第七章 落ち合う
ふう。やっと全員落ち着いた。といってもまだみんな外の様子を気にしてはいるが。
そうしたら、まずは現状の把握が第一だ。
「えーっと、外を調査するための調査隊を組もうと思う。そうだな、おれを除いて5人もいたら十分だ。じゃあ調査隊に加わる人、挙手して」
ちょうど五本の手が挙がった。
水泳の県大会一位の小林水杜、弓道やらフェンシングやらをやっている闘争心が強い郡山愛弓、そして古生物好きの近藤修、サバイバルオタクの山田史樹、医師を目指していて勤勉家の吉田太子。
全員、仲の良い友達だ。
まあいっちーが行くなら、みたいな感じで挙げたのだろう。
「えー、じゃあ他の人たちは体育館でしりとりでもして待ってて。で、いま手を挙げた5人は俺についてきて。」
そう言い残し体育館をでた。
正門前で、5人と落ち合った。
「はあー」
友達と会い、緊張が解ける。
「なんか超やべえな」
郡山が笑いながら言う。
「語彙力ひっくいなーお前。さすが9教科総合300点」
山ちゃんが見下したように言う。
「雑談してないでさ、早く調査しに行った方がいいんじゃない?」
郡山にみぞおちをハイキックされて丸くなっている山ちゃんを横目に、吉田が急かす。
「じゃあまず、ここは何時代だと思う?」
こんちゃんが、顎に手を当ててぼそりとつぶやくように言う。
そのことについては考えていたところだ。
「ジュラ紀か白亜紀じゃないかと思う。あの恐竜は竜脚形類で、目測30mくらいの大きさだから三畳紀の原始的なものじゃないから、そうなると白亜紀かジュラ紀しかない」
「27mだし」
「本当に言ってる?」
「本当。いつ戦場に行くかわからないから目測で大体測れるようにしてる」
9教科総合300点の郡山は憲法第九条を知らないらしい。本人の前では言わないが。
「ふーん。話すのはここまでで、とりあえずしゅっぱーつ!」
なにか行動を起こさない限り始まらない。そう思い、外へ一番乗りした。
外に出ても、特に代わり映えはしなかった。
「それにしても暑くない?日射病と脱水症状でも起こりそうだよ」
吉田がはあはあ汗を拭きながら愚痴る。
「ジュラ紀と白亜紀は温暖湿潤で、二酸化炭素濃度が高くて温暖化が起きていたからなんだ」
「ほえー」
こんちゃんの知識量にはよく驚かされる。
こんちゃんは恐竜よりもその他の生物や気候などが好きらしい。
「ねーねーこの花なんて花?」
「そんな地味な花は知らな—花?!」
いきなり叫んだこんちゃんに、質問した郡山もビクッとしていた。
「被子植物があるってことは、ジュラ紀末期か、白亜紀ってことになる。たくさん種類があったら白亜紀後期だ」
「じゃあ、花とかを積極的に探そう」
20分くらいかけて学校の周りを調査した。
おさらい
主人公:市原拓将行動派で恐竜大好き。170cm55kgべっこうでレンズの大きいメガネが特徴で顔は上の中。将来の夢は恐竜学者。あだ名はいっちー
登場人物:近藤修市原がもっとも慕う、恐竜以外の古生物や気候が好きなサッカー男子。153cm38kgくりくりした目が特徴。将来の夢はサッカー選手。
山田史樹市原と近藤とは仲良し3人組。172cm51kg。サバイバルオタク。なぜか足がとても速い。将来の夢は親の蕎麦屋を継ぐこと
吉田太子慎重派で教養深い。155cm41kg平均的な体型で、青いメガネをかけている。市原のことを慕っている。将来の夢は医者。
郡山愛弓攻撃的で頭は良くない。140cm31kg痩せていて褐色肌。男子とよくつるむので一部の女子からは妬まれる。将来の夢は軍人か狩人。
小林水杜いつもニコニコしていて何考えてるのかイマイチ分からない。163cm45kg夏休み明けで色黒。やまちゃんによくちょっかいを出す。将来の夢は水泳選手。