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愛哀傘 一

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   第一章 緋色探偵事務所


 一九五四年にスペインのカナリア諸島で生まれた私は三歳になって日本に移住した。スペイン人の父が亡くなってから母が日本に帰ると言ってきかなくなったからだという。

 私は戦後の日本の中では裕福なほうだった。というのも私の父が亡くなるまで造船所の社長をやっており、父の遺産が姉と母と三人で暮らすには十分あったのだ。そんな私の外見を説明させていただくと、父親に似てラテン系の彫が深い顔をしていて、身長は一七五センチメートル。特技は観察に推理、射的、足も速いほうだ。音楽鑑賞と最近やっと日本でも盛んになったフットボール、いわゆるサッカーの観戦が趣味である。名前はディビッド・雅・レオン。大阪府警の皆さんで私のことを知らない人はいないだろう。小さい頃から事件に首を突っ込んできたからだ。さて、私の自己紹介はこのぐらいでいいだろう。

 私は十八歳になったばかりの八月、姉に連れられて姉の友人と会うことになった。当時建てられたばかりの五階建てマンションの三階で彼らが待っていた。

「ゴールド、弟を連れてきたわ」

「よく来てくれたカルディナ」姉とその友人はハグをし、私を見た。

「君がレオン君だね、噂は聞いてるよ。東洋のホームズがいるってね」私と彼は固く握手をした。彼の名はジョン・ゴールド。姉と同じ二十歳で一九五センチメートルと高身長でがたいもいい。短髪で肌は白いアメリカ人男性である。

 早速私は彼を見て遊びを始めた。

「いつも姉がお世話になっております。向かいの席でうるさくするからご迷惑をお掛けしているのではありませんか?」彼は一瞬目を丸くしたが、

「なんだ、カルディナ話してたのか。そうだよ、市民新聞社で一緒に働かせてもらってるよ」と笑った。

「私は、別に何も」姉の言葉をさえぎって私が、

「ほんのちょっと簡単に推理して遊んだだけですよ。あなたの右手だけが日焼けしているのを見て、前に姉が左手だけ日焼けしてたのを思い出したんですよ。職場に関しては社長が悪趣味なバッジを左胸につけるのを義務付けてるらしいですから、姉と同じ新聞社で姉と向かいの席と分かったということです」と言うと彼は微笑し、

「なんだ、そんなことか」と言ったので私は少し機嫌を悪くして、

「ははは、そうですとも。あなたはそんなことも最初は分からなかったんですよ」と言い返してやった。すると彼は私の負けだという表情でふっと笑った。

「君は本当にホームズのようだね。どうだい、その才能を仕事で活かしてみないかい?」と言った。私は驚きと五秒前の機嫌なんて吹き飛ぶ喜びが込み上げてきた。というのも、私は学校が嫌いで、いい就職先があればすぐにでも職に就くことを望んでいたのだ。

「はい。ぜひ!」彼は待ってましたと言わんばかりに隣の部屋に向かって、

「姫子さん、見つけましたよ探偵を!」と叫んだ。

 二秒後だった。隣の部屋から私の語彙力ではとても表現できない美しい女性が出てきた。さらさらの長い黒髪で肌は白く、目は輝くスカイブルー。身長は一六三センチメートルと女性にしては大きいほうだ。高貴で上品な雰囲気の彼女が私に近づいてくるまでのほんの数秒の間の歩き方、隣についてきた犬の触り方などから、気高く、言葉を発さずともアッパークラスであることが窺えた。

「あなたが噂の……これからよろしくね。採用よ」

「私は探偵として採用されたのですか?」

「えぇ。あら、雑用志望なの?そっちの冴えないお姉さんが探偵になりたいのかしら?」

「いえ、僕です。ここは探偵事務所なんですね」

「えぇそうよ。ここは明日から開業する緋色探偵事務所。私はわけあって日本にやって来たイギリスと日本のハーフ。名前はアレクサンドラ・姫子よ。ここでジョンと出会って泊めさしていただいてるの。そして私が探偵事務所をやりたいって言ったらここを使う許可をいただいて、探偵事務所に探偵が一人しかいないと休めないからもう一人を探していただいたの。そしてここに遊びの推理だけでは分からない事実があるわ。ゴールドさんは昨日で新聞社を辞めて私たちと働くことになったの。彼は全く探偵の才能はないけどボクシングをやってらっしゃったことがあって、犯人を捕まえる際に活躍してもらうつもりなの。以上である程度私たちのことは話したわ。何か質問はある?」私は何も質問はなかったので首を横に振ったが、私の姉は納得いかない様子だった。

「ゴールド、本当に辞めてしまうの?給料もいいし、毎日楽しく話しながら仕事してるのに!少しくらい話してくれてもよかったんじゃない?」彼は探偵の才能がないとはっきり言われたことに笑みを浮かべていたが、姉の言葉で表情を曇らせた。

「カルディナとの会話はすごく楽しいし、お給料にも何の不満はないよ。けど僕は僕にしかできないことをやってみたいんだ。それに僕は幸いお金に困ってないしね」そう言うと姉は自分が何を言っても彼の意志は変わらないと悟ったのか、悲しそうな笑顔で

「頑張ってね」と言ってハグをした。

 その時私はこの状況に驚いていたとともに、感動もしていた。幼馴染でもない外国人がバラバラの国から、ここ日本の大阪にある海辺通りに三人集まるだけでも珍しいのに、明日から仕事を一緒にする仲間になったのだ。




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