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ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第2章 Those who drop the stars 《天ノ星編》
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第54Q SuiO vs Amanoboshi Part 8

「お疲れ様です」

 風に当たる上木に声をかけたのはボクだった。

「なんだ、見に来ていたのか」

「はい」

「少し雰囲気が変わったか?」

「そう……ですかね?」

「ああ、逞しくなったな。お前たちとは敵のはずなんだが、どうしてなのか、お前たちの成長を見られて嬉しく思うよ」

 上木は優しく微笑んだ。

「しかし、残念なこともあるぞ?」

「はい?」

「私の予定では今頃はお前たちと県大会の決勝を闘っているつもりだった」

「それは本当にすいません………」

「あはは、冗談だ。だが、お前たちともう一度闘いたいというのは本当だ。この夏は叶わなかったが、冬。ウィンターカップでは必ず勝負しよう」

「はい!」

「うん、いい返事だ」

 一通りの会話を終えると、上木はどこか遠くに目を向けた。

「勝てそうですか?」

「そうだな。お前はこの試合どう見る?」

「ワタシですか? ワタシは…‥わからないです」

「そうなのか?」

「はい、確かに今は天ノ星が流れを掴んで離しませんが、このまま試合がストレートに終わってしまうとは到底思えないんです。そうでしょう?」

「ふふ、そうだな。このまま終わるわけがないな。何故なら勝つのは私たち翠央だからだ。お前、確かシューティングガードだったな」

「はい、そうですけど、それが何か?」

「後半、面白いもの見せてやるからよく見ておけ」

「は、はあ……」

 上木はそう言い残して、体育館内に戻っていった。彼女の言う面白いものとは何なのだろうか。




 一方その頃、天ノ星の控え室では---

「残念なお知らせがある」

 深刻な面持ちで、選手たちにそう切り出した菊川は言葉を続ける。

「第2Q最後の最後、あの7番が守城に追い付いたのはマグレじゃない。第3Qじゃ同じ手は通じないかもしれない。おそらくあの7番のネーチャンは今、試合の中で急速に成長し、守城と同等のレベルまで登ってきている。ったく、恐ろしいエースだ。敵にしておくには勿体無い逸材だな」

「まさかそんなことが!?」

 驚いた様子を見せたのはキャプテンの芦屋だった。

「ああ、俺の目に狂いはない。おそろく第3Q開始早々に何か起こる。翠央はまだ死んじゃいない。だから、ここで確実に殺しておく必要がある。守城」

「どうした?」

「手加減は無用だ。後半頭から全開でいけ」

「わかった」

 10分間のインターバルが間もなく終了しようというタイミングで両チームがベンチに戻ってきた。



「それじゃあ、うちも作戦会議といこうかな。木谷ちゃん塩梅はどうだい?」

「おそらくもう大丈夫デス!」

 東堂に向けて木谷は自信満々で親指を立てた。

「それはよかった。なら、ここからが本当の勝負だね。上木ちゃん」

「はい」

「本気の出しどころは上木ちゃんに任せるよん」

「わかりました。私もそろそろかと思っていたところです」

「うん、それじゃあ、行ってきなさい」



 第3Q、天ノ星の攻撃から始まる。

 ボールは金木、芦屋、守城へと回っていく。

 守城にボールが渡った瞬間、木谷が素早い反応でディフェンスにつく。

「いくぞ」

「かかってこいデス!!」

 守城がドライブに入ると、木谷はすぐさまスティールしてみせた。

「なんだと!?」

「へっへっへ! デス!!」

「よくやったぞ木谷!!」

 木谷がドライブで駆け上がる。

 しかし、だがしかし、すぐさま守城も木谷の前に立ち塞がった。

「そう簡単には倒せないデスネ」

「当然だ」

「デスガ、!!」

 木谷は上木にパスを出した。

 そして上木がボールを受け取ると、会場が驚きの一色に染まった。

 なんと上木がボールを受け取った位置は0度のスリーポイントラインだったのだ。

「パワーポイントのスリーなんて聞いたことがない。何のハッタリだ?」

 ディフェンスの矢田はスリーポイントを警戒することなく、距離を取ってディフェンスについている。

「いいのか? 私がスリーを打っても?」

「仮に打ったって入らないでしょう?」

「それはどうだろうな? なら、試してみるか?」

 上木はシュートモーションに入った。そしてまたそのシュートモーションにも驚かされることになった。

「上木さん、ワンハンドだ………」

 そう、女子バスケにおいてやはり体格的に、筋肉量的に、スリーポイントやミドルシュートを打つことはしんどい。そのためボスハンドという両手打ちが存在するわけだが、その中でも女性選手のまして女子高校生のワンハンドとはかなり珍しいものだと言えるだろう。

「ワンハンドなんて、これまた随分と大きなハッタリだな? ボケが渋滞してるぞ、翠央のキャプテンさん」

「黙って見ていろ」

 上木がシュートを放った瞬間、ボクは思った。

「このシュートは入る」

 そして上木もシュートを放ったと同時に、リバウンドを確認することなどせず、ディフェンスに戻った。上木がシュートを放つと、他の翠央選手たちもディフェンスに戻り始めた。

「リバウンドに行かない?」

 天ノ星を含めた誰もがそう思った次の瞬間、ボールはゴールへと一直線に吸い込まれていった。

 一時的に何が起こったのか理解できなかった会場は静まり返った後、すぐさま熱気を帯び始めた。

「うぉおおお!! ゴリラダンクの次はゴリラスリーだぁあああ!!!」



「悪いな。私は、上木やちよは元々、シューティングガードだったんだ」

「そう、上木ちゃんは1学年上の先輩が抜けるまではずっとシューティングガードだったんだよねぇ。ただその子が抜けて、どうしてもパワーフォワードがいなくなってしまったから、仕方なく転向したんだよね」

 したり顔の東堂。

「おいおい、このタイミングでその冗談はキツいぞ。まさかあの4番、ストレッチ4(フォー)ってやつなのか。こりゃ中の7番、外の4番、中と外、インサイドとアウトサイド、守りづらいことこの上ないぞ」

 上木のスリーポイントに菊川はこの試合始まって以来の焦りの色を浮かべた。

ストレッチ4については次回ちゃんと説明しますので、ご安心ください。

それでは今回も読んでいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!!

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