第6話 野菜作りにおける初歩的な問題
それから、トマトの種を撒いて数日の日々が経過していく。ただ水を与え、畑の状態を確認していくだけ…………。
そして。
「よしっ!!一歩前進っ」
畑をいつものように眺めていたら、宗平は思わずガッツポーズをしてしまい、舞い上がった。
───何故なら、耕した畑からはトマトの芽がひょっこりと顔を出していたのだ。
「これがアレか、子供を初めて出産した時の母親の気持ちか?…………」
と、宗平はそれくらい嬉しい気持ちになる。夢はでっかく野菜を出荷してそれを職業とするスローライフ生活。冒険家ギルドを生業としてではなく、野菜を育てて出荷し、その野菜を色んな人達に食べてもらいたい。あの時、生のとうもろこしを食べたおかげでそれが夢となった。
────さらに、日々が過ぎていく。
宗平は、いつものように畑の様子を見に行く。
「な、何だこりゃああああああああっ!!」
畑の光景に、宗平は思わず頭を抱え、声を張り上げた。それは悪いニュースでもある。何故なら畑が荒らされており、成長したトマトの芽が幾つか食べられていたからだ。
(……………………)
現実を受け入れられない宗平は、ため息を吐いて固まってしまい、しばらく黙る。
イーストカロライナタウンの雑貨屋にて。
「あ~~~、それは災難だったな。野菜を育てる農家を生業にしてたら、それは避けては通れない初歩的な問題だな…………あの土地付近はよく小動物が出てきて、作物を荒らしていくらしいな…………」
雑貨屋の店主はタバコをふかし、言う。
「何とかならないのか?小動物が来られないようにすりるには、どうすれば良いんだ?」
尋ねる宗平。
「そうだな…………俺は農家ではないが、カカシを作ったり、捕獲用の檻を設置しておくとかな…………」
と、雑貨屋の店主は新聞を広げ、普通に答えた。
「カカシか、後は捕獲用の檻か…………。うん、ありがとう」
「カカシは売ってないが、捕獲用の檻なら売っているぜ。とりあえずウチの店なら5000ntで売っているからよ」
雑貨屋の店主は檻を勧める。
「じゃあ、買わしてもらおう」
宗平は捕獲用の檻、さらにカカシを作る為の道具一式もついでながら購入するのである。そして所持品欄を表示させ、アイテムボックスに捕獲用の檻とカカシを作る為の道具一式を収納した。
「さて、帰るか」
外に出た宗平は、所持品欄を表示させる。そして転移の光玉を取り出し、元の拠点である畑に転移するのである。これさえあれば、片道2時間は掛かる距離でも、一瞬で往復が可能だ。




