こっちの心配も知らないで。
駅の改札口
半月浮かぶ夜
君の姿求め
人波を眺めている
今日は帰りの時間
同じだったから
久し振りに二人で一緒に帰ろうって
届いたメッセージ
君が乗っているはずの下り電車
人波が途絶えてしばらくたったのに
その姿が見えなくて
どうかした?
僕の連絡も既読つかなくて
心の中が一気に不安で染まって
スマホ握りしめながら
君の無事を願う
次の電車が来るまで
たったの5分 10分が
とても長く感じて歯痒くて
ようやくホームへ入ってきた電車の音を聞いて
僕は祈るように
人が溢れ出てくる改札を見つめてる
その人波からぴょこっと飛び出してくるように出てきた
ようやく見つけられた君の姿を見て
僕は思わず駆け寄ってしまったんだ
何かあったの?
僕の問に
持っていたコンビニの袋
顔の横に掲げて
今日発売のケーキ
2人で食べようと思って
ラストの2個だった
こっちの心配も知らずに
満面の笑み
連絡したのにって文句にも
バックの奥で気付かなかったって
そんな顔しなくても
電車一本 乗り遅れただけじゃないって
僕の顔見てまた笑って
私が帰ってこないなんて
あり得ないでしょ?
早く帰ってご飯食べて
ケーキ食べてみようよ
差し出された右手を
僕は安心と嬉しさを込めて強く握る
君を守りたい
口には出せない願いと共に包み込む