第74話 アリシアの未来の旦那?
───そして、買い物を終える宗平とアリシアは町の中央通りを歩いていた。買い物カゴには新鮮なサンマと大根、ポン酢と味噌と白米。後は雑貨屋で購入した下ろし器。
宗平は思い出す。
(そういえば…………このゲームのプロデューサーは日本人で、焼きサンマが好きだったそうな…………)
だから雑貨屋に味噌、白米袋、ポン酢、大根。あらゆる日本食の材料が売っていたのか。
するとアリシアは言う。
「夕御飯が楽しみですね?」
「そうだな。君が作る料理、楽しみにしているよ」
宗平は言った。
「楽しみにしていて下さいね。私、料理が上手いから、ソーヘイを驚かせてあげますから」
ニコッとアリシアは言う。すると宗平は…………。
「そうだな、確かに君は料理が上手いし、この前食べた朝御飯はとても美味しかった…………ちなみに焼きサンマは俺の好物でもあるし、味にはうるさいぞ」
「なら、私はソーヘイさんの胃袋を認めさせるだけです」
アリシアはニコッとガッツポーズし、腕を突き上げる。
「胃袋を、認めさせるって?…………」
宗平の言葉に、ハッと我に返ってアリシアは頬をポッと赤くさせる。
「えっ…………違いますっ!!そういう意味じゃなくてっ!!ただ、将来の花嫁修業としてっ!!」
アリシアは両手をパタパタ振り、ぎこちない否定する。
宗平は頭をポリポリと掻き、苦笑いを浮かべる。
「分かった、分かった…………花嫁修業か、良いことじゃないか。未来の旦那様は幸せになるだろうな…………」
「未来の旦那様、か?…………」
アリシアは、未来を思い浮かべる。結婚して、ルーアン村の領主となった旦那の姿を…………。素敵な子宝に恵まれ、跡継ぎにも恵まれ、安泰した人生を…………。
しかし、肝心の旦那様の姿が思い浮かべられない。子供は2人であり、片方は男の子、女の子。何故か旦那様の姿だけ、黒いモヤがかかっているような状況だ。
「どうした?」
宗平は尋ねる。するとアリシアは頭をポリポリと掻き、口を開いて答えを導き出す。
「う~ん、私にはまだ、結婚する主人の姿が思い浮かべられないらしくて…………」
「そうか、そうか…………。だけど結婚相手にするのは、俺だけは止めとけよ。何故なら俺はしがない農家だから、貴族の娘じゃ釣り合わないからな…………」
それは冗談のつもりで…………。アリシアをからかうような笑みを投げ掛ける宗平。
───そんな会話に談笑しながら、2人は冒険者ギルドの前に向かう。多分だが、もうそろそろエバとレイナが買い物から帰って来た頃だろう。姉妹水入らずの買い物、さぞ楽しかったであろう。




