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第8話 初収穫




「やったっ!!」


 思わず宗平そうへいは、ガッツポーズをして声を張り上げる。なぜなら朝、様子を見に畑に行くと、畑には害獣に荒らさず生き残って成長した苗。そして真っ赤に染まったトマトが実っていた。


 苦労して育てた野菜、そして朝陽の光に照らされて紅に輝くトマトはまるでルビーのように。それはどのダンジョンで手に入れた宝石より、美しい。


 宗平そうへいは苗の枝に実っているトマトを取り、口の中に頬張る。むしゃむしゃと咀嚼する宗平そうへい、口の中でトマト特有な酸味と水分が広がる。普通に購入したトマトより、苦労して育てたトマトの方がうまい。


「うまい………。ありがとう、君が畑を守ってくれたおかげだよ」


 と、宗平そうへいはカカシが被っている麦わら帽子の上からかを撫でて感謝する。そして苗から実っている全てのトマトをパキっと引き取り、収穫していく。大きさはまばらまで形は不格好、出荷して利益にしていくにはまだ早い。しかし収穫出来た自分にとって大きな成長とも言える。




「初収穫にしてはまずまずだな………」


 家屋の中にて、カゴの中には収穫した野菜の数々。まずはトマト、後に拡大した畑の中に撒いた種から成長したなすび、とうもろこしである。





「これが、お前が初めて収穫した野菜か?」


 野菜屋の店主はカゴに入っている野菜に視線を向け、尋ねる。


「そうだ、食べてみてください」と、宗平そうへいは自慢げに瞳をキラキラさせる。

 

 宗平そうへいはトマトを持ってイーストカロライナタウンにある野菜屋に足を運んでいた。何より、自分が丹精込めて育てた野菜。食べて貰いたい気持ちが強い。


「それじゃ、頂いてみるよ」


 せっかく勧めてくれたので、野菜屋の店主はトマトを手に取って頬張り、むしゃむしゃと咀嚼を響きかせる。


「どんな感じだ?」


 宗平そうへいの問いに、野菜屋の店主は少し頷いたあと口を開く。


「そうだな………冒険者ギルドの人間にしては大したもんだ。しかし味の方はただの家庭菜園レベル、形は不格好、店に並ばせられるようなもんではないな。ただ………」


「ただ?」


「ま、今後は期待出来るな。もちろん生産者の腕次第だけどな」


「いずれ店頭に並ばせられるようにするよ。いや、してみせる。それまで期待して待っていてくれよ」


 宗平そうへいは言った。


「そうか、そいつは楽しみだ。だけどな、野菜農家はそんな甘いもんじゃないぞ」


 野菜屋の店主は言う。


 宗平そうへいは店の出入り口に立ち、店主に向かって言うのである。


「今度はもっと美味いと思った野菜が出来たら持って来てやるからさ」


 そう言い残し、宗平そうへいは店から出ていった。

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