第70話 エバ、外の世界の空気に触れる
───場所は自宅前の農園畑。地面に転移の光玉の詠唱陣が出現。
「と〜ちゃくっ」
ミラはパッと離れ、両腕をグイッと伸ばしてストレッチ。
そこから現れたのは宗平達一行。一方、今まで外に出てなかった為、引き連れて来られたエバは緊張の為かアリシアの腕を組み、ぎゅっと瞳を閉じている。
「やっと帰ってきたなぁ〜〜〜」
宗平はあくびを吐いて腕を伸ばし、ストレッチ。行きはかなり時間を要したが、帰りは一瞬で戻って来られたので変な感じだ。
「ふむ、この空気。いつもの日常に帰ってこれた実感がある………」
リアーナはすぅ~と深呼吸。魔女の里は外界から遮断されたような独特な雰囲気がある。
魔女の里を出て、窮屈な環境から解放されたようにレイナは陽気な笑みを浮かべ、得物であるハルバードを片手で担ぎ上げる。
「なぁソーヘイ?そのへんでハルバードを振り回しても良いか?」
と、レイナは尋ねる。
「だめ」
宗平は両手をビシッと交差し、きっぱりと答えた。何故なら活発な性格であるレイナならハルバードを振り回すどころか、動き回って作物を斬られる可能性があるからだ。
緊張の為か、エバはアリシアの腕を組み、ぎゅっと瞳を閉じている。
「大丈夫ですよエバさん。ほら、目を開けてください」
アリシアは親身になり、エバに囁いた。
彼女はゆっくりと、瞳を開く。それは自らを拘束していた枷を解放していくように………。
エバは目の前に映る景色を、言葉では表せない形で眺める。久しぶりの外、そして里の外にある世界と言う新鮮な空気を、自身に染み込ませていく。
「ようこそ、我が家へ」
宗平は言った。
「はい………お邪魔します」
エバは違う景色に慣れていない為、頬を赤くしてモジモジとした様子で言う。
「まぁ………とりあえず中に入るかい?。簡単な紅茶とか淹れるけど?」
宗平は自宅に向け、何処か不器用な口調で親指を差す。人を誘っている身だが、何故なら自分も慣れていないから。
「それじゃ、お言葉に甘えてお邪魔します」
「うむ、私も同じく」
ミラとリアーナは我が物顔で家に入る。
「って、ここ俺の家なんだけど?」
宗平は困惑。この世界なら良いが、前世ならネットやSNSなどで猛批判を喰らっているだろう。
「わたし、紅茶を淹れますね」
「アタシ、紅茶はレモンのトッピングをお願い」
アリシア、そしてレイナは宗平の家に入るのである。
(本当は、1人でのんびりとスローライフを何でこう、賑やかになったんだろうな………)
仲間が増えると言う、予想外の展開に宗平は苦笑いを浮かべるのである。




