第82話 亡き骸から呪印
───討伐クエストを終えた宗平達は、山岳地帯から立ち去っていく………。
リディクラはモンスターの亡き骸達を調べていた。理由は違和感、彼等が戦っている中、モンスター達の瞳の奥に黒い炎のような(何か)が宿っていた。
1体、1体………身体を裏返し、あるモノが見つかった。
「これは………」
場所は腹部、首元、太もも。それは紋章のような、黒羊の形をした呪印だった。属性は闇、これを刻まれた人間やモンスターは理性を失い、好戦的になる。
───それは数百メートルの距離から。険しい岩肌からリディクラを眺めるのはフード付きの赤マントを着用した人影。
その視線に察知し、リディクラは振り向く。しかしフード付きの赤マントの人影は立ち去っていた。
そしてモンスターの亡き骸に視線を戻す。
「この呪印は人間が使う代物じゃないな………これを使えるのは魔族くらい、アイツしかいない………」
同時だった、リディクラは思わずバックステップ。モンスターの亡き骸達から黒い炎が発火し、消滅。
「役目を終えたら消滅か………今は気に留めておく事にしよう」
リディクラは調査を終え、岩壁から飛び降りて山岳地帯から立ち去っていく………。
───渓谷の町ガレスから戻って数日後………。
宗平は黙々と、畑からサツマイモを引き抜いてカゴに入れ、いつものように農作業をしていた。
「ソーヘイさん?」
「すまない、どうした?」
農作業の中、宗平はアリシアの声に反応する。
「考え事ですか?」
アリシアは尋ねる。
「いや………俺は仕事になると黙々とやる性格で、聞いてないことがある」
あえて本当の話はせず、頭をポリポリと掻いて答えた。
2日前、渓谷の町ガレスでミラ達とクエストをしている時、予想外な状況になった事だ。カラス型の魔族の出現とボス級の大地の竜の出現である。それと遠くから誰かが見ていた気がし、あまり脅威は感じなかったが………アリシアにはあまり心配は掛けない方がよい。
「あの………ソーヘイさん?」
「うわ、ビックリした。って、エバか?」
宗平が振り向くと、背後にはエバ。
「いらっしゃい、エバちゃん」
アリシアは微笑み、挨拶。
「おはようございます、アリシアさん」
エバは頭を下げ、挨拶する。
「今日はミラ達とは一緒じゃないのか?」
宗平は尋ねる。
「はい、今日は部屋のアトリエで薬を作りたいから、私は留守番です」
エバは答えた。
「そうか………それは関心だな」と、宗平。
「………私、紅茶の葉をブレンドしました。良かったら飲みませんか?」
「はい、是非っ」
「君がブレンドした紅茶か、興味深いな………」




