第47Q SuiO vs Amanoboshi Part 1
スパッッッ。
「イェーイ! 今日も絶好調デス!」
「油断するなとあれほど言われただろうに。まったく」
開幕となった県大会、スリーポイントを決めて喜ぶ木谷を見て、やれやれと頭を悩ませる上木の姿がそこにはあった。
県大会、上仙との一戦。
翠央は上仙を完全に圧倒していた。
「翠央……やっぱり桁違いに強い!!」
伊沢率いる上仙は手も足も出すことができないまま、試合は終始、翠央のペースで進められていった。
ボールが佐伯から木谷へと渡る。
「木谷さん、お願い!」
「任されたデス!」
キレのあるドライブで上仙の選手たちを抜き去り、レイアップシュートを決めた。
上仙との試合、木谷を中心に得点を量産した翠央は初戦を快勝に収めたのだった。
隣のコートでは---
ビィー。
「95対32で天ノ星の勝ち。礼」
「ありがとうございました」
試合を終え、整列する天ノ星と対戦校の
「まぁここらで負けてもらっちゃ逆に困るっての。それに県大会初戦だしな、もっと点差をつけて勝ってくれた方が安心できたんだが、まぁいいだろう」
と、菊川は安心したように口元を緩めた。
「うーん、どうやら翠央も勝ったらしいな。こりゃ、今度も決勝は翠央との勝負になりそうだな。翠央高校、偵察部隊の映像で観たところ、実力は確実に全国レベル。これはインターハイ予選、決勝トーナメント含めても、上位レベルだろう。今年も県大会決勝は厳しい戦いになるかもな」
菊川は隣のコートで試合を行う翠央に目を向けながら、そんなことを思った。
それから翠央と天ノ星は順調に勝ち進んでいき、そして県大会決勝戦を迎えることになった。
「麟ちゃん」
「どうした?」
「あの……その……明日の県大会決勝なんですけど、もしよろしければ一緒に観に行きませんか?」
「うん、いいよ。行こうか」
前日に湊とそんなやり取りをしたボクたちも県内で最もな広さを誇る体育館で、決勝戦が行われようとしていた。
「凄い観客の数だな。やっぱ県大会の決勝ともなれば、みんな観に来るんだな」
「そのようですよね。それに誰もが見たいのでしょう。全国の決勝でもおかしくない実力校同士の戦いを」
「全国の決勝でもおかしくないレベルか。ワタシたちは、そんな凄い人たちと練習試合やったんだな」
「はい」
ボクと湊は2階席で試合を観戦することにした。
すると、間も無くして翠央と天ノ星の選手たちがバスケットコート内でウォーミングアップを開始させた。
「うわあ、どっちも凄い迫力だな」
「そうですね」
ただ、フットワークやシュート練習といった、ボクたちも日頃から行なっているメニュー、同じ練習メニューのはずなのに、その1つ1つが丁寧で正確にこなされていく。
間も無くして試合が始まろうという時間に差し掛かった時、両チームの監督がそれぞれチームに集合をかけた。
「集合!!」
「集合しようかね」
集合という言葉が揃った時、一瞬だけ菊川と東堂は顔を見合わせる。
「あのジジイも食えねえからなあ。舐めてかかると痛い目に遭いそうだ」と、菊川は思った。
「菊川欽司君か。参ったな、こんなところで君が率いる最強チームとは戦いたくなかったよ。全国への道が遠回りになる。だが、遠のくわけじゃない。ただ回り道すれば大したことはない道のり。今の翠央は強いからね」と、東堂も思った。
「それじゃあ、スタメンはさっきも言った通り、芦屋、矢田、明智、金木、棚田の5人だ。よし、行って来い!」
「「「「「はい!」」」」」
「それじゃあねえ、スタートは上木ちゃん、佐伯ちゃん、木谷ちゃん、若林ちゃん、松風ちゃん。この5人でいこうかな。ベンチのみんなもいつでも出れる準備しといてね。この試合、何が起こるか最後までわからないから。さて、行っておいで」
「「「「はい!」」」」
「オッケー!!」
両チームのスターティングメンバーがコートへと入った。
コート内は今まで感じたことのないような緊張感が漂っている。
選手プロフィール
翠央高等学校 ユニフォーム 白と青
上木やちよ 4番 174cm PF
佐伯園子 5番 169cm PG
木谷ジェシカ 7番 175cm SF
若林風夏 10番 178cm C
松風忍 11番 162cm SG
天ノ星学園 ユニフォーム 紫
芦屋真子 4番 165cm PG
矢田愛理 5番 173cm PF
明智萩花 6番 172cm SF
金木恵美 8番 152cm SG
棚田洋子 12番 183cm C
「これより天ノ星学園と翠央高校の試合を始めます。礼」
「「「「「よろしくお願いします」」」」」
「「「「よろしくお願いします」」」」
「よろしくお願いシマス」
木谷のカタコトな言葉が10人の挨拶の中でとても浮いて聞こえた。
若林と棚田がセンターサークル内に入り、ジャンプボールに備える。
誰もが息を飲む、ティップオフの瞬間。
そしてボールが天高く上げられ、両チームのセンターがボール目がけて、ほぼ同時にジャンプした。
ボールを弾いたのは、棚田だった。
棚田が弾いたボールを明智がキャッチし、司令塔となる芦屋へとボールを回す。
「よしよし、先攻。大事に行こうね。一本!!」
そう言ったのも束の間、ディフェンスについていたはずの佐伯が全く反応できない華麗なパスさばきで、ボールは棚田へと渡る。
「ワッツ!?」
「速い!!?」
木谷と上木も驚きを隠せない。
「うしうし、まずは先制点いただき!」
棚田は若林のディフェンスをパワードリブルで押し込み、開幕を盛り上げる超火力のダンクシュートを叩き込んだ。
ゴールされたボールを上木が拾う。
「まさか天ノ星、ここまでとは……」
「上木さん」
「ああ、少し驚きはしたが、もう慣れた。やられたらやり返す。いくぞ!」
上木はボールをリスタートさせ、攻め上がった。




