第二章 学校、中へ舞う
山ちゃん視点です
山田は、退屈そうに窓の外を眺めていた。
こんちゃんといっちーとは仲良し三人組だが、こんちゃんは自分のクラスの人と校庭へ遊びに行ったようだし、いっちーのクラスに行ったら、先生に呼び出されたらしいと言われたのだ。
外で歌をうたう白っぽい小さな鳥を見て、どのようにしたら楽に捕まえられるかを考えていると、鳥がとまっていた体育館の屋根に埋まった。
—埋まった?
思わず「え」と声を漏らし窓に近づく。窓にはメガネをかけ、消せるならお小遣いを減らしてもいいと思うほど恨むニキビがはびこっており、オタク面の自分が写っていた。ニキビはどうやったら消せるのだろうか—
いや、そんなことはどうでもいい。
よくみると、学校の周りの木々や家も埋まって—
—ちがう。学校が他のもの全てを置いてきぼりにして、浮かんでいるのだ。
静かに音もたてず、スーっと。
だが、自分は学校ですわっているし、周りを見ても、みんなふつうにしている。
今日の朝寝ぼけて頭を打ったのが響いてきたか。
「お、おーーい。おまえこっち、ちょ、ちょっと来て」
同じクラスのそこそこ仲の良い友達を、震えた声で呼ぶ。
「え? え、え」
こっちにきた友達も、理解が追いついていなかったようだ。
殴りあったてもみたが、とても痛い。
—現実なのか。
窓の外をまたみると、学校は山田たちの理解を追いつかせまいとするように、ぐんぐん速さをあげ上昇している。
クラスの人達も気づいて、みんなパニックを起こしている。
周りの雲が糸を引くように見えていることから、相当な速度になっているようだ。
なるほど、理解が追いついてきた。
学校が浮かび、人以外のものは学校をすりぬけて地上においてけぼり。
整理してもわからないが、そうするとなぜ気圧差を感じず、椅子や机などは全く動じない。揺れてもいない。
まあ、これは僕の夢か、僕自身がオカシクなってるんだろうから、当たり前か。あははははは。
その時、目の前が暗くなった。