表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第1章 The story of Otatsu starting from here 《同好会編》
26/86

第24Q vs SuiO Part 6

 第1Q終了を告げるブザーが電子タイマーから鳴り響いた。

 そしてタイマーは2分間のインターバルに入る。

 得点ボードに目を向けると、目をやると、そこには既に10点差をつけられた現実が刻み込まれている。

 金髪少女の登場で一時的に乱れはしたものの、やはり相手は地区予選を何度も勝ち上がっているだけの強豪校。

 すぐに立て直されてからは、ボクたちの反撃を決して許さない、一方的な試合運びとなってしまった。

 ここから巻き返せるかどうかという点に関しては、正直今の戦力差では厳しいのは間違いないだろう。

 しかし、だがしかし、試合はまだ第1Qが終わったばかり。まだまだチャンスは残されているはずだ。

「翠央相手に10点差で留められているのは、幸いか」

 神坂先輩はベンチで、得点ボードを見据えながらそう呟いた。

「かと言って、今のお前らにこれ以上の点差を詰めることも、ここから点差を留めることもできねえ。今日は胸を借りるくらいの気持ちで丁度いい。この試合でお前らがやることは、どんどん試すことだ。正直、試合には勝てない。なら、次に活かせる。今後の試合や大会で通用する技を1つでも、2つでも、多く見つけることだ」

 ベンチのボクたちはただ、ただただ、俯くばかりであった。

「返事は!!」

「「「「はい!」」」」



 翠央ベンチではーーー

「やはり大方、上木くんの読み通りだったねぇ。それこそ最初のドライブやダンク2発には驚かされたけど、まだまだってチームだ。まだ第2Qだけど、勝負を決めにいってもいいだろうねぇ。木谷くん」

 老人監督は木谷に目を向けた。

「ハーイ!」

 木谷は素早く立ち上がると、監督に向かって敬礼して見せた。

「遅刻したこと反省しているかねぇ?」

「しまくりデス!」

「本当かい?」

「私は嘘つかないデス!」

「ふむ、なら、ここから手加減なしだ。全力の翠央を見せてやりなさい」

「やったデス!」

 木谷は大きく跳び上がり、そして人目を気にすることなく、着替えを始める。

 問題なのは、彼女が身につけたゼッケンに書かれた背番号である。


 7番ーーー

 バスケットボールにおいて、意味を持つ背番号がいくつか存在しており、上木が付けている4番はキャプテン、5番は副キャプテンという意味合いがあり、基本的に公式戦において、4番と5番を付けている選手はキャプテン、副キャプテンであることが一般的である。

 そして7番を付けている選手というのは、バスケットボールにおいて、そのチームのエースを現していることが多いとされている。

 しかし、だがしかし、この辺の背番号のセオリーはあくまでも古き良き時代からの名残であり、近年の多様性を尊重する世の中では選手が好きな背番号を付けさせているというチームも増えてきているのだとか。

 だが、好きな番号を付けている場合は、不自然な番号のバラバラであったり、明らかにわかる2桁の番号を付けているなんてことがあるため、今回の翠央の場合、4番から順に数字が揃っているところを見ると、7番を付けているというのは、間違いなくエースであるという解釈で合っているだろう。



「監督、お言葉ですが、少し木谷に甘過ぎるのではないですか?」

 上木が老人監督に抗議する。

「まぁ上木くんの気持ちもわからなくはないけど、本人も反省しているようだから。許してあげてよ」

 上木は監督に向けていた目を、木谷に向ける。

「やーいやーい、ゴリラ!」

「木谷ぃいい!!」

 上木は木谷を捕まえると、今度は固技を仕掛けた。

「ノォオオオオオ!!」

「誰がゴリラなんだ? ええ? 誰がゴリラだ! 言ってみろ木谷ぃいい!!」

 そんな賑やかなベンチとは裏腹に、インターバルが終了した。



 翠央はメンバー交代で第2Qを迎えた。



 渡辺 → 木谷

 樋口 → 松風



 選手プロフィール

 翠央高校


 木谷ジェシカ 175cm SF

 松風忍まつかぜしのぶ    162cm SG



 第2Qからはジャンプボールというわけではなく、ハーフラインの位置から、ボールをコート内に入れて試合を再開させる。

 この際の攻めは最初に行われたジャンプボールでの主導権に影響する。ジャンプボールでボールを取り損ね、ディフェンスになった方は第2Q開始時に、オフェンスとして攻撃を始めることができる。

 そのためジャンプボールで負けたボクたちの攻撃から、第2Qは開始されるということだ。

 ボクが相葉にボールを渡し、タイマーが動き出す。

 それと同時だっただろうか、相葉から湊へとパスが渡ろうとする、ボールが空を切り、誰の手からも離れたその一瞬、その一瞬は1秒にも満たなかったはずだ。

 その一瞬を突くように、木谷の手が伸びた。

「木谷さん、ナイススティール!」

 スティールとはディフェンスで相手のボールをカットすることを言う。

 ボールを手にした木谷は第1Qで湊が見せたドライブよりも、さらに速い高速ドリブルで、攻め上がると、ゴール前に走り込んでいた漆原との1on1という形になった。

「行かせるかっての!」

「そんなガバガバなディフェンスでは、私は止められないデス!」

 そう言うと、凄まじいキレのあるフェイントで、(フェイントとはディフェンスを出し抜くための、見せかけ技。例えばシュートを打つふりをして、ドライブや、ドライブの際に右に行くと見せかけて、左に行くというような、見せかけをフェイント、もしくはフェイクと呼ぶ。しかし、このフェイクも動きにある程度のキレがなければ、相手に見破られてしまうため、いかに本当に見せるかが、勝負の鍵を握っている)

 難なく、漆原を抜くと、空中で身軽にくるりと一回転して、ダンクシュートを決めて見せた。

 ボクはこの時思った。

 このコートには既にダンクシュートを決められる選手が4人存在している。

 女子高生、ダンク決めすぎでは!? と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ