表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第1章 The story of Otatsu starting from here 《同好会編》
13/86

第13Q The strongest woman

「あの、それでワタシに何か用なのか?」

「ああん?」

 いちいち、逐一、漆原うるしばらという女子生徒はヤンキーである。

「す、すんません」

 先程から、さっきから、ボクが言葉を発すれば、威圧されるという流れの、くだりの、繰り返しで1つも、何一つも、話が進まない。話が前に進んでくれない。進ませてくれない。

「それでワタシにどうしろと……?」

「そんなの決まってんだろ?」

「決まってますかね?」

「決まってんだよ!!」

 決まっていたようです。どうやら、彼女の中では既に決まっていたようです。

「と、言いますと?」

「あの、その、えっと、その」

 何故か、どうしてなのか、オラオラの勢いでガンガンと、グイグイと、攻め込んで来ていた漆原だったが、ここに来て、この土壇場で、言葉を詰まらせ始めた。

「?」

「あー! もうウゼェなー!!」

「!?」

「んだよ! 文句あんのか! ああん!!」

 彼女の情緒はどうなっているのだろうか?

「いや、ないけど、明らかにアンタ、変だけど、大丈夫?」

「んだと!! ふざけたこと言ってんじゃねえ!!」

 もう何が何だかわかったものではない。

「ちっ! もういい! 帰る!!」

「え、帰るの?」

「うるせえ!!」

 漆原は帰ってしまった。去っていってしまった。彼女は何をしにここに来たのだろうか? 最後まで謎は謎のままとなってしまった。




 それからもう少しだけ練習して、ボクは寮に戻った。

 練習で流した汗をシャワーで流し、そのまま就寝する。明かりを消し、消灯し、ピンク色のベッドの中で漆原のことを思い出す。

「なんだったんだ?」

 考えてもこれといって意味があるわけでもなく、どころか、それどころか、謎が謎を呼び、謎がさらに深まるのみであるため、考えるのをやめた。やめたというよりも、やめて気が付いたら夢の中にいた。つまり眠っていたのだ。

 次に気が付いた時には、目覚まし時計のベルが鳴っていた。

「もう朝か、さて! 今日も頑張るか」

 かつらを被り、食堂に降りる。

 食堂にはいつものように湊が先に朝食を食べている。

「麟ちゃん、おはようございます」

「おはよう」

「お疲れのご様子」

「うーん」

 そう言われて、こう言われて、ああ言われて、どう言われて、頭に浮かぶのは、頭をよぎるのは、思い当たるのは、スケバン姿のヤンキーのことだろう。

「なんか変なのに絡まれた……」

「それってどういう……?」

「うーん、なんだろうな? なんだったんだろうな」

「?」

 湊は不思議そうな顔を浮かべた。無理もない。ボク自身もよくわかっていないのだから。体験したボクですらわかっていないのに、そんな話を聞かされた湊は、それはそうなるだろうという顔であった。




 放課後、ボクはもう一度、大隈に声をかける。

「あのさ」

「なに?」

「やっぱりバスケやらない?」

「やらない」

「なんで?」

「なんで? 逆になんでやらなきゃなんないのよ」

「いや、それは……。勿体ないだろ」

「なにがよ?」

「せっかくそんな身長を持っているのに、それを使わないなんて、勿体ないだろ? ほら、早く行こう!」

 ボクは強引に大隈の手を引き、体育館へと引きずり出した。

「何すんのよ」

「バスケすんのよ」

 ほらと、ほらほらと、大隈にボールをパスすると、大隈は慣れた手つきで、ボールをキャッチする。

「麟ちゃん、彼女はどちら様ですか?」

 湊がボクのところに駆け寄ってくる。詰め寄ってくる。寄ってたかってくる。

「ああ、昨日から勧誘してるワタシと同じクラスの大隈。あの身長はこのチームには必要だからさ。どうしても入ってほしくて」

「そうですね! 私も彼女の身長が羨ましいです!」

 いや、湊はその姿で、その身長だから可愛いのであって、湊が180cmもあっては、それはもう、もはや、港ではないのではないだろうか。

「ほら、見せてくれ! カッコいいダンクを!」

「いや、私ダンクシュートは……」

「大隈さんはダンクシュートができるのですか!?」

 これには湊も瞳を、目を、まなこを、星のようにキラキラと、ラキラキと、輝かせた。


 そもそも、もそもそ、ダンクシュートとは何か?

 ダンクシュートとはジャンピングシュートやジャンプシュートとと並ぶ、バスケと言えばの代名詞シュートと言えるシュートで間違いないだろう。

 ボールをしっかりと片手、もしくは両手でボールを掴み、そのままカゴにダイレクトで叩き込むスラムダンクである。

 得点はジャンピングやジャンプと同じ2得点ではあるのだが、何故あえてダンクシュートを放つのかというと、繰り出すのかというと、シンプルに格好がいいからに他ならない。点数に影響しない以上、格好が付く、もしくは会場が盛り上がる、沸くというくらいなものだろう。

 しかし、だがしかし、それは男の話、女子バスケでダンクシュートを放てる選手がチームにいるというのはかなりのアドバンテージと言える。有利に試合運びができることは間違いない。

 だから、なので、ボクは大隈さんのダンクシュートが見た上で、彼女を仲間にしたい。



 大隈は小慣れたドリブルで、ゴール下まで近付くと、レイアップシュートの要領で1、2と、右、左と、ステップを踏み、大きく跳び上がる。

 そのジャンプはとても高く、ボクくらいなら軽く飛び越えられるのではないかというほどに、高く、それはもう高く、跳んだ。

 そしてボールをなんとその大きな手で、片手でボールを掴み、ダンクシュートの体勢に突入する。


『決まる!! ダンクシュートが決まる!!』


 その場にいたボク、湊、相葉、誰もがそう思った。

 しかし、だかしかし、ダンクシュートはゴールに届くことなく、空振り、くうを斬り、そらを裂き、見事なまでに落ちていった。

「背が高いからと言ってダンクシュートが打てるとは限らない……」と大隈。

「「「おっふ」」」

 その場にいた誰もが言葉を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ