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ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第1章 The story of Otatsu starting from here 《同好会編》
12/86

第12Q Ghost!!?

 19時。練習後の更衣室にてーーー

「……………」

 湊は薄い、淡い、水色の下着姿を平然と、然然と、ボクの前で晒している。晒し倒している。

 今日も今日とて見ないように己の欲望と戦う日々であった。

 しかし、だがしかし、今日の誘惑は、幻惑は、惑惑わくわくは、いや、ワクワクはしていない。していないが、今日は湊だけではない。

 ()()()、ではない、()()()()、の間違いだ。

 そう、今日から相葉もこの更衣室で当然着替えるのである。だから、なので、当然のようにピンクの横縞ショーツに、着痩せしていてわからなかったが、意外と大きな胸を押さえつけるように身に付けるスポーツブラという、下着姿を豪快に晒していた。

「………」

 見てはいけない。お嬢様の下着姿に、気弱な少女の下着姿なんて、決して見てはいけない。必死に、必死で、欲望に抗う。男に抗う。

 ボクはいつまでこんな苦行を続けなければならないのだろうか? やはり全ての元凶である神坂先生を藁人形で呪うしかないのだろうか?



 それから一度、寮に戻り、湊と夕食を食べた後、ボクは近くの公園のバスケットゴールで、少しシュート練習をすることにした。

 ジャンピングシュートやジャンプシュートと呼ばれるミドルシュートには2つの打ち方が存在し、それが片手打ち(ワンハンド)と、両手打ち(ボースハンド)である。

 2つの違いは言うまでもなく、言葉の通りで、シュートを打つ際に、ボールをリリースする手が片手で打っているか、両手で打っているかの違いである。

 その違いに意味があるのかということに関しては、ひとえに筋肉の差と言えるだろう。

 筋肉があればワンハンドで打つことができ、筋肉がなければ、それを補う形で両手で打つというだけのことである。

 以前はワンハンドは男子が一般的に使用し、ボースハンドは女子が打つことから、ボースハンドは女子打ちなんて男子で使用している者であれば、馬鹿にされたこともあるのではないだろうか。

 ボクはその経験者である。

 しかし、だがしかし、両手で打った方が間違いなく距離は出せることから、近年では男子でも中距離で打つ場合はワンハンド、長距離で打つ場合はボースハンドと、使い分ける選手も増えて来たのだとか。



 なら、それなら、距離が出るのなら、ボースハンドの方が良いのではないかと思うかもしれないが、ワンハンドとボースハンドのメリット、デメリットとも言えるものが存在し、それがシュートの打点である。

 ボースハンドは両手で打つ、全身の筋肉を使って勢いよく打つ性質上、打点がどうしても低くなりがちであるのに対し、ワンハンドは片手でリリースできるため、打点を高くして打つことができるため、ディフェンスにブロックされにくくなるというメリットがあるのだ。

 また膝のバネを活かしてジャンプする勢いと共にリリースするジャンピングシュートよりも、ジャンプし、ジャンプが最高到達点に達した時にリリースするジャンプシュートの方がさらに打点を高められるため、ワンハンドのジャンプシュートという組み合わせは最もブロックされにくい、ミドルシュートと言える。



 しかし、だがしかし、残念なことに、残念ながら、ボクはジャンプシュートも、ワンハンドも、どちらも使えない。

 だからと言って、かと言って、悲観するほどのことでもなく、ボクはドライブを得意としていることもあって、フリー(ディフェンスが付いていないことの意味)で打てるタイミングは自分で作れる。

 でも、でもでも、過信してはいけない。だから、なので、ボクはいつもこうして1人の時間に、シュート練習を行なっている。決めなければならない時に、確実に決めるために。

「お前、この間も1人でダムダムやってたよな?」

 ボクがシュート練習をしていると、背後からそんな声が聞こえてきた。

 声の主に顔を向けると、身体を向けると、首を振ると、そこには体育館で見た幽霊が立っていた。

「お化け!!?」

「誰がお化けだよ! ウチは生きてるっての!!」

「え、お化け……じゃ……ない?」

「人を勝手にお化けにすんじゃねぇよ」

 その少女はこれまたオラオラな、ラオラオな言葉遣いで話してくる。

「それはごめん。それで君は?」

「ウチは漆原麗央うるしばられお。よく覚えときな」

「は、はい」

 漆原は現代社会ではあまり見なくなったスケバンに制服を改造していた。

 言葉遣いと相まって、完全にヤンキーなのであった。

「えっと……ヤンキー?」

「お前は決めつけが激しい奴だな。ウチがそんなダサいことすると思ってんの?」

「いや、思ってるから訊いたんですけど……」

 それに漆原はスラッとしていて、背も大隈ほどではないが、女子にしては高いと思う。

 というか、男であるボクは既に背で負けている。

「ああ!? テメェ! 舐めてんのか!」

「いや、そんなつもりじゃないんだけど……」

 ほら、ほらほら、もうヤンキーである。

 スケバンでこの言葉遣いといい、この凄み方といい、これがヤンキーでないのなら、ヤンキーじゃないのなら、なら、どれがヤンキーなんだと訊きたいくらいである。

 間違いなく、確実に、正確に、彼女はヤンキーなのだ。

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