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3.意識遮断系主人公と恋する女の子

本日最後になる3回目。

先に出した二つと比べると半分以下の文量。

 いいろちゃんが料理を振舞ってくれて翌日から、いいろちゃんがまともに俺の顔を見てくれなくなった。

 さすがに出会い頭に隠れられたり逃げられたりしたらこちらも悲しくなるというもの。

 かくいう俺も顔面偏差値も性格もイケメンからは程遠いものだし仕方ない。


 ん、気遣い?


 HAHAHA!


 年齢=彼女いない歴の俺にできる訳ねぇだろ!

 いい加減にしろ!


 むしろ俺を気遣ってほしいくらいだ。

 いいろちゃんの行動はかなり精神的にくる。


 あの時、思いつく限りであのオムライスに適切な美辞麗句を並べたのだがそれが何かまずかったのだろうか?


 それに家に来ても俺が帰ってくる前までに逃げるように帰ってしまうのだとか。帰るくらいなら来なくていいじゃない……。

 下校時間とか諸々込みで小学校からこのマンションまで5分の距離で、16:00には帰り着くならば、俺の帰宅が四限目終了で17:10だから……、余裕を持っても20〜30分程度の滞在ですぜ?


 母さんに聞いてもニヤニヤとした笑顔を向けてくる。ムカついたのでくすぐり倒してやった。


 うーむ、わからん。


 あの子が俺に恋をしている?

 あの美少女小学生が?


 ははは、ないない。


「おーい」


 なんだって俺は年齢=彼女いない歴の冴えないD.D.D.(童貞・男子・大学生)ですよ?

 そう、二次元に恋するD.D.D.だよ……。

 自分で考えてて悲しくなるなあ。


「聞こえるー?」


 そもそも、あの子が俺の家にあしがしく通ってくるのなんて俺があの時一緒探したからに違いないし。

 まあ、少なくともリスペクトくらいならしてくれてるとは思うけどな。


「大丈夫かコイツ」


 顔を合わせないのも何か俺が気に食わないことでもやってしまったからだろう。昔からデリカシーがないとも聞くし言われたし嫌われてたし。

 自分の傷口を抉っていくスタイルも推測だけ考えるのもな……。


「戻れ」


 首の後ろに友人からのチョップが炸裂。

 首の骨が折れるかと思ったんですけど!


「(意識が飛ぶ一歩手前で)手加減したぞ」


 いやいや手加減とかそういう問題じゃないでしょそれ。


「空想に浸ってないでプレゼンのアイディア考えろ」

「ア、ハイ」


 あ、怒ってる。

 ごめんなさい、悪うございました……。




 ・




 四限目が休講だったもんで真っ直ぐ家に帰るとちょうど俺の家から出てきたいいろちゃんの姿が。

 ギリギリまで家にいたのだろう。

 母さんはその見送りでもしてるのだろう。


 まあ、声をかけてみるよね。


「いいろちゃ……」


 いや、なんで即座に母さんの後ろに隠れるのさ。


「ほら、いいろちゃん。直接言ってあげたら?」


 なにを直接言わせるのか知らないがいいろちゃんにそう呼びかける。

 そりゃまあ悪口は面と向かって言った方が効果抜群なのはわかるけどさ。


「ぅぅ……」


 うーん、そんなに隠れられるとこっちとしても反応に困るな。

 むしろ俺のハートオブグラスが軽くブロークンハートしてしまうレベルまで来ている。


「ぁ、ぁしたの……。12時……」


 オドオドしながらもどうにか言った!みたいな感じ。んー、いいろちゃんには悪いが可愛い。うん、cuteだ。


 明日。

 あー、土曜だっけか。

 予定は無かったし無問題か。


 財布にゃ五千は入ってるし問題ないはずだ。うん。

 なんとしても機嫌を直してもらわねばならぬ。


「待ち合わせ場所は?」

「共用玄関を出たところのベンチ……」


 あのベンチか。

 まあ待ち合わせならあそこがぴったりだよな。遊びに来た友達も利用してたくらい便利だし。

 そもそも外には待つ場所が少なすぎるくらいだ。


「了解っと」


 スマホを取り出して入力していく。

 明日、12時、共用玄関前ベンチ集合。

 いいろちゃんへの贖罪、と。


「アキちゃんの分のお弁当も作ってくるから」

「お、サンキュー」


 昼飯代が浮くのはありがたい。

 だがいいろちゃんには出会ってから迷惑をかけていて申し訳なさが半端ない。

 まあ寄せてくれる好意には思いっきり甘んじるつもりだが。


 まあこの前の料理も美味しいものばかりだったし、かなりの期待が持てる。

 あ、そういえば残った料理の感想言ってあげられてなかったな。


 そう思い902号室に帰ろうとするいいろちゃんに呼びかける。


「そうだ、いいろちゃん」

「ひゃうっ!?」


 ……そんなに驚かなくてもいいじゃないさ。


「あのポテサラとカルボナーラ、とっても美味しかったよ。ありがとう。また今度、是非作ってね」


 今度はオムレツの時のように美辞麗句を並べる訳でもなく、ただシンプルにお礼と美味しかったということだけを伝える。

 これなら問題はないはずだ。


「……うちの息子はなんでまた燃料を注入するのやら」


 母さんが天を仰ぎ、嘆いた。

 あれ、まずかった?


「あぁぁ……、んひゃぁあ……」


 え、なにこれ。

 いいろちゃんが茹で蛸のように真っ赤に染まり上がって今にも爆発しそうな……爆発?


「イビィィィイイィィィィッッ!?!?」


 奇怪と言ってもまだ足りない程の奇声をあげ、この場から走り去ってしまった。

 イビー?


 はて、なんのことやら。


「この様子じゃ先が思いやられるね……」

「どうしたの、母さん」


 何かぼやく母さんに問うがため息だけを返される。

 何だその反応。気持ち悪いな。


 今のうちに着ていく服でも決めておくか。

 顔が悪くても、性格がどんくさくても服くらいカッコよく決めときたいよな。

次回はデート回(展開が早すぎる)

テンポよくテンポよく!

空回りも怖いけどね!

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