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ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第1章 The story of Otatsu starting from here 《同好会編》
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第21Q vs SuiO Part 3

 投げられたボールに向かって、大隈と若林が一斉に跳び上がるが、やはりそこは大隈の体型が災いしているとしか言いようがないだろう。

 大隈はジャンプが足りず、さらにそれよりも跳んでいた若林がボールを味方に向かって弾いた。

「おっ、ラッキーっす! 部長! 私やったっすよ!」

「わかったから、落ち着け」

 上木はとても冷静に、冷静じゃない若林を落ち着かせていた。

 そのかんに、このに、あのあいだに、弾かれたボールを手にした相手の攻撃が加速していた。佐伯さえきがレイアップを決める。

 速攻という形で、翠央に先制点が加算されることになった。

「園子さん! ナイッシュー!」

 ナイッシューはナイスシュートの略。

 相手ベンチが先制点に沸き立つ。

 シュートが決められた場合、次の攻撃は自陣のゴールの下、コートの端、エンドライン外からボールを1人がコート内に入れて、試合を再開させる。

 湊がボールをボクに渡して、試合を再開させた。そしてボクもボールをすぐにPGである相葉に回す。

 そんな中、こんな中、あんな中、どんな中、神坂先生の野次が飛び交う。

「うおい! 何やすやす先制点プレゼントしてんだよぉおおお!!! 大隈!! 痩せろぉお!!!!」

 神坂先生を横目に老人監督はーーー

「さて、お手並み拝見と行こうかねぇ」



 相葉がドリブルでハーフラインを越えると、弱々しい声を上げた。

「お、落ち着いて一本取ろう…」

 声がいつにも増して小さいことと緊張による震えからなのか、自分が突いているドリブルの音で、自分の声がかき消されてしまっている。

 相葉はコート内に目を配る。目をやる。目を向ける。

 さすが地区大会で何度も優勝しているという実力、戦力、戦略は嘘ではなく、ディフェンスを振り切れない。振り払えない。

 そんな中、こんな中、あんな中、どんな中、ディフェンスを真っ先に振り払い、パスを要求したのは、漆原だった。

「ったく、しゃあねえなあ!!」

 そう言って漆原はディフェンスの上木を振り切る。

「しまった!?」

「オラ、どこ見てんだ! こっちだ! パス出せ!」

 漆原のオラオラに免疫がない、そもそも、もそもそ、ヤンキー自体から縁遠そうな、程遠そうな、相葉は、慌てたようにパスを出した。

 しかし、だがしかし、これはスポーツ。精神面も大きく影響するのが、スポーツだ。ましてやこれはチームプレーのスポーツ。チーム全体のメンタルが大きく試合を傾けることを漆原はまだ知らない。

 慣れない漆原に慌ててしまった相葉が出したパスは乱れており、ディフェンスである渡辺にカットされてしまった。遮られてしまった。

 それに対して漆原はーーー

「おい、テメェ何やってんだ!」

 怒りを相葉に向けた。

「落ち着けって、もう相手の攻めは始まってるんだ」

 ボクは2人の仲裁に入る。

「ご、ごめんなさい…」

「ああん? 聞こえねえよ!」

 相葉は漆原に対して、完全に萎縮してしまっていた。

 一連の流れを見ていた神坂先生はというと、

「あちゃー、アイツらは一体何をやってんだよ」

 頭を抱えるしかなかった。

 正直、この展開にはボクも頭を抱えたいくらいである。まさか漆原がここまでヤバいやつだとは思っていなかったからだ。



「ふん、何をやってるんのか知らんが、手加減はなしだ! ふんっ!!!」

 上木はそう言うと、強烈なダンクシュートを決めた。

 すると、ベンチの選手たちは一斉に立ち上がり、

「でた! ゴリラダンク!!!」

 大盛り上がりを見せた。

 そんなベンチを上木は凍り付くほどに睨み付けた。

「すいません、何も言ってないです……」

「まったく、誰がゴリラだ」

 そして上木はこちらにも鋭い視線を向ける。

「お前たち」

「はい」

「どんな事情がお前たちにあるのかは私にはわからん。しかしだ、コートに立っている以上は真面目にやってもらわなければ困る。私は遊びでバスケをやっているわけじゃないんだ」

「すいません、ワタシもそのつもりです」

「そうか、ならば、くだらない仲間内の小競り合いなど、さっさとやめろ」

「はい」

 上木はディフェンスに戻っていくと同時に、電子タイマーのブザーが体育館内に響き渡った。

 すると、タイマーを担当していた翠央の選手は立ち上がり、

「桜辰のタイムアウトです!」と、コールした。

 どうやら、今のプレーを見かねた神坂先生がタイムアウトを申請していたようだ。


 タイムアウトとは所謂、『ちょっとたんま!』というやつであり、時間は1分間。

 また前半(第1Q、第2Q)で2回、後半(第3Q、第4Q)で3回と使える回数も決まっており、またタイムアウトを取れるタイミングも決まっている。

 本来はシュートが決まる程度ではタイムアウトを取ることはできない。というのも、タイムアウトはタイマーが止まったタイミングでしか使用できないというルールがあるためである。

 そのためバスケはゴールを決めてもタイマーは止まらないため、ゴールが決まってもタイムアウトに突入することは基本的にない。

 ただあるとするならば、それは第4Qの際であり、ラストゲームとなる第4Qの残り2分に限ってはタイマーが止まるルールとなっているため、そこでは流れを変えるためにタイムアウトを取ることができる。

 しかし、だがしかし、ここではシュート決めた側は取ることはできず、シュートを決められた側しかタイムアウトを取ることはできないので、注意が必要である。

 以上のルールを踏まえた上で、何故タイムアウトが成立したのか。

 理由は2つあり、これが公式戦ではなく、あくまでも練習試合だから、緩いルールなのか。もう1つはタイマーの選手が妙に、奇妙に、震えている様子から察するに、神坂先生に脅された。

 このどちらかであろうことは間違いなかった。



 果たしてこの練習試合はどうなってしまうのだろうか?

私の中での『上木やちよ』というキャラクターは実は作中でも上位に来るのではないかというくらいに可愛いイメージでやっています。まぁ可愛いと言うよりは、美人の方ですかね。

しかし、『ダンクを決められる』『決める際の掛け声がふん!』といった要素が彼女をゴリラにしているのは間違いないですね。

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