表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青竜の騎士 ~青き聖剣の物語~  作者: 柊 卯月
外伝の1 アルルア剣闘会
51/89

11:試合開始パーレ・リーカ


 歓声は鳴り止むことを知らないようであったが、メルフォターゼ皇女が退くと、少しずつ音量が下がっていった。

 その頃合いを見計らってか、銅鑼の音が響き再度歓声が静まった。

 張り出し床にいた騎士が下がり、今度は白い衣装の男が出てきた。金糸銀糸が縫い込まれた白の祭祀用衣装である。神官長(オリオラン)であった。

 その神官長が右手を高く掲げた。観衆の視線がその右手に集中する。三度めの静寂が闘技場を覆う。

「これより、第10回剣闘会(リクザード)の開会を宣言する!」


 神官長の宣言のあと、割れんばかりの歓声と拍手が沸き起こった。

 楽隊が歓声に負けないほどに吹管の高音を響かせた。

 闘技場の観客席の下にある門が左右に開いて、剣士が現れた。

 一人、二人、・・・。軽装備や鎧装など、さまざまな外装を身に着けた剣士が闘技場の中央に進み出た。貴賓席を前に1リルク(約85センチメートル)ずつ間隔を空けつつ、剣士が並んでいく。


 剣士が現れるたびに観客席から声援が飛ぶ。

 15人の剣士が、皇席に向かって一列に並んだ。

 ざわめきが収まらない中、神官長が右手を上げた。

「イアン・ハンドリア、ドリエ」

 名を発表された一番右の剣士が一歩進み出て、深々と頭を下げた。それを合図にしたように闘技場に歓声が響いた。観客席の一部が特に歓声が大きい。おそらくドリエ国の応援団だ。国によって差はあるが、各国とも王侯の出席だけでなく、応援団を送り込んできている。自国の剣士には熱心な応援が送られるのは当然のことだった。


「ホラン・フォーリア、マクザイン」

 二人目の剣士の名が告げられた。先ほどとは違う場所の観客から大きな歓声が上がった。マクザインは北方にあり、アルルアからは2番目に遠い国だが、相当数の応援団を送り込んでいるようだった。

 剣士の紹介は出場順で紹介されるようだ。先の二人は第1試合の組み合わせだった。

「リーガン・バランス、ジルクル」

 3人目の剣士が前へ出る。出場者の中でもひときわ大きな体躯を持った剣士だった。髪は剃っているのか無毛で陽光に光っており、表情も自信ありげだ。


「アシル・シロキサン、マト」

 4人目の名が告げられると、また別の一角の観客席が沸き上がった。ショーンも立ち上がって拍手した。

「アシルー!」

 ショーンの隣で、スーナが声を上げた。

「頑張れー! 優勝よ!!」

 スーナの声が届いたわけではないだろうが、1歩踏み出したアシルが、深々と頭を下げた。マト国は過去に優勝がない。だが、今回出場のアシルには期待がかかっていた。過去の出場者の誰よりも強いと言われている。そのため、国名では今回こそ優勝を、と期待が高まっていた。


 剣士の紹介が続き、7番目の剣士の名が告げられると、歓声と共にスーナが立ち上がった。

「アーティス・トラン、アルファム」

「アーティス様っ!!」

 スーナは両手を上げて頭を下げるアーティスに手を振る。

「わたくしのために優勝してくださーい!!」

 ショーンは手に持っていたカップを落としかけた。若干聞き捨てならない台詞だったような気がした。

「アーティス様! スーナが応援しています!」

 観覧席から身を乗り出して、アーティスに手を振る。

「あぶない!」

 ショーンは思わず、スーナの腰を抱きかかえて引き寄せた。

 次の剣士の名が呼ばれると、ようやくスーナが席についた。だが、まだ興奮冷めやらぬ感じで、頬が上気してピンクに染まっていた。

 

「・・あの~、スーナ」

 ショーンは控え気味にスーナに声を掛けた。

「はい?」

 スーナがにこやかな顔でショーンを振り返った。

「アーティス殿を応援するのは悪いことではないけど、ちょっと熱が入り過ぎじゃないか?」

「そうですかぁ? アーティス様はスーナの大事な方ですから」

「そうだけど、・・いや、そうじゃなくて・・・」

 ショーンは困った顔で右手を振った。

「私たちはマト国の応援をしないと」

「応援はしましたよ。アシルには頑張ってほしいです」

「アーティス殿とアシルが戦ったらどうするんだ?」

「う~ん」

 スーナは右の人差し指を形の良い顎に当てて、首を傾げた。

「アシルには勝ってほしいですが、アーティス様には優勝してほしいです」

 今度はショーンが首を傾げた。

「どちらも勝つというわけには・・・」

「ん、でも、アーティス様は王子様ですから優勝していただいて、スーナを迎えに・・きゃっ」

 ショーンは言葉を失って、自分の妹を見つめていた。どうも彼女はショーンが知っている世界には居ないようだった。

「はあー」

 ショーンは両手で頭を抱えた。


「ファラーン・ランスフォード、アルルア」

 最後の剣士の名が告げられた。アルルアの剣士はがっしりとした体格の偉丈夫であった。

 ファラーンが頭を上げると、銅鑼の音が2度響いた。

 剣士たちは、割れんばかりの拍手に送られながら、観客席の下の出入り口に消えていった。ただ、2名の剣士だけが、闘技場に残った。


 ざわざわとざわめく闘技場に、新たに現れた神官の声が響いた。

「第1の試合!」

 その声に、期待を込めてざわめきの音量が下がっていく。

「ドリエ王国よりイアン・ハンドリア!」

 闘技場の2人のうち、赤い胴着を付けた剣士が剣を持つ右腕を掲げた。闘技場全体から歓声が上がる。だが、次の名乗りを急かすように、その声はすぐに音量を落としていく。

「マクザイン王国より、ホラン・フォーリア!」

 もう一人の剣士が剣を天に突き上げる。再度歓声が上がり、闘技場の期待は一気に高まった。


 二人の剣士は闘技場の中央で互いに向き合い、お互いに一礼した。剣士が顔を上げると同時に、闘技場が一瞬静まり返った。その静寂の中を神官の声が通り抜けた。

始め(パーレ・リーカ)!」

 その声と共に対峙した剣士が剣を構える。そして、試合の開始を告げる銅鑼の音が闘技場内に響き渡った。


ちょっとアップするのに時間がかかってしまいました。

年末から腰を痛めてしまい(脊柱管狭窄症というらしいです)、本業の仕事でもちょっとめげることがあり、気力が落ちていました。

画面を開いても、一行もかけないまま寝落ちしてしまうことがしばしば。

ようやく投稿にこぎつけました。

時間がかかっても続けていきますので、どうかお付き合いください。

励ましのお便りも待っていますwww

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ