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ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第1章 The story of Otatsu starting from here 《同好会編》
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第14Q Versus!!!

 大隈のダンクが失敗してしまった。

 まさかこんなことになるなんて、誰が予想しただろうか? 誰が予想できただろうか? 太っている時点で初めから結果はわかっていた? そんな馬鹿な。こんな馬鹿な。あんな馬鹿な。どんな馬鹿な。

「え、えっと、なんかごめん……」

 ボクが言い出したことなだけに、この状況には、状態には、現状には、謝ることしかできない。謝罪しかできない。

「謝らないで……」

 大隈は俯いた。

「お、大隈さんでしたっけ? あ、惜しかったですねー!! なんて……」

 湊もこの救いようのない、救いなど一つもない、空気を、雰囲気を、変えるべく言葉を発するが、どこか、どことなく、ぎこちない。

「では、バスケ部に入ってダンクシュートを決めるというのはどうかな……?」

 小さな声で相葉が提案した。

「私はバスケはもうやらないから」

「本当はやりたいんですよね?」

 大隈に対して、今度は湊が言葉を続けた。

「ちがっ!」

「違いませんよね? 大隈さんと麟ちゃんの体格差ですから、無理矢理引っ張られて来た時、本当は振り払えたはずです。でも、そうしなかったのは本当は強引にでもバスケ部に入れて欲しかったんじゃないですか?」

 湊はとても綺麗な澄んだ瞳で大隈を見つめた。見据えた。

「私は………」

「違いますか?」

「そうよ! 私はバスケが好きで仕方がなかった! だから、桜辰にバスケがないって聞いた時はショックだった! この時を私はずっと待ってたのよ!! 悪い!!?」

「悪くないさ。なら、大隈は今日からバスケ同好会の一員だ。よろしくな」

 ボクはそう言って大隈に手を差し伸べた。

 すると、大隈も自然と手を差し出してくれた。



 こうして、そうして、ああして、どうして、桜辰女子高等学校バスケットボール同好会に4人目の部員が入部することになった。

 シュート練習に、ツーメンやスリーメン、人数が増えたことによって練習の幅も大きくなっていった。湊と2人だった時も、それはそれで楽しかったが、やはりバスケはみんなで楽しむスポーツなんだと、実感することができた。

「麟ちゃん、楽しそうです!」

「ん? そうか?」

「はい! 麟ちゃんの笑顔を見ていると私まで幸せな気持ちになりますね!」

「なんだそれ?」

「うふふ」

 でも、でもでも、彼女の言葉は本当なのかもしれない。ボクは今、この状況を楽しんでいる。苦痛でしかなかったはずなのに、苦行でしかなかったはずなのに、苦労でしかなかったはずなのに、いつしかボクは彼女たちとの生活を楽しみ始めているのかもしれない。

 しかし、だがしかし、そんなことはあってはならない。ボクは決して彼女たちと混じって、混ざり合って、楽しんでいいはずがないのだった。何故ならボクは彼女たちを今もこうして騙し続けているのだから。




 学校での練習が終わり、ボクはまた公園で1人、自主練習をしていた。

 バスケをしている間だけは余計なことを考えなくて済む。余計な罪悪感を忘れていられる。だから、なので、こうしてバスケに打ち込むしかない。それしかボクが正気を保てる、保っていられる、すべが思い当たらない。見当たらない。

 するとーーー

「うおい!!」という叫び声が聞こえた。

「!?」

 声のボリュームに、声量に、音量に、驚きはしたものの、ビックリはしたものの、その声の主に対しては驚きも、驚愕も、何もなかった。

 それは漆原だからだ。

「げっ、またお前かよ……」

「またってなんだよ! ああん!!」

 相変わらず、相も変わらず、ヤンキー味が強い。

「ていうか、漆原はいつもこの時間に何やってんだよ?」

「ああ? 何でもいいだろうが!」

「ええ…」

 答えてくれないのかよと。

 そこはせめて答えてほしいところであった。というか、逆にここしか答えてくれなくていい。ここだけ答えてくれればいい。そう思っていたが、その願いも、この思いも、虚しく、悲しく、儚く、散っていく。散っていくばかりである。

「うーん、あ! お前、ひょっとしてバスケがやりたいとか? まさかな、そんなことはないよな? だってヤンキーっぽいもんな。それはないよ、なくてあってほしいよ。ほら、早くそうじゃないって答えておくれよ」

 ボクがそう言うと、何故か、どうしてだか、顔を真っ赤に、赤く、紅く、朱く、緋く、それはもう太陽よりも赤くした漆原の姿が、しおらしい姿が、可愛らしい姿が、そこにはあった。ここにはあった。

「え? ど、どうした?」

 漆原のヤンキーはどこへやら。漆原は黙ったまま何も言葉を話さない。

 昨日今日と、オラオラで、ラオラオで、勢い付いていたヤンキーの漆原さんは一体全体何体、どこへ消えてしまったのだろうか? いずこへ行ってしまったのだろうか?

「あ、あれ? う、漆原さん? キャ、キャラが違いますよ?」

「ああ、そうだよ畜生ぉお!!!」

「はい?」

「お前の言う通りだよ!! ウチはお前とバスケがしたくて、お前がここで練習するようになってから毎日見に来てたんだよ!!!」

「え、お前も?」

「お前もってなんだよ!! ぶっ殺されてぇかよ!!」

「いや、つい何時間前かにも似たような展開があったなって思ってさ」

「そんなの知るか! ウチと1on1で勝負だ!! 反論は認めねえ!!」

「随分といきなりだな……。でも、面白い。勝負だ漆原。やるからには全力だぞ?」

「当然だろうが!!」

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