第三章 行動
一時的に気を失ったような状態だった市原は目を覚まし、窓際で呆然と外を眺めていた。
「これは、、、」
外には校庭が広がっているが、いつもの校庭ではない。
いつもは灰色の砂利があるはずなのに、色の薄い土で、丈の短い雑草がまばらに生えているときてる。
先生が消えたと思ったら今度は何事かと思い、窓を開けてみる。すると、潮風がブワッと職員室に流れ込んで来た。
「ふぇ? おええ?」
あまりの唐突さに、我ながら間抜けな声がでてしまった。
住宅があるはずの校庭の外には、青く澄んだとても美しい大海原が広がっていた。
—とうとう日本も温暖化で沈んだか。
そう思ったが、それなら学校も沈んでいるはずだ。
そうだ、とりあえず行動を起こそう。
俺は「とりあえず行動」がモットーだ。例外はない。
だが、なにも考えずに行動するのは少々無謀すぎる。
では、起こせる行動を複数あげていこうと思う。
1、外に出てみる
外に出ても特に何も変わらないだろう。他に人がいたとしたら、便乗して外にでる人が多くでてきて大変なだけだ。よって却下。
2、じっと待つ
ふつうなら賢明な判断かもしれないが、行動を起こしたいし、他の人もいないかもしれない。よって却下。
3、他に誰かいるか確認しながら、放送室へ行く。
今まで検討したことを踏まえた結果。決まりだな。
そうそう、学校全体が停電していたらしいのだが、この学校だと主要な場所は停電しても少しは使えるようになってるらしい。照明は点いていなかったが、昼間だったので外からの光で明るかった。
ふと時計を見てみると、一瞬放心状態になったときから2分程度経過している。
職員室の壁にかかっていた放送室の鍵を取り、ダッシュで放送室へと向かった。