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ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第1章 The story of Otatsu starting from here 《同好会編》
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第26Q after that

 練習試合、翌日---

 練習試合自体は土曜日に行われたわけだが、チームがあまりにもバラバラ、そもそもの練習試合中断の原因そのものでもあるほどに分裂しているボクたちのチームが、翌日から切り替えて練習なんてできるはずもなく、日曜日である今日は、何の予定もないただの、ただただの日曜日となってしまった。


 とは言えど、どういう結果であれ、負けは負けであり、チームが仲違いしているのも、元を辿れば、大敗を喫したところにあることからも、もっと強くなるしかない。

 そう思ったならば、そう考えたならば、居ても立っても居られず、ボクは公園で1人、自主練に励んでいた。

 ダムダムと、空気だけが入ったバスケットボールの独特なバウンド音だけが、日曜日の静けさに、静寂に、鳴り響いている。

 昨日の出来事が、まるで今、目の前で起こっている出来事かのように、鮮明に何度も、何度も何度も、再生されては、繰り返されては、リプレイされては、ボクの練習の邪魔をする。

「何やってんだか……」

 ゴールリングに直撃し、外れたシュートは勢いよく、弾き返され、何処かへと飛んでいってしまった。

 大きなバウンドから、バウンドする度にその力を弱めていき、次第にバウンドから、コロコロと転がり始める。

「あ、ちょっと!」

 慌てて何処かへと転がっていく、ボールを追いかけると、ボールを拾い上げる手に遭遇した。


 ボール、手、肘、二の腕、肩、最後に顔、順番に視線を上へ上へと、顔へ顔へと上げていくと、手の主は、湊だった。

「ここにいたんですね」

「あー、うん」

「私、もっと強くなります」

「………ワタシも強くなるよ。もう昨日みたいな事を繰り返さないためにも」

「では、約束です。必ず強くなって、全国に行きましょう」

「全国!? 随分と大きな約束だね……」

「夢は大きくです。約束は絶対ですからね」

 湊はそう言うと、無理矢理、ボクの手を取り、小指と小指を絡ませて、指切りをした。

「破ったら針千本ですからね」

「いや、全国って…………」

 約束のスケールの大きさに、思わず目が泳いでしまう。目が遊泳してしまっている。いや、目が溺れている。目は要救助を訴えかけている。

「約束ですよ」

 彼女はとてもニッコリと笑っている。

 怖いほどにニッコリとした笑顔をボクに向けている。

 これは約束を破ってしまうと針千本どころか、針数千本は飲まされる可能性がある。

「…………頑張るよ……」

「はい!」

 すると、今度はボクにある提案をし始めた。

「私と勝負しませんか?」

「マジで?」

「はい。実戦形式に勝る練習はありませんから」

 確かに彼女の言うことは一理あるどころか、千理せんりくらいはあるだろう。

 いくら1人でシュートを練習したところで、それは"1人でシュートを打つ"練習にしかならないのだ。

 試合では1人でシュートを打つなんて場面はそうそうに無い。

 基本的にはディフェンスが付き纏っていて、どうやったら、1人で邪魔されずに打てるのか、なんてことを常に考えて動いているくらいである。

 ならば、それならば、やはり彼女の言う通り、実戦形式として、本番さながらとして、相手との勝負形式で練習することこそが、上手くなるための、強くなるための、最もな近道と言えるだろう。

「わかった。勝負だ」

「はい、それでは参ります!」

 彼女のオフェンスが始まると、湊は力強くドリブルを始めたのだった。





 さらに翌日---

「おはようございます」

「おはよう」

 湊と学校に登校し、いつものように授業を受け、放課後になると、練習のために体育館にやってきた。

 しかし、だがしかし、体育館にはボク、湊、相葉の3人のみであり、そこに漆原と大隈の姿はなかった。

 漆原はともかく、大隈は時間になれば来るのかとも思われたが、結局、結果として、その後、体育館の扉を開け、現れたのは神坂先生だけであった。

「んだよ、大隈もいなくなっちまったのか?」

「そうみたいですね」

「まぁいい。いなくなっちまった奴よりも、まずは、いる奴らの面倒を見ねぇとな。一昨日の試合は最低最悪だったな。数あるバスケの人間ドラマの中でも、歴史に残るほどに最悪だったと言える」

「「「………」」」

「練習試合なのに、それすらも切り上げられて帰られるなんて。ましてや、仲間内では殴り合いの喧嘩と来たもんだ。ここは女子校だぞ? 女子校ナメんなよ?」

 それは一体全体何体、どういう意味の"ナメるなよ"なのだろうか?

「しかし、先生、私たちの敗因はチームプレイ不足にもあると思います。ならば、大隈さんと漆原さんもまじえて練習した方がいいのではないでしょうか?」と、湊。

「おいおい、そうは言うがよ? いなくなった奴、いなくなる奴、そんな奴らを構っていられるほど、今のお前らは強いのかよ?」

「それは……」

「お前らは根本的に弱いんだよ。だから、こうなったんだ。だったら、簡単だ。そんな奴らに構ってないで、とにかく今は強くなるしかないんだよ。わかるか? 強くなって、欠点をカバーし合えなきゃ、試合になんて何年経っても勝てねぇんだよ。だから、今日は3人でも練習を始める。わかったら、とっとと準備運動始めろ」

 湊の言うこともわかる。

 バスケは5人でするものだからだ。

 5人が揃った練習をしなければ、試合で使えるフォーメンションを試せないのもそうだ。

 でも、今回ばかりは神坂先生の言うことにも賛同できてしまう。

 フォーメンションどうとか、云々(うんぬん)の前に、ボクたち一人一人があまりにも弱すぎたのかもしれない。

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