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師と弟子

丘の上でカトレアとアザレアが静かに語り合っている頃、町の外れの訓練場では、ローレンスが剣の素振りを繰り返していた。月の光が、彼の鍛えられた肉体を照らし出す。その静かな集中をレスターが傍らで頷きながら静かに見守っていた。


ローレンスが素振りを止め、レスターに向き直る。


「師匠、もし俺が旅に出たら、どうするんだ?」


レスターは軽く肩をすくめた。


「どうもしない。お前が行きたいというなら、行けばいい」


「師匠は...俺がいなくなったら、一人でどうするのかと…」


ローレンスは正直に打ち明けた。


「まさか、旅に出るのが怖くて、そんな言い訳を?」


レスターは小馬鹿にするように言った。

ローレンスは少しムッとしたが、冷静に答えた。


「…確かに、実戦経験が少ないのは事実だ」


レスターは近くの石に腰を下ろし、真剣な眼差しでローレンスを見つめた。


「カトレアから聞いたが、お前はあの魔女のことを怖がらなかったそうだな」


「怖がる?何の話だ?」


ローレンスは聞き返した。


「アザレアほどの魔力量があれば、普通の人間でも魔力の波を感知できてしまう。異質なオーラを纏っているようなものだ。だが、お前は全く動じなかった、とカトレアが言っていた」


「魔力の波…?必死だったから、よく分からなかった」


ローレンスは素振りを再開した。


「普通の人間にも、微量だが魔力が宿っている。だから、魔力絡みの事象が起こると、それをなんとなく感じ取ったりするものだ。」


「そうなのか。俺は今まで、そんなものを感じたことなんてなかった気がするが。」


そのとき、レスターはあることに気づいた。


―― もしかしたら、こいつは魔力を全く持っていないのか?


―― 勇猛な戦士ってのは、圧倒的な力の差があっても、怖気づかず食らいつくやつだ。だからこそ、魔力を感じ取れないというのは、戦士にとって大きなアドバンテージになる。


「あの二人の魔法使いの前衛として戦えば、お前は俺を超える戦士になれるかもしれない。戦士として一段上の存在になるには、旅の経験はいいものだ。」


レスターは、ローレンスを若き日の自分に重ね、語った。


「また昔話を始めるつもりか?もう聞き飽きたんだが」


ローレンスは呆れたように言った。


「ならば、俺の言いたいことは分かるな?」


ローレンスは素振りをやめ、レスターに向き合った。

ローレンスの決意は、既に固まっているようだ。


「最近、各地で今日のような魔力武器を使用した事件が多発している。その原因を調査する必要があると考えているんだ。もし、70年前のように、俺の町を破壊するきっかけになり得るものだとしたら、今のうちに止めなければならない。」


ローレンスは月を眺めながら言った。

そして、ローレンスはレスターに向き直り、静かに訴えた。


「それと、俺が帰ってくるまで、師匠には生きていてほしい」


「俺はドワーフだ。あと30年は生きられる。10年程度の旅なら、問題なくここに帰ってこれるだろう」


レスターは鼻は微笑みながらいった。

すると、ローレンスはしばらく考える素振りを見せ、レスターに宣言した。


「5年だ。5年後、必ずここに戻ってくる。」


「旅はそんなにうまくいくものではないぞ」


レスターは鼻で笑った。


「それにな...俺は死なない。なんせ...最強の戦士だからな」


レスターは冗談めかして言った。


「最強の戦士ね...。そのセリフ、俺がいただくのも時間の問題だな。師匠。」


レスターはその言葉を聞くと再び鼻で笑い、腰を上げて訓練場を後にした。

風を切る素振りの音が響き続けていた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

まだ、文章構成や心理描写、シーンの作り方などつたない部分もありますが、お手柔らかにお願いします!

コメントやポイントなどリアクションいただけますと執筆に励みになります!

ぜひぜひ、ご意見いただければ幸いです!

よろしくお願いします!

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