愛哀傘 六
第六章 居場所
ゴールド君は私たちの推理に感嘆した様子で、
「よくわかったよ。やはり君たちの頭と僕の頭とでは全く構造が違うようだ。まぁでも犯人の心理なんてわかりたくないがね」と言った。
「犯人の心情と頭で考えてることがわからないと探偵なんてできないんだよ。事件が起こるのには理由があって、起こす犯人にもそこに至るまでに何らかの原因がある。特に殺人はね。人が人を殺すことなんて絶対にあってはいけないし、普通じゃない」そう言ってしばらく静寂が続いた後、姫子が口を開いた。
「今は復讐に向かっている染谷さんと、いまだに犯人が誰かをつかめていない警察から逃げる三木さんの息子の居場所を調べて、第二の事件が起きないように事前に防ぐ方法を見出さないと」
「そうだね。レオン君、どうやって調べるつもりだい?」
その時、さっきの傘専門店から大きな怒鳴り声が聞こえてきた。我々はすぐさま近づき、路地裏から中の声を聞いた。
「なんでそんなに怒るのよ!だからあの友人たちに達也は吹田のお義母さんとこにいるって言ってないって言ってるでしょ!」
「まだわかってないのか!あんなやつら達也の友達じゃない!おふくろの家にいるとかいないとか以前に、達也の存在自体を話しちゃだめだって言ってるんだ」
我々にはその会話だけで十分だった。我々は会話を聞いた後すぐさま吹田に向かった。途中、姫子が口を開いた。
「吹田と言っても広いわ。なるべく早く探さないといけないのに!」
「三木の傘屋は僕の母も使っているんだ。三木の傘屋はあの親父で三代目、北大阪では知らない人はいないぐらい有名だったんだ。まあ、三代目があんな奴だから他の店に客を取られて先代までのあの傘専門店三木とは比べ物にならないぐらい落ちぶれたけどね」
「じゃあ知ってるのね。レオン君がいなかったら今頃私とゴールドさんはこの事件でここまで早く犯人の居場所を特定できていなかったわ」
「まだ終わっていないよ。四日経った今でも復讐が行われていないのは奇跡としか言いようがないよ。助けられる人がいるなら全力を尽くさないと。僕にとってそれは殺されるかもしれない人間ではなくて、復讐によって殺人犯を増やさないためだけどね」
そうこうしているうちに、我々は犯人が隠れている三木邸に着いた。そこは住宅街の中で、決して大きくはないが、大人が一人増えたところで何も問題もない家だった。
するとそこに一人の男が現れた。男は二十台半ばぐらいでとても男前だったが、痩せていて服もボロボロ、なにより相当疲れた様子だった。私は一目見ただけでそれが誰であるか判断できた。




