序章 夜 & 第一章 先生、埋まる
楳図かずおの漂流教室を読んで、古生物がいるくらいの世界だったら主人公達にとっての、難易度?的にもちょうどいいなあーと思い、書いてみました。古生物なら私自身知識があるので、書きやすいことも執筆に至った理由です。
漂流教室がインスピレーションとなっただけなので、二次創作とかではないです。ホラーテイストでもないです。自分がこんな世界に飛ばされたとしたら自分はこうするなーを小説にしたものですので。
随時更新予定。
初投稿で至らなぬことも多数ありますが、アドバイス、誤字、感想など教えていただければ幸いです。
序章 夜
人には創り出せない圧倒的な恐怖。
じめついた夜の闇にキラリと光るものが見えるたび、それを感じる。
体育館の扉がガンガンと音を出しはじめた。
息を潜めながらも、静かに深呼吸をして手に持った棒を構える。
ああ、どうしてこんな目に遭わなければいけないのか。
恐らくそこにいた全員がそう思い、運命を呪った。
第一章 先生、埋まる
「おはよ〜」
と、半分あくびのような声で吉田に挨拶をする。
学校の登校時間があと一時間遅ければなあと学校を呪った。
吉田も力なく「おはよ」
と返事するけど、そこまで眠気はないようだ。
吉田とは友達で、家も近く同じ中学校なので一緒に登校している。
外見については、色白で背は低めでメガネをかけている、インドア系の見た目だ。
「いっちーてさあー、タイムマシンがあったらなにしたい?」
いっちーっていうのは、俺の姓が市原なのでそうよばれている。
「分解かな」
と、冗談半分でそう答える。
「そういうことじゃなくて、どの時代に行きたいかだって」
吉田は苦笑しながら訂正した。
「タイムパラドクスがおきるけど?」
「そういうのは考えないで」
「まあもちろん白亜紀かな!有名な恐竜とかは大体この時代だし」
「まあ大体恐竜系のことだろうとは思った」
「まーでも本当に行ったらかなり危ないだろうけどね」
吉田がどうして唐突にそんなことを聞いたのかというと、
「バック・トゥ・ザ・フューチャーをアマゾンプライムビデオで観たから」
だそうだ。
そんなたわいもないことを話しながら、学校へ向かった。
学校に着くと、昇降口のところでこんちゃんに出会った。
偶然だったし、とても嬉しい。
こんちゃんというのは小学三年生からの仲で、深い古生物の話ができるから仲良くなった。
あとこんちゃんというのは、本名が近藤で、俺の母親が可愛いからと言って呼び始めたからである。
こちらも外見について触れておくと、背は吉田と同じくらいで低めで、中学になってからはサッカー部なので髪を剃ってある。俺からすると残念。
目はくりくりと丸い。母に可愛いと言われる所以だ。
「そういえばさ、こんちゃんはタイムトリップするとしたらいつ?」
「潜水艦に乗ってエディアカラ紀か、普通にジュラ紀とかかな」
エディアカラ紀とかってさらっと言うようなとこが好きだ。ここまでの理系知識を持っている人はそうそういない。
返事をしようとした時、キーンコーンカーンコーンという音が鳴り響いた。
時計をみて遅刻したことに気づき、俺たちは教室まで階段を駆けあがった。
教室について間も無く、先生が来て欠席確認をしだした。
「市原拓将!」
「へいい!」
と、みんなの注目を集めたいがために変な返事をしてみる。
そうそう、俺の事についてはまだ触れてなかった。
中学一年生にしては背が高くて171cm。超イケメンで、メガネ系男子。自意識が高いのは自覚済み。
運動音痴だけど力はある方。成績はそこそこよくて、学校で習わないようなこと(例えば古生物とか)ならばかなり自信がある。
クラスの人にちょっかいを出されると、すぐに蹴りをいれたりするけど、べつに悪い事だとは思ってない。
授業が始まったが、勉強はどうも性に合わない。
塾の授業を聞きながすだけで十分だ。
悪い子ちゃんだなと思いながも、机に落書きしたり眠ったりして暇をつぶした。
給食が終わり、休み時間が始まると、先生に職員室まで呼び出された。
「あーあ、おいでなすったか」
と俺は小さく独り言を言った。
理由はわかってる。この前組体操の批判をデカデカと訴えたからだろう。
俺は思いついたり、気になったりしたらすぐに実行しなければ気が済まない。
そこが裏目にでることもよくある。
しかし、職員室まで呼び出すとは酷くないか。
先生がこっちに来ればいいのになあと悪態をつきながら夏の熱い湿気がこもった廊下を歩いていく。
案の定、冷房の効いた涼しい職員室で体育担当の先生に伝統やらなんやらと話をされた。
体育の先生はだいぶ筋肉がついていて、日常生活じゃ使わないだろうに、そこまで鍛える必要性が見えない。
鍛えた筋肉が重いのか、先生の尻が椅子にどんどん埋まってきている。
1分が経ったころ、さすがにおかしいと思った。
先生の尻が椅子を突き抜けていたのだ。
椅子は壊れていないのに、尻がでていた。
もっとおかしなことに気づいた。先生のくるぶしから下が床に埋まっていた。
先生は全くもって気づいていないようだ。
周りを見渡してみると、他の先生達もそうなっていた。
意識がはっきりしており、頰をつねっても痛覚を感じることが夢でないことを証明していた。
訳がわからず、背中に寒気を感じ、ゾッとする。
頭がオカシクなってしまったのだろうか。
しかも、どんどんと埋まるのが速くなってきている。
ハッとして自分の足を見てみるが、異変はない。
先生の腰が埋まっても自分の身に起きている超常現象に気づかないようで、目線は俺の腹に注がれている。
近くの先生もデスクの下の空間でものを書く動作をしている。
とうとう、先生は消えてしまった。
心臓がいつもより速く鼓動し、自分の筋肉の使い方を忘れたように、市原は座り込んでしまった。