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ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第2章 Those who drop the stars 《天ノ星編》
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第42Q A new story

「麟ちゃん!」

「打て!!」

「決めろ!!!」

 誰もが見守る中、ボールはボクに託された。

 迫り来るディフェンス。

 本当に秒なのかとツッコみたくなるほどに、考える暇すら与えてはくれないほどに、早く進むタイマー。

 シュートモーションに入る。

 勝つためには、勝利への望みを繋ぐには、このスリーポイントシュートを決めるしかない。

 ボクの手から放たれたシュートはゴールリングをくぐることはなく、ガンッ!! という音と共に弾かれて地面へと落ちていった。




 《第2章 Those who drop the stars》




「うわぁああ!!!」

 目が覚めると、目を覚ますと、寮のベッドから飛び起きた。

 夢だった。

 夢であって夢でない夢。

 そう、これは夢ではない。

 本当にあった出来事が、本当に起きた出来事が、夢としてボクの頭に残っているというだけのこと。ただ、それだけのこと。

 地区予選、2回戦。上仙高校との試合にボクたち桜辰は敗れた。

 ボクたちのインターハイは、ボクたちの夏は、県大会にも出場することなく、地区予選の2回目の試合で夢と消えた。

 そして今日はその翌日、試合に勝っても負けても、月曜日ともなれば学校に行くしかないというのだから、精神的に滅入る。

 食堂に行くと、既に湊がいた。

「あ、麟ちゃん、おはようございます」

「おはよう」

「浮かない顔ですね。眠れなかったのですか?」

「うん、あんまりね」

「そうですか、実は私もです」

 湊はボクに対して浮かない顔だと言うが、そう言う湊もまたいつもよりも、いつにも増して、元気がないことは毎日こうして顔を合わせていれば、すぐにわかることであった。

 朝食を食べる手も、口も、いつものように軽快にとはいかない。

 何も食べていない朝、お腹は空いているはずなのに、お腹はムカムカと、カムカムと、吐き気のようなものを連れてくるほどだ。

 そんな状態だから、美味しそうないつもの朝食を前にしても、食べる気にならない。

 それなら何故、ここに、食堂に、わざわざやってきたのか。

 それは湊に会うためだった。

「ごめん……ワタシがあの時、シュートを決めていたら……」

「麟ちゃんだけのせいではありません。私たちのせいなんです。それまでの試合展開、最後の最後で麟ちゃんのスリーポイントに全てを賭けるしかなかったあの試合運び自体がダメだったんです」


 あの試合運び。

 上仙は初めて公式戦に出場して、データも何もないはずのボクたち桜辰のことを調べ上げており、その対策を打たれていたのだった。

 選手同士のレベルは、翠央に比べるとそこまで高いというものではなかった。それこそ前日に闘った吉美と同程度の実力だったと思う。

 それなのに接戦でもなく一方的に負けたのは、完全なる相手の作戦勝ち以外の何ものでもなかった。

 翠央にコールドで負けた時も悔しかったが、今回の公式戦での敗北はそれ以上に込み上げてくるものがあった。

 もっと強くならなければならない、翠央とのリベンジマッチに辿り着くためには。



 学校までの道のり、道すがら、いつもと同じ通学路が妙に長く感じられたのは、ボクと湊の会話が弾まなかったからだろう。

「………」

「………」

 何と声をかければいいのか、よくわからなかった。こんなにも負けることが悔しいものだったなんて、中学時代は思いもしなかった。

 結局、湊とは最後まで会話することなく学校に到着してしまった。

「それじゃあ、また部活で」

「はい」

 重い足取りだが、湊と分かれたことで、少しだけ重みが取れたと思ってしまうボクは最低だった。

「あ、おはよう」

「おはよう」

 後ろの席に大隈がいるわけだから、当然、登校すれば、お互いサボりさえなければ、顔を合わせることになる。鉢合わせることになる。

「元気ないね」

 先に口を開いたのは、大隈からだった。

「そうかな?」

「そうだよ、アンタは元気だけが取り柄じゃん」

「そんな元気キャラでもなかったと思うけど……」

「そうだったかもね」




 放課後---

 更衣を済ませ、体育館に行くと、先に1人で練習に励む湊の姿があった。

「湊……」

「麟ちゃん、今来たんですね」

「うん」

「私、もっと強くなります。もっともっと強くなって今度こそ、次こそ、県大会に出場しましょう」

「うん、ワタシも頑張らないとな。よし! 今日からまた次の大会に向けて練習だ!」

 そこに相葉と大隈も合流し、練習かと思われたが、体育館に神坂先生は現れなかった。

「誰か何か聞いてる?」

「いいえ」

「いや」

「ううん…」

 誰も神坂先生の行き先を知らないようであった。

 ちなみに神坂先生が何をしていたかと言うと、

「神坂先生、残念ですが、減給です」

「ええ!? ちょっと待てくださいよ、校長!!」

「いえ、待ちません。そういう約束でしたから」

「いやいやいや!! どういう約束もした覚えがありませんよ!!?」

「いやいやいやいや、私は確かに神坂先生に言いましたよ? ここはスポーツの名門校ですから、創部するからには大会で結果を残してくださいと、創部する前に言いましたよねぇ?」

「ええー!! そんな昔のこと覚えてないですよ!!」

「そんな昔のことと言うがね、まだこの話は2ヶ月しか経ってないんだよ、神坂先生。減給です」

「そ、そんなあ…………」

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