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ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第1章 The story of Otatsu starting from here 《同好会編》
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第25Q vs SuiO Part 7

 ダンクを決められてから、すぐにボールを入れ、リスタートする。

 翠央ベンチの盛り上がり様と言えば、最高潮に達しようとしていた。

 それもそのはず、木谷がコートに入ってからというもの、ただでさえ強かった翠央は、その強さをさらに倍増させ、圧勝ムードになっていたからだ。

 木谷と上木を中心とした得点の量産で、試合は既に100点ゲームとなってしまっていた。

(100点ゲームとは、言葉の通り点数が100点に到達すること)

 どうにか、どうにかこうにか、ボクのスリーや、湊のダンクと、反撃しようと攻めてはいくものの、どれも単発で流れを掴めるようなものでは到底なかった。




 このような試合内容に勿論、心が折れないはずもなく、ボクたちは勝利を、どころか、勝負を諦めかけていた。

 第2Qが終了し、折り返しのハーフタイム---

 ベンチに戻るなり、ボクの顔面に強烈なビンタが炸裂したことは、言うまでもないけれど、言わなければわからないことかもしれない。

「あだっ!」

 誰がビンタをしたのか?

 それこそ言うまでもないことなのだが、一応、言っておくと、漆原だった。

 え、漆原なの?

「テメェ、なに諦めた顔してんだよ!」

「してないって」

「してんだろうが!」

「だから、してないって」

 ボクが漆原に反論すると、今度はビンタではなく、拳がボクと漆原に着弾した。

 今度こそ言うまでもないだろう。

 そう、ボクたちを殴ったのは、大隈だった。

 え、大隈なの!?

「ちょっとは、頭を冷やしな」

「テメェ、何しやがんだよ!」

 殴られた仕返しに、今度は逆上した漆原が大隈を殴り倒してしまった。

「や、やめてよ…」

 相葉が弱々しく、頼りなく、2人の喧嘩を止めに入るが、やはり止まることはなかった。

 ボクと湊はただ、ただただ、この地獄としか言いようのない、これが地獄でないのなら、他のどこに地獄があるのかと、教えてもらいたいほどに、悪化した目の前に地獄を見ているしかできなくなっていた。




 すると、こちらのベンチに聞こえるように、大げさに、わざとらしく、翠央ベンチの上木が咳払いをした。

 そして立ち上がると、老人監督に次のように続ける。

「監督、この試合を続けるのは私たちにとっても、桜辰の選手たちにとっても、悪影響でしかありません。試合の中止をお願いしたいのですが」

 上木はとても凛々しい表情でそう言い切った。言い抜いた。言い放った。

「うーん、そうだねぇ。少し残念な気もするけどねぇ」

「練習試合とはもっと有意義であるべきです。しかし、今の試合はどうでしょう? 有意義とは程遠い。私たちは現に100点ゲームを達成し、対戦相手はそれによって崩れ去っている。勝敗が決した試合を続けても無意味です」

 さらに追い打ちをかけるように言葉を紡いでいく上木に対して、老人監督は重い腰を上げた。

「よいしょっと。というわけで、うちの者がそう言っているんだけど、どうかねぇ?」

「このようなことになってしまい、申し訳ございません」

 神坂先生は深々と頭を下げた。

 本来なら審判の号令によって、試合が終了するわけだが、今はハーフタイム中であり、いつ試合が終わったのかなんて、わからないまま、翠央の選手は次々と着替えを済ませ、体育館を後にしていった。

 老人監督が神坂先生の肩をポンポンと、優しく叩きながら---

「ワシもこんなことになって残念だねぇ。楽しみにしていただけに残念だよ」

「申し訳ございません」

「でも、これが終わりではないだろうから?」

「はい、次は必ず」

「うぬ、楽しみにしているよ」

 優しく笑いながら体育館を出て行った。




 しかし、だがしかし、まだ残っている翠央の選手が若干2名ほどいた。

「えぇ!? これで本当に終わりデスか!? まだ試合に出て10分しか経ってないデス! つまらないデス!!」

「いいから、帰るぞ」

 木谷と上木だった。

 木谷の首根っこを掴み、引きずるようにして、体育館の出口に向かっている最中、ボクと湊の前で立ち止まる。

「?」

「私もこう見えても一応、キャプテンをやらしてもらっている身だからな。多くのバスケット選手を見てきた中で、お前たちには良い素質があると思っていた。思っていただけに残念だ」

「すいません……」

「謝るな。謝らなくて良いから、駆け上がって来い」

「………!!」

「夏前にはインターハイ予選も始まる。私たちは同じ県内に学校がある以上、全国を目指すこととなれば、必ずどこかで闘うことになる。だから、それまでにチームになれ。チームになってもう一度、勝負しよう。今度はこんなくだらない結果ではなく、本当の試合をしよう。本気の真剣勝負だ」

 上木はボクに手を差し伸べた。

 真剣な眼差しで差し伸べられた手に、ボクも手を握り返した。

「約束だぞ」

「はい!」



 その隣で、木谷は湊に話しかけていた。

「貴女、見どころあったデス!」

「あ、ありがとうございます」

「だから、1on1できなくてガッカリしてマス……」

「それは私もです……」

「だから、次までお預けデス!」

「はい、わかりました! 次こそ、楽しい勝負をしましょう」

「OK! See you next time!!」

 こうして2人もまた体育館を後にしたのだった。

今回の翠央戦には私からのメッセージが込められています。

明らかに勝てなくなると、勝負そのものを投げてしまうなんてこと、よくありませんか?

スポーツに限らず、勉強でも同じことかもしれませんね。

勉強には相手はいませんが、スポーツは相手がいて、成立しますので、やる気をなくしてしまうなんて、もってのほかです。

相手に対して、失礼極まりない行為ですよね?

だから、私は勝てないとわかった時は、一矢報いる方法を考えることに切り替えています。勝てない。けれど、一泡吹かせてやりたいと。あわよくば、勝ってやるぞと。

「諦めたら、そこで試合終了ですよ」

有名な言葉ですが、まさにその通りです。

潔く負けを認めるのも大事ですが、勝負事に対して貪欲に食らいついていくこともまた同じくらい大切なことだと思っています。

それでは読んでいただきありがとうございました!

次回をお楽しみに!!

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