失踪
あれから数日が過ぎた。
しかし、ここのところ全然輪花とは顔を合わせてない。メールや電話をしても音信不通。雪姫や夕衣がやっても同様らしい。やはりこの間の帰り道の出来事が原因なのだろう。
「やっぱり駄目か」
「うん」
俺は今雪姫と食堂にいた。雪姫は輪花に改めて連絡をとってるが出る気配はないし、メールは返信なし。
雪姫の隣には夕衣もいた。
皆テンションが低く、場の雰囲気がどんよりしてる。
「これじゃあどうしようもないぞ」
俺は眉間を親指と人差し指で押さえながら言った。
「家に押しかけても家族関係が問題だからな」
「まず先輩が今家でどういう状況なのかもわからないですし」
俺が言うと、夕衣が続けて言った。
「デリケートな問題だからな」
「かと言ってこのまま音信不通だと心配だしね」
「でもアレだろ。ずっと引きこもってたら出席日数やばくなるからそのうち出ないダメだろ」
「冗談言ってる場合じゃないから」
いや冗談ではないんだが。だが確か楽観的で的はずれな答えだ。
「どうせ電話かけてもメールしても反応がないんですから直接家に言ってみません?」
「追い返されるでしょ」
夕衣の言葉に雪姫が言う。
「そう言えば……」
「どうしたの?」
「輪花は父親とは関係は良好みたいなこと前に話してたな」
「ああ、確かに」
「家に輪花の父親が出れば何か話してくれるかも」
「父親が出るとは限らないよ」
「確かに母親がでたらやばそうだな。まあ、当たって砕けろだ!」
「砕けちゃダメでしょ」
そこで雪姫は視線を夕衣に向け聞いた。
「はあ、そういう方向で行くらしいけどいい、夕衣?」
「問題ないです」
「でもいつにすんの?」
雪姫が言った。
「明後日なんてどうだ?」
「土曜だし、いいじゃない」
「わたしも特に予定ない」
俺の問いに雪姫、夕衣が答える。
そんな時、唐突に俺の携帯が鳴った。
相手は俺のクラスの担任で二次研顧問山口先生だった。
「はい」
『あ、美里君!? 大変よ! 神崎さんが失踪したって彼女の親御さんから連絡が!』
「「「!」」」
その声をその場にいた全員が聞き、驚愕した。




