第59話 いつもの町
「どうやら町に活気が戻ったようだな………」
入口の門を潜り、メインストリートにて馬車を歩かせながら宗平は辺りを眺める。1週間前は行方不明の事件の事があってか人通りがまばらだったが、解決した事により人通りが増え、いつもようにゴチャゴチャとした人混みに戻った。
するとアリシアは視線を向ける。
「どうした?」
突然、視線を向けてきたアリシアに、気さくに尋ねる宗平。
「改めて、私を助けて貰ってありがとうございます」
頭を下げるアリシア。すると宗平は軽く微笑み、彼女の頭に手をポンっと置く。
「貴族の娘が、そう安々と頭を下げるんじゃない。それにこっちは君に謝らなくてはいけない………何度もいうが、いきなり飛び出して1人にさせてすまない、そうしなければ君に怖い思いをさせる事はなかった………これからは気をつけるよ」
宗平は言った。
頭にポンっと手を置かれたアリシアはうつ向き、宗平の大きな手にドキっとさせる。
「ソーヘイさん、何か不埒ですっ」
アリシアは、恥ずかしい様子で宗平の手をパンっと払い退ける。
「そうです、不埒です。有罪です、死罪に値しますっ」
「何で君達がいるんだ?」
宗平は振り向き、呆れた様子で尋ねる。何故なら後ろの荷台にはミラとリアーナがひょっこりいた。
「何故って………暇だったので転移の光玉でちょっと移動してきたゃいましたっ」
ミラは活気な様子でビシッとブイサイン。
「ハァ………暇だったって………もう、何も驚かなくなったよ」と、宗平はため息を吐く。
「私達は、貴様がアリシアに手を出さないか、常に視察しているのだよ」
と、リアーナは言う。
「出さないっての、少しは信用しろっ」
「なら、アリシアの頭に置いている手は、何ですか?」
ミラは指摘する。
「いや…………コレはだな」
宗平はパッとアリシアの頭に置いている手を離し、口ごもる。
「ほう、怪しいですね。これは、事情聴取の必要がありますねリアーナ?………」
ミラはピキッと瞳を光らせ、盗賊用ナイフを構える。
「場合によっては、きつい制裁が必要だな………」
リアーナは鋭い目を輝かせ、宗平に狙いを定め、弓を構える。
「やめないか2人共、これは誤解だっ」
宗平は言った。
───そして、宗平達はいつもように出荷先の野菜屋に野菜を届ける。店に到着した頃にはミラとリアーナはいつの間にかいなくなっていたが、それはどうでもいい。
カゴに入った野菜を荷台から積み降ろし、それを野菜屋の店主が貯蔵庫まで運んでいく。
その後は報酬を頂き、次は卵の出荷先であるパン屋に向かう。




