第85話 ある魔族と再会
───場所はイーストカロライナタウンの中央広場にある大衆食堂。昼過ぎの食堂はピーク過ぎにより、客層はまばらまばらである。
ウェイトレスが軽やかな足取りで行き交う店内、まばらまばらな客達に料理を運び、そして食べ終わった料理の皿を引き下げ、厨房からは調理の音や皿洗いのカチャカチャとした音が響かせる。
奥のテーブル席にて、腰掛ける宗平と、金髪の男性。金髪の男性はさりげなく口を開く。
「久しぶりだな…………ソーヘイよ」
「ああ…………なるべく久しぶりしたくなかったが…………特にお前とはな…………そういえば、名前を知らない」
宗平は腕を組み、不機嫌に言う。何故なら金髪の男性の正体はこの前、町で誘拐事件を起こした犯人であり、アリシアを誘拐してモンスターに変えようとしたからだ。
「リディクラだ、魔族の仲間からそう呼ばれている。ソーヘイよ、何をそんなに怒っているんだ?久しぶりの再会なのに、泣いちゃうぞ」
リディクラの言葉に、宗平はため息を吐き。
「こっちは何のゴタゴタもなく辺境でスローライフを送りたかったのに、俺の家に色々な女性達が押し掛けてきて毎日がやかましいしよ…………」
「それは俺、関係ないんじゃないか?」
宗平のグチに、リディクラは困惑。
「そういえば、話って何だ?家のポストに名無しの手紙が届いて、指定されたこの食堂に来てみれば、お前がいた。手紙じゃなくて直接来てみたらよかったんじゃない?」
宗平は尋ねる。
「う~ん、家に直接来てみたが、畑に刺さったカカシに装着しているペンダントがあって、入れなかったんだ」
リディクラは言った。魔族目線で例えたら、自分よりさらに強い威圧感がカカシから発揮され、家に近寄りたかったが怖くて近寄れない。すると宗平は思い出したかのように言う。
「あ、そう言えば俺のちのカカシのペンダントは、魔除けの能力があるんだ。畑で作物を育てるのに害虫や害獣で荒らされるからな。アレ、ドラゴンですら近寄れないからな…………」
宗平は笑って言った。
「何と、あのカカシにそんな仕掛けが…………フハハハハ、人間はとてもおもしろい事をするんだな」
リディクラはケラケラと笑いだす。
「そのカカシに装着されたペンダントが怖くて近寄れないお前も、とてもおもしろいけどな…………」
宗平は言った。
「ハハハハ、言ってくれるじゃないか野菜野郎が…………」
ケラケラと笑い、イスに背もたれし、Lyreするリディクラ。
「ハハハハ、野菜農家をナメんなよ。一度、俺の野菜を食べてみろよ、飛ぶぞ」
宗平は自信満々で言ってやる。




