西洋民話集・童話集の始まりとそのエピゴーネンたち。物語文学の勃興期
西洋の文字化された民話集の始まりを探ります。
そもそも口伝えで語り継がれてきた民話・童話・神話などが書き留められるようになったのはいつごろからだろうか?
古代ギリシャにその源流があるのだが、
例えばイソップ寓話集ですね。
しかしギリシャ文芸はキリスト教によって邪宗?ということで西洋では
無視❓されルネッサンスまでは封印されてしまったんですよ。
プラトンもアリストテレスもアンチキリスト?ですからね。
アレクサンドリアのあの当時の最高の最大の図書館が
荒れ狂ったキリスト教徒たちによって「邪宗の書物の牙城」として
攻撃対象になり、
徹底的に破壊されそこにあった古代ギリシャや古代エジプトの貴重な文献や資料がことごとく消え去ったというまことに残念な歴史があるわけですよ。キリスト教徒はこうして、古代ギリシャの文化や学問をすべて憎悪して破壊し尽くしたその罪はあまりにも重大でしょうね。
まあ幸いにも、
これらはアラビアに継承されて研究され、温存されており、
散逸は免れたわけですが、その後ルネッサンスで再び西洋に還流されるまで西洋では無視❓され続けたのです。
西洋には、
キリスト教の伝来に伴ってそこに含まれるユダヤ系の民話が西洋に流れ込んできました。
キリスト教は聖書とともに、そこに含まれるユダヤの民話や神話が聖書化❓されて
当時のゲルマン人やサクソン人などに伝道という形で伝わったのである。
ある意味.聖書とは民話の大宝庫?ですよね?
ノアのお話やら、ヨナのクジラに飲み込まれるお話やら、まあ、民話?の宝庫です。
そういうキリスト教の民話が土着のゲルマン人やケルト人の口伝の民話。神話を封じ込めてしまった?という事実はあるでしょう。
キリスト教にとっては、例えば、ケルト神話やその民俗信仰は、排除さるべき偶像崇拝の邪宗ですからね。北欧神話の生命樹の神話だってその信仰は、アンチキリストですから排除すべきものです。こうして土着の伝来の民俗信仰を排除し押さえつけてキリスト教の信仰と民話がヨーロッパに浸透していった。
キリスト教はこうしたそれまであった民族神話や土着の宗教を破壊してしまった犯罪者?ですらあるわけですね。かくしてこうした、民族的な民話は近世まで封じ込められて底流として細々と語る継がれてきた、、まさに絶滅危惧種?だったわけです。
それが目覚めたのはルネッサンス以降でしょう。
そこでの人間性開放や、民族的なアイデンティティイの称揚が、ヨーロッパ各地で民族の伝統としての民話を目覚めさせたのです。
民俗のアイデンティティとは何だろう?
それは民話であるという目覚めから、西洋の各国で埋もれていた民話の採集と文字化がなされたのです。
その嚆矢が例えば
サケッティの「ルネッサンス巷談集」です。
これは見聞きした市井巷間の面白おかしい小話を300話集めた、今でいえば短編小説集でしょうか。
あるいはもっと有名なのが「デカメロン」ですね。
そして「ペンタメローネ」もそうです。バジーレが集めた小話集です。
こういう小話集は民話系も含まれてはいますが多くは巷間のほらばなしとか猥談系です。
同様の系統には
「サン・ヌーヴェル・ヌーヴェル」 作者不詳
「新百物語」ポッジョ作
「エプタメロン」ナヴァール女王編
などがあります。
さてでは純粋に民話を採集したものはどうかといえば
もっと時代が下ります。
その民話採集に大きな影響を当てたのが
1704年に刊行されたフランスのアントワーヌ・ガランによる
「千夜一夜物語、フランス語訳」があるといわれています。
この翻訳はすごいブームを巻き起こしたといわれます。
ここにアリババやアラジンが登場しますが、実はのちにこれらのお話が本来の千夜一夜物語には含まれていなかった別の独立したお話だったということが分かるわけです。
だがあまりにも有名なこれらのお話をカットできないので、、マルドリョスやバートンなどの、のちの翻訳者たちの「千夜一夜物語」には、しょうがないので適当にこの話を入れ込んでいるということですね。まあ皮肉なエピソードですが、、。
さてこれで目覚めた西洋の人々は自国の民話に興味がわいてきて、積極的に自国の民話集めを始めるというわけですね。
まず特記さるべきは「ペロー童話集」でしょう。
ここに「長靴をはいた猫」「赤ずきん」「青ひげ」「眠れる森の美女」「シンデレラ」な
どの、私たちがよく知る、童話の原型が収録されています。、
そしていよいよ真打登場です。
それが「グリム童話集」です。
グリム童話については汗牛充当の研究書がありますからそれをお読み下さい。
その後これに刺激されて各国で同様の民話集が続々刊行されます。
有名なのは例えばイタリアのカルビーノによる
「イタリア民話集」です。
グリムを超えるような童話集を作るのだというカルビーノの言葉が残されていますよ。
その流れの上で、19世紀には創作童話も始まりますね。
その典型が「ドイツロマン派」のいわゆる「芸術童話」です、
つまり「クンスト・メールヒェン」です。
ドイツロマン派のメルヘンについて書き出すとキリもないのでやめますが。
一言でいうならばドイツロマン派の童話とは、
それまでの、素朴な童話にゲミュート(心情)を加味し、よりシンボリック(象徴的)に
よりオニリック(夢魔的)に、
よりディープで
ダークで
コアに、、、、
つまり、、意味深?に仕上げたものということでしょうか。
ドイツロマン派以降の創作童話ではなんといっても
アンデルセンでしょうね。アンデルセンについても研究書がたくさんあるのでまあそれをお読みください。、
ちなみに、、私はアンデルセン童話はあまり、好みませんがね。
こうして西洋童話の世界は陸続と続いてゆくわけです。
その要素はいわゆる
イギリスのゴシック小説とか、、、、。
モダンホラーにも色濃く受け継がれているのです。
なお、、
ゴシック小説については私の以下の、このサイトへの投稿を参照ください。
「ゴシック小説からモダンホラー小説まで」で検索ください、
例えば、、
ジョン・ソールの「暗い森の少女」なんてなんというか、
童話そのもの?ですよね?
呪われた家系、、そして先祖の忌まわしい猟奇事件、
そして先祖とそっくりの末裔の美少女が繰り返される呪いの反復、、
まさに、ダーク・メルヘン?といった感じです。
あるいは、、
VCアンドリュースの
「屋根裏部屋の花たち」だって
私には童話 (ダークメルヘン)?だとしか思えないのですがね。
幸福な家庭、しかし
突然の父親の事故死、
そして勘当されて家出同然で、そこを去り一度も帰ったこともなかった実家への母親と子供たちの出戻り、その母親の実家というのがまたまるでお城です。
すんごい、貴族のようなお屋敷に舞い戻ったこの未亡人の母とその子供たちを出迎えた祖母の不可解な態度、
そしてこの広大なお屋敷の相続は誰が?
「え?なんでそうなるの?」という突然、屋根裏に、
子供たちが監禁されるとは?いったいなぜ?
ろくに食事も与えられないで、それは祖母と母の結託した奸計なのだろうか?
そうして母親が子供たちを置き去りにして再婚するにいたっては
さあ、子供たちの運命は?
というダークメルヘン?が展開されるのですね。
ちなみに
私この2作品大好きです。
特に「屋根裏部屋の花たち」は映画化されていますのでその映画も大好きです。
大ファンのクリティ・スワンソンが出てるので、さらに好きな映画です。
「デッドリーフレンド」という映画のサイボーグ死美人役の彼女を見てから大ファンになりました。