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プロローグ
「いま、日本に着いた。…ああ、すでに他の組織も来ている可能性は高いな。
…善処するが、向こうがやる気なら、俺は全力で排除する 」
男は電話を終えると、空港を後に東京へ向かう。
「ねぇ、この街に何があるの?」
少女が、隣の男に尋ねた。
「この街には沢山の仲間が居るんだ。 でも、敵も沢山集まってきてる」
「じゃあ、敵はみんなやっつけないとね」
男は微笑みながら少女の頭を撫で、手を繋ぎ歩き出す。
「や、やめろ! 助け… て」
「足りねぇなぁ… こんなんじゃ足りねぇ。
もっと、もっとゾクゾクするオモチャねぇのかよ」
目の前に横たわる死体を見つめ、男は手に付いた血を舐めると、体を揺らしながら去っていく。
「… 寒っ!」
一人の男が暗闇の中、目を覚ます。
「あれ、何にも見えな… うわっ!」
その時突然、男の目の前に強い光が現れる。
「眩しい! 一体なんだよ…ん?」
目を細めながら、男が見たものは、光の中にある剣だった。
「何で剣が…」
男が、剣に触れようとした時、剣先が男の方へ向くと、一瞬で胸を貫く。
「え?…なん…だよ…」
男は、吸い込まれるように、暗闇の中へ消えていった…