ヒーローの姿 2
寄生アンノーンとジュウの身長の差は頭1つ分寄生アンノーンの方が大きい。ジュウは攻撃に耐えると少し頭を上に向け寄生アンノーンの顔を見た。寄生アンノーンも振り返りジュウの方に体を向けて少し頭を下に向けてジュウの顔を見た。
寄生アンノーン「お前の名は?」
ジュウ「ライトニングジュウ道。」
寄生アンノーン「ジュウ道?私はマスク。マスク・ランジバル。」
マスク「ジュウ道。今の距離が得意なのか?そこまでして今の攻撃を耐える必要があったか?」
ジュウ「そうだな。今のビーム?スッゴい痛かった。」
不動の緑は絶対不動。だが別にダメージ軽減能力があるわけではない。ましてやその場に固定される分衝撃はもろにダメージになる。ジュウはそれでもその場に留まりたい理由があった。
マスク「その胴着は熱が防げるか・・・なかなか利にかなっているな。しかしそのダメージはハンデが大きいなあ?それに背中も大やけどじゃないか?大丈夫か?私と戦えるか?」
ジュウ「ここに来るのが難しいんだ。ここに来るまでが僕の戦いだ。」
マスク「ほう。この距離に来たら終わりのような言い方をするじゃないか?」
ジュウ「そう・・・もう君は・・・僕には勝てない・・・」
マスク「ふっ・・・実は私もこの距離が得意なんだ。さっきの奴もなかなか面白かった。けどジュウ道、多分君はもっともっと面白いよな・・・?」
ジュウ「多分面白くないよ。何もできないから。」
そこから明らかに空気が変わった。空気中の余分なほこり達が一気に逃げ出した。澄んだ空気が二人を包んだ。
メイ達も風を感じた。目を閉じた人々はジュウ道を見つめていた。
少年「あの人は・・・僕達を助けられるの?」
母親「わからない・・・でもあれは多分ジュウ道よ?きっと私達を救うわ!」
少年「そんなに強いの!?ジュウ道って!!」
コウ「強いわよ。あなたもしっかり見てあげてね。多分見えないけどね。」
少年「見えない?」
マスク「だったら見せよう。私の本当のファイティングスタイルを。」
マスクは触手を千手観音のように背中に並べる。まるで腕が数十本増えたかのように。触手の先端がボールのように丸くなる。
マスク「この触手1本。」というと全く関係のない地面に当てる。
マスク「何馬力だった?聞いてみろ。」
オペレーター「・・・450馬力です・・・」
ジュウ「450だ。」
マスク「この触手はいつでも合体出来る。2本で2倍、4本で4倍。数は32本。連打力は腕を合わせて34倍。これをかわせる人間はいるのかなあ?全部一気にくるかなあ?攻撃パターンは何種類あるかなあ?それとも・・・」
言い終わる前に被せるように、煽るように静かにジュウは喋る。
ジュウ「いいからやってみろ。」
マスク(殺す・・・一瞬で・・・一撃目から触手8倍、そのあと8倍のワンツー。これで大体死ぬ。しかしこいつには16倍を食らわせ、そのあと両腕で殴る。)
マスク「・・・」
ジュウ「・・・電光」
音はなかった。マスクはモーションもなく、ほぼ見えない速度で8倍に膨れた触手を放っていた。さらにそのあとの8倍触手も放っていた。
しかししりもちをついていた。
ジュウが動いた様子すらない。
マスク「―――――――――ああ!?」
マスクがジュウに目を向けるとまた帯の色が、今度は茶色になっている。
ジュウ「ダイダラ腰帯・・・技刻の茶・・・」
マスク「いや・・・?つまずいたか?そ・・・そうか・・・?今度こそ私の番だ。食らえ。」
マスクは少し顔が赤くなっているようにも見えた。本当に自分で転んでしまったのだと勘違いした。
ジュウ「・・・電光」
マスクは次に32本全てをランダムに放った。この近距離、回避する場所などない。自分自身でもこの攻撃をかわす術はないという自信があった。
しかし次は仰向けに空を見ていた。
ジュウ「大外」
マスク「なんだこれは!!!!!!!ふざけるな!!!!!!!ああああああああ!!!!!」
何度も何度もマスクは攻撃をしていた。確かに攻撃はしていた。しかし倒されている。ジュウは動いた様子がない。しかも徐々に背中、腰、さらには頭へのダメージが大きくなる。
ジュウ「電光巴」
ズン!
今度はジュウの足元に寝転んだ形。マスクを見下ろすジュウ。最大の屈辱。人間と闘うのが初めてのマスクは少し手が震えた。
マスク(まさか・・・このアンノーンの頂点にもなり得るこの私が下等な人間に、恐怖しているというのか!!!こんなダメージもないような攻撃かもわからん状況でか!?!?)
しかしマスクの内部からくる破壊の音は明らかなダメージ量を表していた。