第98話 戦争宣言
───場所は魔界、魔王城の謁見の間。
人間界にて、情報収集の任を任されているリディクラはお呼び出しを受けていた。
玉座に腰掛ける魔王は、威圧的な口振りで尋ねる。
「人間界で暗躍する同士達よ、そなたを呼び出した理由を、分かるな?」
謁見の間に集結された魔族は数十体、その中にいるリディクラは膝を着いて頭を下げる。
「はい、存じ上げております…………」
情報収集の代表である悪魔騎士はカチャと音を立て、お辞儀。
「うむ、戦いを好まない魔族が人間界において、不干渉条約地帯にて皆殺しにされた件だ。」
魔王は言った。
魔王の言葉に、集結した魔族達は威圧され、静まり返る。魔族達は見上げようとするが、その強大なオーラを前に足元しか見えない。例えるなら小さい虫が巨大な飛竜を見ているような視点だ。
「歴代の魔王は長い間、人間達と戦争を繰り広げていた。だが、それは我々魔族側による侵略的な考えがあったからであり、魔族の中では穏健だった我が父上は戦争を止めた…………。そして人間側とある平和的交渉した、それは人間界において、戦いを好まない魔族を受け入れて欲しい。と…………しかし」
───歴史を説明する魔王。その次の言葉に、魔族達は冷や汗を流し、沈黙。そして魔王は口を開き、威圧。
「人間達は不干渉条約を裏切り、あろう事か、戦いを好まない我が同胞を皆殺しにした。これは明らかな人間側による裏切り、我々は応えねばならない。力で、残酷て、恐怖で…………かつて人間界を支配していた我が力を、人間界にて発揮し、対抗する」
魔王は玉座から立ち上がり、ビシッと指揮する。それは魔王による人間界への戦争宣言、人間と魔族の平和条約はこうして崩壊した。
(やはり、そうなったか…………もう、これは止められない)
リディクラは頭を下げたまま、悔やむ。
「ですが魔王様…………」
獅子タイプの魔族は頭を上げ、主張する。
「何だ?」
「人間側は、その件については不備があり、事件性があると言い、調査を希望しています」
しかし…………。
───魔王様は手を掲げると、獅子タイプの魔族は空間ごと消滅し、粛清される。足元にはくぼみ、そこから硝煙が軽く登る。
(頭を上げやがって…………)と、リディクラ。
「魔王に対し、下等魔族が易々と頭を上げるでないと分からないのか?…………調査は受け入れない、このまま人間界への戦争の準備しろ。命令だ」
「イエス、マイ、ダークロードっ!!」
魔族達は謁見の間から去る。
(これで、思い通りになった…………)
謁見の間から立ち去る魔族を、嘲笑うのはフードで表情を隠した依頼者。




