第79話 後をつけるリディクラ
───場所は渓谷の町ガレス東側の正面門から数キロ離れた先。小麦色の草花が全体に生い茂り、風波が広がる高原。そしてガレスの町から一直線に伸びる街道、生い茂る草花には石碑がポツポツと築かれ、時代に置いて行かれたようにコケが生えている。
ミラ達は街道を歩いていた。
「さ、クエスト頑張りましょー」
ミラは気合いを入れ、ビシッと手を挙げる。
「何で俺まで付き合わされる?」
隣の宗平は困惑するように肩を落とす。何故なら自宅農園でいつものように農作業をしていたら、突然ミラに召喚の札により呼び出されたから。それにより、アリシアを自宅農園に残したままだ。
ミラは宗平の腕を組み、微笑みかける。
「そんな事を言わずに、付き合って下さいよぉ〜〜〜」
「あのな、こーゆーのはなるべく自分でこなしてランクアップさせていくのが、筋なんじゃないか?」
と、宗平は言う。するとエバは説明する。
「それに、エバさんは初めてのクエストだし、私達はか弱い乙女で構成された冒険者パーティー。心配じゃなくて?」
ミラは言う。ミラのパーティーに新たにエバが仲間に加わり、ミラとリアーナ、レイナと合わせて4名となった。
ミラの言葉に、冷静になって少し考える………。
「………それは確かにな。エバはこの間までは引きこもりの状況だったし、サポートしなければ心配だな………」
「ね?」と、微笑みかけるミラ。それに召喚の札を渡したのは自分、仕方ない。
「それに、こんな美女達に囲まれるから、悪くないじゃないですか?」
宗平をじぃ~と見つめるのはレイナとエバ、そしてリアーナ。
「分かったよ、あまり無茶はするなよ………」
女性陣達の視線に、宗平は観念する。ちなみにクエスト内容は、山岳道に出没するリザードナイトの群れの討伐。早く終わらせなくては自宅の農園で待つアリシアが可哀想だ。
適当な会話に花を咲かせ、時々ミラ達にイジられながら街道を歩く宗平。
その後ろ。気配を殺して石碑に隠れながら宗平達を監視する金髪男性。
「アイツら、まさかこんな所で再会するとはな………」
リディクラは因縁深そうな表情で宗平達をじぃ~と睨みつけて後をつけていた。確かこの前、アイツらに計画を邪魔されたのである。キャンディーを使って人間を捕らえ、それを材料にしてモンスターを生み出す内容であり、人間達に魔族の脅威である事を主張するのが目的である。しかしこの独断な計画は失敗し、報告の際にこの事を魔王様に知られ、お咎めを受けてしまった………。
そして魔王様から、情報収集に徹するように。と、改めて命令されるのである。




