その四 文官
文官その1
はい? ああ、筆頭補佐官殿。
ええ、とても仕事ができます。
ぱっと見は軽薄そうな方なんですけどね、あれは油断を誘うための演技だと思いますよ。
あ、女好きというのは否定できませんね。むさ苦しい野郎どもと同じ空気を吸っていたくないなんて、ぼやいてますよ。
お互い様なんですから、そこは諦めて欲しいですね!
彼女のことですか? そうですね、男ばかりの環境がいやだからって、護衛に女性を雇うのはどうかなとはじめは思ったんですけど。
あれだけ強ければ、女だろうと男だろうと雇いますよ! ものすごい戦力です!
うん、いい人ですよ。結構、優しいですし、気前もいい。王宮の侍女さんたちからよく差し入れもらってきては、分けてくれるんですよね。なぜか国王陛下からお菓子をもらうこともあるそうで。交友関係広いみたいですね。
それに、夜遅くまで働いていると、よく食べ物を差し入れてくれます。なんか腹すかせている連中見ると本能的に食べ物やらないといけない気分になるんだとか言ってますけど。
以前は筆頭補佐官殿の妹さんもよく差し入れをしてくれていたんですけどねぇ……。今でもたまに情報の差し入れはしてくれるんです。護衛兵の彼女経由で干物みたいなのもくれましたね、そういえば。
え? 情報ですか? なんかよくわからないけど、ちょっと出かけると護衛してくれる連中が拾ってくるって書いてましたね。
いらないのにってぼやいてましたけど。きっとそういう星の下に生まれて来たんですね。
あの兄妹、早く仲直りしてくれるといいんですけど。補佐官殿が捕獲に失敗するから……。
え? 捕獲って言ってました?
ははは、すみません、人手不足なものでつい。本当にもう…王妃様が役立たずの高官も粛清してくれればいいのに……。




