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第92話 冬に突入する宗平(そうへい)




───そして…………秋が終わり、季節は冬に突入する。冬、それは農家にとって厳しい季節でもある。何故なら作物が育ちにくい季節であり、収入に頭を悩ませる。


 時刻は朝、宗平そうへいはぶるっと身体を震わせ、白い吐息を吐く。作業により汗が流れ、それが寒気さを引き立てる。


「ふぅ…………寒くなって来たな…………」


 宗平そうへいは枯れた苗を次々と抜いていき、クワを振り下ろして土畑を耕し、汗水を垂らして土壌を作っていた。


「ソーヘイさん、冬が始まりましたけど、どんな野菜を育てるんですか?」


 作業服のアリシアは枯れた苗をブチブチと引き抜き、尋ねる。


「そうだな…………ネギやニンニク、あとは白菜を育てる予定だ。何故なら雪に強いからな…………」


 宗平そうへいは言う。


「そうなんだ…………私、何気なく食べていましたが、雪につよいんですね?」


「そうなんだ、特にネギやニンニク、白菜は冬になると栄養豊富で、育て方次第ではめちゃくちゃ美味しいらしいぞ」


 と、答える。そして思い浮かべる…………確かに前世にて、冬の季節になると白菜やネギが美味しかった。グツグツと出汁にで煮込まれた鍋にて、具材にはネギ、白菜、しいたけ、エノキダケ、大根、油揚げ、肉には鳥もも肉につみれ肉。

 

「ソーヘイさん?」


「すまない、少し考え事をしていた。そうだな、冬になると鍋料理が美味しい季節だなって…………」


「鍋料理?」


 アリシアは首を傾げ、知らない様子。


「鍋料理を知らないのか?鍋の中に出汁を入れて、具材にはネギや白菜、キノコや油揚げとか…………とにかく、色々な物を入れて食べる料理だ。野菜が熱々の出汁に染み込んで、美味しいぞ」


 宗平そうへいの話を聞いてアリシアは。


「それは、とても美味しそうです」


「でしょ?多分、東の国の料理だと思う。野菜が育てば皆で食べよう」


 

───すると、地面に詠唱陣が出現。そこから現れたのはエバ。


「おはようございます、ソーヘイさん」


「エバか、おはよう」


 するとエバはバックから(何か)を取り出し。


「これ、ソーヘイさんが必要かなと思いまして…………」


 エバが取り出したのは、得体の知れない注入剤。数は3本。


「これは?」


 宗平そうへいは尋ねる。


「これは栄養剤です。私が部屋の中にある魔法の釜で精製した代物で、冬の季節にかなり強いんですよ」


 エバは答えた。ちなみに使用すれば、積雪にも強く、作物全体に栄養分がしっかりと蓄える効果があり、大きくて美味しい作物が育つ。


「ありがとう、是非とも使わせてもらうよ」


「でも、初めて作ったので、思いもよらない事があります。気をつけて下さいね…………」


 エバは笑顔で忠告する。



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