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オタクで二次元が大好きだけど何か文句ある?  作者: 閻魔天(ヤマ)
第2章
20/24

偶然

 輪花が来るのを待ってると見知った2人が声かけて来た。

「美里君じゃん。どうしたの一人で?」

「うん? 雪姫に石田?」

 声がした方を振り向くと水着姿の雪姫と夕衣がいた。

「いや神崎と来てたんだが、ちょっとハプニングが起きてな、今シャワーの方にいる」

「へえ、何デート?」

「デートじゃねえから」

「でも2人でプールなんて随分仲いいじゃん」

「別に普通だろ」

 からかってくる雪姫。それに俺は適当な返答をする。

「あっ、戻ってきた」

 夕衣が言った。その視線の先には輪花が戻ってきていた。

「あれ? どうしたの、2人とも。偶然だね」

 夕衣と雪姫を発見した輪花はすぐさま二人の元に近寄り話しかける。

「なんか今日凄く暑くて」

「ああ、なるほど~」

 雪姫の言葉に、輪花が納得する。

「2人は一緒に遊んでたのか?」

「うん」

 俺が問うと雪姫は肯定した。

「暑いから下着でエロゲしてたら姉さんに怒られた」

「へえ……は?」

 あまりにも堂々というので気づかなかったが今なんつった夕衣こいつは?

「なあ、雪姫。今俺は石田から何かともても違和感のある台詞を聞いた気がするんだが……」

「……現実よ」

 まさかの石田夕衣露出癖ありですか……。ていうか自分のそういうプライベートを人前で暴露するなよ。

「あれ、そう言えば今日輪花はサイドテールじゃなのね」

「う、うん」

 いつもと違う輪花の特徴に雪姫が気づいて言った。

「ロングも似合ってるね」

「ありがとう、雪姫先輩」

 ……何ですか? この百合空間。

「雪姫先輩に輪花先輩を奪われて嫉妬ジェラシってる美里先輩であった」

「勝手に人の思考回路を捏造するな。違えよ」

「じゃあ、先輩もあの中に入りたい」

「まあ、思わなくはないが」

「あの2人のどっちかに挿入たい?」

「お前ちょっと黙れ」

 相変わらずのエロゲ脳だった。

「つか石田の歳でどうやって買ってんだよ」

「母さんが買ってくれる」

「おい、お母さん!?」

 まさかの両親が買ってくれる!? どういう家庭だよ。

「ああ、うちの母。エロ漫画家だから」

「ああ、なるほど。って納得できるか!」

「ボケたりツッコんだり忙しいのね」

 誰が忙しくさせてるんだよ、まったく。


 その後は夕衣、雪姫もそのまま俺らと一緒に遊んだ。俺としてはもう少し輪花と2人で遊びたかったが。

 

 もう十分遊んだという感じのところで帰ることを決め、男女それぞれの更衣室で着替えに向かった。

 俺はとっと着替えを終わらせて外で待つ。てっきり一番かと思ったが、どうやら違ったらしい。

 雪姫が早くも更衣室前で待っていたのだ。

「早いな」

 女子の着替えは男子より時間がかかると聞いたことがあるが。

「うん」

 雪姫は白いワンピースを着ていた。

 プールで偶然あったため今日雪姫にあったのは水着姿が初見だ。当然だが私服を見てはいない。

「ワンピース可愛いな」

「そう?」

「うん」

 何気なく褒めてみたが、雪姫は案外まんざらでもなさそうだった。

 ほどなくして夕衣と輪花も着替えを終えて出てきた。

 そう言えば輪花も今日は黒いワンピースだった。なんか丁度白と黒だからちょっと面白い。白いワンピースの天使と黒いワンピースの悪魔って感じ。

 

 それぞれの家に向かって4人で帰宅中のことだった。

「また、こんな風にして遊びたいね」

 雪姫が伸びをしながら言った。

「次は市営プールなんかじゃなくてもっとちゃんとしたところがいいかな」

「蒼く輝く水世界アクア

「うん、ちょっと何言ってるかわかんない」

 夕衣と雪姫が加わったあたりから、輪花はいつもの輪花に戻っていた。何時の間にか髪型もサイドテールになってたし。大人っぽい雰囲気の彼女もよかったがやはり輪花にはこうであってほしい。そんな輪花に俺は突っ込みを入れる。すると輪花が自分でもう一度言い直した。若干涙目で。

「海に行きたいです」

「ああ、なるほど。確かにいいかもな」

「もう少ししたら海開きするでしょ」

 輪花の言葉に俺と雪姫が同調する。

 もうそろそろ六月だし、直ぐだろう。

 そんな他愛無い話をしてると、

「あれ? 輪花ちゃんじゃない?」

 その声を聞いた瞬間輪花の身体が強張った。顔も一瞬で真っ青になっていく。見ると正面に見知らぬおばさんがいた。

「どうした?」

 心配になり俺は輪花に聞くが、

「な、なんでもない」

 と、輪花は言うだけだった。

 しかし、どう見ても何でもないようには見えない。

「こんなところでどうしたの? それにこの人たちはどなた?」

 おばさんが訝し気に俺たちを見渡す。

 俺はおばさんに挨拶しようとした。輪花の知り合いであればそれぐらいするのが礼儀かなと思った。しかし、そうする前におばさんに遮られる。

「ああ、もしかして新しい信者ですか。やりましたね。輪花ちゃん」

 は? アタラシイシンジャ? 何の話?

 見ると夕衣や雪姫も目を点にして俺とほぼ同様の反応を示していた。

「行くよ、先輩」

 輪花はおばさんを無視スルーしてそそくさと歩く。

「こら! なんですかその態度は。あなたは神に仕える身なのですよ。ならしっかりそれらしい振る舞いをして―」

 そう言っておばさんは輪花の腕を掴んだ。

「離せババア!」

 輪花の怒号が辺り一帯に響き渡る。

 悪鬼のように激怒した輪花の横顔が窺えた。

 こんな輪花を俺は初めて見た。

 輪花は無理やりおばさんの手を払うと逃げる様に走り出した。

「あっ、ちょっと輪花!」

 雪姫が慌てて輪花の後を追った。

 俺と夕衣もそれに続く。

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