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オタクで二次元が大好きだけど何か文句ある?  作者: 閻魔天(ヤマ)
第2章
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入部と薄い本

 取り合いずは体験入部のため先生に二次元研究部部室に案内された。

 先生が扉を開いた。ガララッという音が響く。

「おっ先生来たー」

 夕日のような綺麗な赤毛を左側でサイドテールにまとめた可愛らしい女の子が言った。

 可愛らしいのだが、左目に眼帯をし、右手に包帯を巻いてるという大分こじらせたかっこをしていた。

 そして俺たちに気づくと、どこから取り出したのか黒いフードつきのローブを羽織り、

「我が組織する魔術結社の新たな入団希望者かの?」

「まあ、そんなところだな」

「いや、違うから。って言うかまずいろいろ突っ込もうよ!」

 女の子の言葉に俺が適当に答えて、雪姫がすかさず突っ込んだ。だって突っ込むのめんどいんだもん。

「別にいいだろ、誰にだってそういう時期はある」

「そ、そうかもしれないけど」

「どうせ井上だってこののようなことやってた時期あんだろ? それともまだやってるのかな?」

 などと俺と雪姫が小声で話す。

「な、ないよ!」

 しかし、俺のちょっとした意地悪な質問に雪姫が声を張り上げて突っ込んでしまった。

「何が無いの?」

 それで中二病の娘に不審感を抱かれてしまった。

「な、なんでもない、大丈夫だよ」

 と、雪姫が慌ててフォローする。

 しかし、あの反応案外マジだったりして。

「ところで彼女たちは?」

 雪姫が先生に紹介をうながす。如何にも中二病といった感じのこの女の子の他にもう一人長い黒髪をポニーテールに結んだ女の子がいた。

「えっとじゃあ皆自己紹介頼めますか」

了解ラジャ

「オッケー」

 中二病の娘が言い、次にポニテの娘がそれぞれ答えた。

「じゃあ、まずはあたしが、ごほん……我が答えてしんぜよう。我が名は魔王サタン! この魔術結社が崇拝する最高神にして悪魔のリーダー……」

 中二病の娘がバサッとローブを翻し、かっこよくポーズを決めていう。まあ、どう聞いても嘘だけど。

「適当なこと言わないでちゃんと自己紹介して下さい」

 ポニテの女の子が中二病の娘の言葉を途中で遮った。

「はい、すみません………中等部2年A組の神崎輪花かんざきりんかです。よろしくお願いします」

 しょぼーんと分かり易く落ち込み、しっかりまともな紹介をする。

「わたしは石田夕衣いしだゆいっていいます。中等部1年D組です」

 ポニテの娘改め石田さんは神崎さんと比べると凄くまともに見える。いや神崎さんも年相応と考えるとまともではないにしろ普通ではあるかもしれない。ていうか石田さんの方が年下だったのか。これではどっちが先輩かわからんな。立場逆転してる。

「俺は美里青也、高等部1年C組。よろしくな」

「私は井上雪姫です。美里君とは同じクラスです」

 俺と雪姫がそれぞれ自己紹介を済ませる。

「よろしくです」

「よろしく~」

 夕衣が無表情、輪花が笑顔満点に言った。

 こうして俺と雪姫は今日から二次元研究部に入部することとなった。


「それではわたしは用事があるので後は皆さん宜しくお願いしますね」

 山口先生がそう言って部室から退室する。

 それと同時に、

「よしっ」

 なんとあのクールで常識的な態度をしていた夕衣がガサガサと鞄から薄い本を取り出した。

 人は見かけによらないとはこのことか。

「おお、それはyukaの最新刊!」

 夕衣が取り出したその薄い本を見て雪姫が興奮して目をキラキラさせる。

 その表紙には制服を脱がされて下着姿のまま身体を縛られたあられもない姿の女の子のイラストが描かれていた。「生意気な巨乳JKを緊縛してバイブで玩具責め」などという危ないタイトルが書かれている。

「おお、井上先輩も薄い本読むんですか!?」

「うん、読むよ。ジャンルも結構幅広く」

 夕衣の質問に雪姫が答える。

「井上、お前凌辱ものとかも普通に読めんのな」

「私の大好物です!」

 雪姫がえへんと大きな胸を張って言った。

「なんでそんな恥ずかしげもなく誇らしげに胸を張ってんの? 犯されたい願望でもあんの?」

「さすがにないよ! そんなビッチじゃないから!」

「宇田川とつるんでたぐらいだからなあ~。本当は非処女じゃないの~」

「ちゃんと処女だから!」

 ところでよくギャルってよく処女であること嫌うよね。アレ普通におかしいと思うんだけど。

「井上のシークレット情報ゲット」

「いやシークレット情報って……私たちの年齢の娘は大抵は処女だから。美里が童貞なように!」

「そこ協調せんでいい!」

 最後の部分だけ声張り上げやがった、こいつ! まじウゼエ。

 あっ分かったわ俺、男女問わずに童貞だ処女だ言われて恥ずかしくなるのって別にギャルに限んないのね。ていうか性欲があるからそう思うのね……って、どうでもいいわそんなこと! 

 などと盛り上がっていると「あう、あう……」と、輪花が顔を夕焼け色にして頭の上でお湯を沸かしていた。

「どうした? 神崎はエロいの苦手なのか?」

「ええ、だから毎回神崎先輩にエロ同人見せると楽しいですよねー。顔真っ赤にして可愛くて!」

 俺の言葉に夕衣が心底愉しそうに言う。なんか怖いこの娘……青葉ちゃんどころじゃない小悪魔だわ。寧ろエリカ・ブランデッリさんレベルの悪魔だよ! ていうか魔王サタン(自称)が人間の悪魔?(なんだそれ)に負けてるぞ。つうか最初のクールキャラはマジどこ行った? なんかもうただの変態と化してるぞ。

「ほらぁ、先輩~、このシーンなんかエッチでいいと思いません?」

「うぎゃ~、こっち見せないでえ~」

 夕衣が愉しそうに薄い本を見せて、輪花が涙目で逃げる。

 絶対、夕衣こいつドSだ。

 だがまあ、気持ちはわかる、うん。涙目で夕衣から逃げ回る輪花はちょっと、いや大分可愛い。などと思ってしまう俺も実は変態だったりするのだろうか。

 なんか色々不安はあるが、まあこの先の楽しくなりそうだ。

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