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ロウキュー娘♡?  作者: 千園参
第1章 The story of Otatsu starting from here 《同好会編》
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第10Q Practice game

「おはようございます!」

「おはよう」

 いつにも増して、湊はテンションが高い。ハイテンションだ。

「どうかしたのか?」

「いえ、何かあったわけではないのですけれど、どうしてなのか、私にもわかりませんが、こう、気分が高揚しているのです」

「そうなのか」

 まだ出会って3日程度だが、最初に出会った頃の湊と、今の湊とでは大きく印象が変わったように思える。

 しかし、だがしかし、気分が高揚しているとまでは言わないまでも、気分が良くなっているのはボクも同じではあったのだ。

 というのも、そういうのも、やはり3人目の部員である相葉が入部してくれたことが大きく関係しているのは間違いない。

 最初はどうなることやらと思われた女装男と金の亡者から始まったバスケットボール同好会であったが、湊が入部し、相葉が入部しと、かなり軌道に乗ってきたのではないかと思える。

 このペースであれば、そのペースであれば、あのペースであれば、どのペースであれば、5人揃って試合に出場できる日もそう遠くはないだろう。



 そして学校に登校し、湊と別れたボクは今、神坂先生に呼び出されていた。

「よく来たな」

「はい。というか、なんで体育館裏なんですか?」

「呼び出すなら体育館裏って相場が決まってんだろうが。馬鹿かお前は」

 それはこちらのセリフである。

「いや、教師なんだから普通に職員室に呼び出せばいいでしょ」

「それはできない。何故なら重要な話だからだ」

「?」

「聞きたいか?」

「まぁここまで呼び出されたのなら、もう、はい」

「教えねえ」

 意味がわからない。この人の考えていることが全くもって理解できない。全くと言っていいほど理解できない。する気がないと言われればそれまでかもしれないのだが。

「いや、教えてくださいよ」

「そんなに教えて欲しいなら、私の靴を舐めろよ」

「……‥帰ります」

 振り返ることなく、振り向くことなく、ボクは歩みを進めた。

「待て待て、落ち着け」

「落ち着いてますよ」

「落ち着け」

「落ち着いてますよ」

「そんなに知りたいなら、仕方ねえから教えてやるよ」

 ただボクは呼び出されたから、ここにやって来たに過ぎず、神坂先生がこれから何を話すのかは知らないが、知り得ないが、そこまで知りたい話でもない。

「いいか? よく聞けよ?」

「はい」

「今から1ヶ月後に練習試合を行うことが決まった」

「………はい?」

「落ち着け」

「落ち着いてますよ」

「落ち着け」

「落ち着いてます」

 この人は一体全体何体が言いたいのだろうか?

「いいか? もう一度だけ言うぞ?」

「はい」

「今から1ヶ月後に練習試合を行うことが決まった」

 神坂先生は一字一句、たがうことなく、間違えることなく、繰り返した。繰り出した。

「練習試合?」

「そうだ」

「5人すら揃っていないのに?」

 そもそもバスケットボールというスポーツは5対5で行うものであるため、そもそも5人揃っていないボクたちは試合に出場することができないというのが前提の話である。

「揃っていないのに練習試合をするんじゃない。揃えて練習試合をするんだ。この意味、お前ならわかるよな?」

 わかりたくない。わかりたくなどない。でも、でもでも、わかってしまうから、わかってしまうからこそ、わかってしまう自分が嫌になる。わかってしまう自分にことごとく失望してしまう。

「練習試合までにメンバーを揃えろと?」

「さすが私が直々に見込んだ()()()だ! いいぞ! その調子だ」

 どの調子だよと。

「とりあえず、あと3人だ」

「いえ、あと2人です」

「まさか見つかったのか!? 3人目が!!?」

 なんで無謀なことを押し付けている張本人が一番驚いているのだろうか。

「はい。今日、入部届を持って練習に参加すると思います」

「いいぞ! いい調子だな! これなら私の減給はひとまず避けれそうだ!!」

「減給?」

「うん、部員を5人集めて試合をして、活動実績を残さないと、私の給料が減らされてしまうんだ。教頭も酷なことを言うよな? パワハラだろ完全に」

 それもそうかもしれないが、教師が無理矢理、女装させて、バスケ部を作らされて、こき使われているのはパワハラではないのかという思いを押し殺した。



「まぁいい。なら、あと2人も私のためによろしく頼むな! それじゃあ、よろしく!」

 なんという無茶苦茶な人なのだろうか。

 朝から頭が重い。頭痛する。頭痛が痛い。

「あ、そうだ!」

 一度歩き去ってしまったはずの神坂先生が帰ってきた。

「?」

「これをお前に渡しておく」

 そう言ってボクに手渡されたのは、1年生の中学時代の入部していた部活動が記されたA4サイズのプリント用紙であった。

「これを参考に声をかければ、残り2人もあっという間ってもんだ! んじゃっ! 頑張ってくれ!!」

 随分と簡単に言ってくれるものだと、目をプリントに落とした。

 そこには同じクラスでボクの後ろの席の大きな女の子の名前と写真があった。

「この人って元バスケ部だったのか。確かにあれだけデカければ、そりゃバスケやってるよな」

 そうとわかればと、ボクはすぐに教室に戻り、その人の元へ向かうのであった。

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