第五話:上級生の洗礼、そして剣を超える指刃圏
キャラ紹介1
ビット・アークライト
主人公である謎の少年、ビット・アークライト。その正体は?極点に至る魔力10の魔術師。あらゆる魔術に精通しているものの、内なる魔力の少なさから、扱える魔術はない。しかし……?
使える技
・極点障置あらゆる攻撃を受け止め、弾くことができる最大10点の極点を任意の場所に設置する技。
・極点動薙受け止め、弾き飛ばす極点を高速で動かし、防御と同時に攻撃も行える技。吹き飛ばすことしかできない為威力はそこまでない。
極点について
実は灯りになるため、領内で探索したり、夜間に図書室に忍び込んで本を漁るのに便利だったりする。かなり緻密な操作だが、鍵開けにも使えるものの、鍵の構造が単純で、中が分からなければならない。
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模擬戦での勝利から数日後。
新入生の間では、ビットの名は一躍知られる存在となった。
だがその評判は、同時に上級生たちの耳にも届いていた。
「――面白い。指一本でアミシアを倒し、速さすら封じた? ならば試す価値はあるな」
学院演習場に現れたのは、三年首席候補の上級生、セリオス・ヴァンデル。
彼は数十本もの魔剣を宙に浮かせ、その刃を自在に操る“剣界の術士”と呼ばれていた。
観客席は沸き立つ。
「まさかセリオス先輩が!?」
「新入生潰しかよ……でも、これで本物かどうかわかるな」
セリオスは冷ややかな眼差しでビットを見下ろす。
「小細工で目立つのは勝手だ。だが――剣を知りもしない者が“剣を超える”など、許されると思うなよ」
挑発的な言葉に、演習場の空気が張りつめる。
ビットはわずかに口元を吊り上げた。
「じゃあ、試してみろよ。俺がどこまで通用するかをな」
試合開始の合図と同時に、数十本の魔剣が宙を奔った。
嵐のような斬撃が押し寄せ、ビットを包囲する。
極点障置が次々と展開され、剣を受け止める。
だが数の差は歴然。押し切られるのは時間の問題だった。
「どうした! 防いでいるだけでは永遠に終わらんぞ!」
セリオスの声が響く。
観客の誰もが、ビットが追い詰められていると感じていた。
そのとき――ビットの指先に、淡い光が灯る。
「……僕の極点は、剣を止めるだけじゃない」
指先から伸びた魔力が、空間に“刃”を刻んだ。
何もないはずの空気が、鋭い線を描いて残る。
飛来した魔剣が、その線に触れた瞬間――自らの勢いで真っ二つに断ち切られた。
「なっ……!?」
セリオスの表情が揺れる。
「指刃圏――置かれた刃は、俺の許可なく解けない」
次々と剣が突っ込んでは砕け散り、空中に残された見えざる刃が攻撃を逆利用していく。
観客席は静まり返り、誰もがその光景に目を奪われた。
セリオスは奥歯を噛み、最後の一撃を繰り出した。
己の全魔力を注ぎ込んだ巨大な魔剣が、天空から落ちる。
ビットは指を鳴らす。
「……悪いな」
十本の指刃圏が一斉に展開され、巨大な剣を切り裂いた。
崩れ落ちる光の刃と共に、セリオスは膝をついた。
「……これが、貴様の……力か」
悔しさと、どこか清々しさの混じった声。
教師の声が響く。
「勝者、ビット・アークライト!」
場内が爆発したような歓声に包まれた。
アミシアは目を見開き、ルインは複雑な表情を浮かべながらも、口元に笑みを刻んでいた。
――指先一つで最強を超える魔術師。
その名は、学院中に轟き始めていた。
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キャラ紹介2
セリオス・ヴァンデル
魔剣の魔術師。無数の魔剣を自在に召喚し、射出する。爆発で面を制圧するルインに対し、鋭い斬撃で点や線を制する戦術に長け、応用力は学院随一。その魔剣はただ硬いだけではなく、あらゆる魔術を拒む“絶対の刃”である。
アミシア・リューゲルト
魔剣士の少女。度々後方彼氏ヅラするが、今回は買い物に出かけている。
ルイン・エネモア
魔弾の魔術師。大量の魔弾を同時展開し、物量で押し切ることを信条としている。省エネルギーかつ正確な極点で迎撃してくるビットを「小細工」と嘲るが、心の底では認めざるを得ない。いつか完全な同時攻撃を成功させ、勝利を掴むことを新たな目標とする。
今回は寝坊していて現在爆睡いびき中。
ジェイル・ファーラン
俊足の魔術師。高速で動き、己の肉体をぶつける。速さこそ力!速筋こそパワー!肉から得たエネルギーは全て加速と速筋に充てる。
現在狩りに出かけている。食堂の食材は学生たちで集めるのだ。
腹いっぱい肉を食べるため、今日も俊足で仕留めている。