにはしてねぇよ。まぁ日取り的にインターハイ前の調整ってところか。んじゃあ、今日はよろしくな」
そう言って菊川と天ノ星の選手たちはベンチに入った。
そしてボクたちとは逆サイドのハーフコートを使って、ウォーミングアップを開始する。
「ボケっとしてんなよ! 準備できたら、さっさとアップ始めろ!」
「はい!」
菊川の言葉に全員が声を揃えて返事を返す。いかにも強豪校といった具合である。
天ノ星のウォーミングアップを横目で見ていると、動きの全てに無駄がなく、レイアップやバックシュート、シューティング練習、その全てがリズミカルで、軽快で、ある一定のリズムでシュートが心地よく決まっていく。
練習だから外さないのは当然と思う人も多いだろう。しかし、だがしかし、練習であっても疲れは溜まるし、基本的にシュート練習はパスを出す相手からパスをもらってシュートを放つ流れとなっている都合上、相手のコンビネーションも求められる中で、誰1人として失敗しないというのは、恐ろしいことであった。
最後のシュートが決まり、誰かがそうハッキリと明言したわけではないけれど、空気感がその時が来たと誰もがわかるように悟らせてくれた。
「んじゃあ、そろそろ始めようかい」
「遅かれ早かれ戦う相手、絶対にぶっ倒してやる」
菊川と神坂先生が無言のまま向かい合う。
いよいよ試合が始まろうかという中、桜辰の教頭を含む教員数名が体育館に足を踏み入れた。
その人たちがウォーミングアップの中で少しだけ薄れかけていた今日が部に昇格するか否かの査定の日だということを思い出させる。
「さて、それでは試合を始めてください」
教頭の一言で練習試合が開幕する。
選手プロフィール
桜辰女子高等学校 ユニフォーム 黒と黄
相葉真裕 6番 157cm PG
麻倉麟 12番 163cm SG
漆原麗央 9番 176cm PF
大隈陽美 8番 181cm C
剣崎湊 11番 162cm SF
天ノ星学園 ユニフォーム 白と紫のストライプ
棚田洋子 12番 183cm C
守城祐歌 7番 175cm Swingman
玖城アンナ 15番 172cm SF
國重蘭 13番 165cm PF
原口京香 14番 158cm PG
3年生が進路指導で不在ということもあって、県大会では出場しなかった選手たちが整列に顔を連ねる。
審判やタイマーは人数的にどう考えてもゆとりのある天ノ星のベンチ外の選手たちが担当してくれることになった。
「これより天ノ星学園 対 桜辰女子高校の試合を始めます。礼」
「「「「よろしくお願いします」」」」
「「「「よろしくお願いします」」」」
コートにはちゃんと10人いるはずなのに、声を出したのは8人だとハッキリわかった。どちらのチームには似たような選手がいるということなのだろう。そしてその選手は顔を見ればなんとなくの予想はついた。
センターサークルに大隈と棚田が出揃う。
「デカい………」と、大隈。
「横にデカいわ、この人。今流行りの動けるデブってやつなのか?」と、棚田。
ついにボールが投げられ、2人がほぼ同時にボールへ向かって跳び上がる。
ボールを弾いたのは棚田だった。
棚田が狙ったように原口のある方にボールを弾くと、それを見越した湊がボールを横取りする形で奪い取り、先攻を手に入れた。
「先攻貰いました! 攻め込みます!!」
湊がドライブで駆け上がり、國重を抜き去る。
そのままダンクかと思われる流れで、彼女の前に立ち塞がったのは守城。
「行かせない」
「吉美とは比べ物にならないくらい動きが速いです。でも、負けるわけにはいかないのです!!」
守城を抜くように見せかけ、湊はボクにパスを出した。
ボクが立っている位置はスリーポイントライン。ボクはパスをもらうとそのままシュートを放った。
完全フリーの状態で放たれたスリーポイントシュートはゴールリングに阻まれることになった。
「嘘だろ!」と、大隈は外れたシュートを見て思った。
「麟ちゃんがフリーでシュートを外すなんて」
そして神坂先生は、
「やっぱりか」と、頭を抱えた。




